攻略!悪魔王編!「出し惜しみ無しで、もう様子見は無しで」
魔王に任せておけば多分大丈夫、そんな予想は正しかった。僕が行かなくて正解だったと思う。
悪魔王の側面から魔王が無造作に近づいてその「ヤブァイ」刀を抜き放つと同時に一撃入れたのだ。
どうやら近づいていく間に鞘に納めたままでMPをガンガン刀にぶち込んでいたらしい。
様子見で力をセーブして悪魔王の行動をキャンセル失敗したら目も当てられない、と言った所なんだろう。
やるからには全力を込めて、魔王はそんな風に気持ちを切り替えたのかもしれない。
その一撃は派手な光を放ち悪魔王の首をそれこそ断ち切る勢いで振り切られた。
コレを食らい大きく仰け反った悪魔王は相当なダメージを食らったんだろう。「溜め」がどうやら無事にキャンセルされたみたいだった。
コレにチャンスとばかりに追撃を開始するプレイヤーの中に「光の力」を使う者も現れた。
どうやら様子見なんてして戦闘をしている余裕は無いと悟った者たちである様だ。
それらの攻撃は大いに悪魔王のHPを削ぎ落して行っている様だった。悪魔王はこれに「虫けらが!鬱陶しい!」と叫んで腕を振るってあの衝撃波を発生させて再びプレイヤーを吹き飛ばした。
「結構コレで出だしはプレイヤー側に傾いたかな?・・・お?お帰り魔王。で、手応えは?」
「うーん?柔らかい?悪魔王って俺よりも大分格下かもしれん。」
「・・・いや、これ難易度MAXでしょ?ソレでそのセリフを魔王が言うって、逆に魔王ってどれ位強いのって事になるんだけど?」
僕は呆れてしまった。幾ら何でも魔王が「手応え無い」と言ってしまうってどう言う事だよ?と。
僕らの予想でこの悪魔王のレベルが最大強化されているモノだと考えていた。
ならば今の状態の魔王と同格、そうじゃ無くてもそれに近いくらいじゃないのか?と思うのだが。
ソレはプレイヤーが倒せ無いんじゃね?と言った事に繋がる。
「まだ第一段階でしょ?変身して第二、第三と変わって行ったらもっと強くパワーアップするかも知れ無いし?その時には俺が全力出して責任もって止めるつもりだよ。」
魔王の強さを僕は良く知っている。そしてソレが敵に回った時、コレだけのプレイヤーが集まっても倒せないだろうと言う事も。
なので悪魔王がこの後何段階変身するかは分からないが、そうなって行けばプレイヤーが対処できない無理ゲーになりそうだと言うのも簡単に予想が付く。
悪魔王が真の姿を現した時、それは本当に魔王と同等の力を持つんだろう。そうなったらソレと対峙できるのは魔王くらいしかいない。
「さてと、それじゃあ暫くはまた観戦していようかケンジ。多分次の「溜め」は大分後になるだろうし。取り敢えず次はケンジ行っとく?」
「無理だね。僕じゃ発動までの短い時間でキャンセルさせるのは無理っぽいよ。・・・あ、プレイヤーが悪魔王を包囲し始めた。」
もう先程の悪魔王の動きを理解したんだろう。プレイヤーたちは悪魔王に少しでも一気にダメージを与える為に真正面だけからの攻撃などを止めたらしい。
正々堂々などと言う戦い方なんて馬鹿らしい戦い方をしていたら確実にプレイヤーがこの第一段階目で全滅させられる事が目に見えている。手段など選んでいる場合じゃない。
万を超えるプレイヤーたちが一斉に大魔法やら、必殺技を惜しみ無く発動しており、悪魔王の全身は頭の天辺から足の爪先まで隙間無く爆発に塗れている。
後先考えずに先ずは目の前の敵を全力を以て倒す、そう方針が決まったようだ。
「・・・爆発音が五月蠅くて何も聞こえない。」
僕らは結構離れた位置からこの状況を観察していたのだが、こちらにまで耳を塞ぎたくなる位の爆音が届いている。
コレに僕らは何かあっても直ぐに動けるようにと、手のひらで耳を覆いながら悪魔王の動きを注視するのだった。