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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「その一度で」

 プレイヤーたちの陣形の外側に向かって暴れながら進む「黒狼」を止められる者がいなかった。

 だからだ。だから「黒狼」の動きを警戒して防御態勢に入って行動のキャンセルを狙うと言った流れにならなかった。

 プレイヤーの塊、その外縁にまで到達した「黒狼」は大きく口を開けたのだ。

 そして溜めた。その時間はザっと数えて7秒くらいだっただろうか?僕は直ぐにコレに「黒狼」がヤバい攻撃を放って来るのだと察した。

 長くも感じるし、短くも感じる、そんな微妙な長さだ。そして足の速いプレイヤーであったなら、これに追いついて攻撃を仕掛けてその行動をキャンセルさせる事が間に合ったかもしれない。


 でも駄目だった。足を止めて溜めていた「黒狼」に誰も近づかなかった。事前に暴れ回っていた「黒狼」に誰もマトモに攻撃を当てられなかった事がプレイヤーたちに「どうせ駄目じゃね?」と諦めの気持ちを植え付けていた。

 だから近寄ろうとするのにもワンテンポもツーテンポも遅くなる。その決断を下すのに。

 立ち止まって動かなくなった、コレをチャンスと捉えて一気に攻めようとしたプレイヤーが一人も出なかったのだ。


 そして一瞬だけ間が空いて放たれる閃光。「黒狼」の口から陣形など全く意味を成さない威力の光線が吐き出されて多くのプレイヤーを光と変える。

 コレでまだマシだと言える被害で留まっている。この攻撃は一直線だったのだ。その攻撃範囲上に居るプレイヤーだけがこの攻撃に曝された。いわゆる「ブレス」と言う攻撃だ。

 これが扇状に薙ぎ払いをされていたらどうだろうか?もっともっと、それこそ信じられない位の被害が出ていたに違いないのである。


 これで九死に一生を得たのは体力の多い、或いは防御に比重を置いているプレイヤーだけ。

 どうやらこの「黒狼」の攻撃は魔法扱いだったみたいで中には魔法使い系統に属するジョブのプレイヤーも数少ないながらに生き残っていたのが見えた。

 そう言った者たちは魔法に対しての防御を出来る特殊系のスキルなどを発動していたのかもしれない。


「ケンジ、予定変更だ。二度目に足を止めたその時に仕留めに行く。アイツをある程度に追いかけながら刀にMP注ぎ込むのはちょっと難しいからケンジが初手で先に一撃入れてくれる?その後に俺が瞬間火力上げた攻撃で仕留めるつもりでヤル。」


「二回目は流石にプレイヤーも殺到するんじゃないかな?もしくは遠距離攻撃をバンバン撃ち込むかも。と言うか、その可能性が一番高いだろうし。近付けないと思うんだけど?」


 僕はこの魔王の言葉に懸念を返した。だけど魔王はコレも解って言っていたらしい。


「それでもワンチャンスで仕留める成功率が上げられるのはアイツが脚を止めたそのタイミングだから。プレイヤーたちが中途半端にダメージを与えて「行動変化」をするくらいにまでHPを減らしちゃったら余計に面倒になるし。」


 確かに確実にこの「黒狼」を仕留めるのならば魔王の一撃が欲しい所だ。

 プレイヤーの猛攻でこの「黒狼」に大ダメージを食らわせたとしても、その一度で殺し切れなかったら意味が無い。

 HPを大幅に減らせたからあと一歩、などと生ぬるい事を言える相手では無いのだ。

 今のプレイヤーたちの対応力では「行動変化」を起こした「黒狼」相手に余計に手に負えない状況となるのが目に見えている。「黒狼」が危機に陥った事で本気を出してパワーアップ、スピードアップする可能性だって秘めているのだ。

 マトモに当てたその最初で最後の一撃と言えるモノで殺し切らねば、ここでプレイヤーが全滅の憂き目に遭いかねないのである。


「分かった。その機が来るまでは僕らはなるべく目立たない様にしつつも「黒狼」を追いかけ回すしかないんだね。はぁ・・・プレッシャーがヒドイよ、全く。」


 僕はそうぼやきつつもまた暴れ始めた「黒狼」を遠目に眺めた。

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