攻略!悪魔王編!「短期決戦を狙っている?」
ダメでした。またプレイヤーがドッカンドッカン大技連発。吹き飛ばされた事の教訓を全く生かさない。
「そしてまたも吹き飛ばされる、と。ねえ魔王?行かなくて良かったの?」
「んー?あの爆発の中に飛び込みたくは無かったからねー。これがプレイヤーの選んだ道だって言うのであればしょうがなくない?」
そこは流石に中には大盾持ちのプレイヤーがどうにも防御スキルを発動して吹き飛ばされずに踏ん張った者が多く存在しはしたが。
その背後に固まって衝撃波を受け流してダメージを抑え込んでやられない様に立ち回っていた者たちも居る。
と言うか、そう言う陣形を取って凌いだと言う事だろうこれは。
「幾ら何でも次は無いと思いた・・・やりやがった。」
再び復帰したプレイヤーたちの動きに僕はちょっとだけ悪態を吐きたい気分になったがジッと堪えた。
そう、またも懲りずに大技が連発されたのだ。されるのだが、その中には「光の力」を使っての攻撃も混じっている。
もしかしたらコレは作戦で、一気に悪魔王を押し切るつもりなのかもしれない。そうじゃ無かったらこれ程に何度も同じ行動を取らないだろう。
そうじゃ無ければどれだけ集団阿呆なのかと言いたくなる。陣頭指揮を執っている奴は相当の無能と言う事になる。
「ケンジ、ちょっと見てくれない?ほら、あそこ。一番後方に守られてるプレイヤー。何か指示を飛ばしてない?」
魔王が僕に確認を取ってきた。悪魔王から一番離れて陣取っていたプレイヤーの方を指さしてそう言った。
確かに身振り手振り、ソレとどうにも声を大きく張っている様子が遠目で僅かに見える。
僕たちは悪魔王から相当離れた位置でこの戦闘を観察しているので衝撃波のダメージを食らってはいない。
なので心の余裕を持ってこうしてのんびりとしていられる。これが悪魔王を目の前にしての戦場だったならばこんなにも呑気にしていられるはずが無い。
「ああ・・・そっか。向こうは向こうで必死なんだよね。僕らが偉そうに何か言えるもんじゃないや。」
実際にあの地獄に立ち向かっている者だけが文句も、悪態も吐く権利があるというものだ。
こんな離れた安全な場所で、その光景を外から眺めている僕らが何か言える立場に無い。
僕と魔王は勝手に「プレイヤーの危機が訪れたら介入する」などと偉そうな事を言ってしまっているが。
あの場で実際に戦っているプレイヤーたちは勝つ為に必死で、僕らの事何て計算には入れずに自らの力で以て悪魔王を倒そうとしているんだろう。
「魔王、僕一度ぶつかりに行ってくるよ。そうじゃ無いと何だか申し訳無い気分になって来たから。」
「あ、そう?なら俺も行った方が良いかな?次の衝撃波は流石に防いだ方が良いと思うんだよねー。」
「ならタイミング合わせて一撃入れて離脱する?僕は丸薬使わないで突っ込んでみるけど、魔王はどうする?」
「うーん?ノーマルの一撃でちょっとどれ位いけるか確かめておいた方が良いかー。」
どうやら魔王は刀にMPガンブチ込みをせずに悪魔王に一撃を入れてみる事にした様だ。
「よーし、そうと決まればHPバーは今どれ位?」
「・・・もう行った方が良いかも。ケンジ、じゃあ、イッセーのセ!で突撃しよう。」
こうして僕らは走り出す。魔王は僕の速度に合わせて走ってくれていた。
僕らは悪魔王に到着するまでに何処を狙って一撃入れるかを話し合いながら武器を構えた。