攻略!悪魔王編!「あと何回おかわりが来るのか?」
「向こうは派手にやってんなー。俺もやっちゃう?・・・いや、止めとこ。」
俺は今「光の壁」で押し止められている方の悪魔軍のど真ん中に居た。
こっちで俺は少しでも悪魔を削っておくと言う役目をしている。
と言っても第十やら第九を倒している訳じゃ無い。第八を千切っては投げ、千切っては投げ、をしているのだ。
初期配置の悪魔軍の構成と同じなので本当ならここで第十、第九を俺が片づけてしまっておきたいのだが。
ソレをしてしまえば余りにも俺が活躍し過ぎだと思っての事である。まあ今更な事ではあるのだが。
「考えてみたら第一波も第二波もド派手に暴れてるんだよな、俺。」
最初に決めていた「プレイヤーのサポートに回る」と言う方針は既に無くなってしまっていると言っても過言じゃ無い。
まあそれも初っ端からプレイヤーでは対処が難しい悪魔軍の数であったからしょうがなかった。
「・・・うん?何だこの感じ?」
俺は雑魚第八悪魔に囲まれた状態ではあるのだが、そいつらを次々に間髪入れずに片付けているので俺の周囲はぽっかりと空間が空いている。無双状態だ。
だけどもいつの間にか突然悪魔たちは俺に向かって攻撃をしてこなくなった。近づく事もしてこない。全ての悪魔がピタッと止まったと感じた。
コレに何かがおかしいと思って俺はその場で高くジャンプ。周囲をぐるっと素早く見渡した。そこに見えたのは。
「おかわり追加かよ・・・最大難易度パ無いな。」
そう、悪魔軍が追加で新たに現れたのだ。これは幾ら何でもプレイヤーだけでは捌き切れない。
プレイヤーの中で「光の力」が何人使えるのかは俺は知らない。千人か、百人か、はたまたもっと少ないのか。
だけどもそれらを全て出し切ってもこの悪魔軍の殲滅は絶対に無理だ。それだけの数に膨れ上がるこの追加分を合わせたら。
「これじゃあチンタラしてられないじゃ無いか。」
まだ「光の壁」は持続しそうではあるのだが、追加で現れた悪魔軍が合流して圧力が増したら耐えられないかもしれない。
今の俺には素早い決断が求められた。
「やるのかい?やらないのかい?どっち何だい?やるか、やらないか、それが問題だ、ってか?」
ふざけた事を考えたのは少しの時間だけだ。俺はそもそもこのイベントをプレイヤーの勝利で終わらせる気でいる。
それならば今やる事は一つだ。悪魔軍を手早く倒す。只それだけだ。
決断をした後すぐに俺は魔力を「ヤブァイ」刀に注ぎ込みながら振るい続けた。第一波の時にやったアレだ。これで片っ端から悪魔軍をぶった切る。
注ぎ込まれるMPの量に合わせて光の刀身が伸びていく。それをどんどんと伸ばして、伸ばして、伸ばしながら横一文字、逆横一文字と切り返し、繰り返し振るい続ける。
コレに見る見るうちに減っていく悪魔軍。そうしてあっと言う間に「光の壁」で止められていた悪魔たちは一体残らず消滅した。
「・・・あー、どうしよ、次来る分。プレイヤーの方は片付け終わったのか?向こうに流して良いくらいには減らせているのか?その場合はどれ位の数が妥当だ?」
後何回、悪魔軍の追加があるか分からない。それを俺が全部片づける訳にもいかないだろう。
数を調整してプレイヤーの方にも悪魔を流して倒させたいのである。
「まあ、幾ら出てこようが全滅させられるだろうけどさ、この「魔王」なら。」
プレイヤーの方が「もう駄目」と言った白旗を上げた時には遠慮無く俺一人で無双しても良いけれど。
そうなったら一体このイベントは何なのか?と言った事になってしまう。それは避けたい。
あくまでもこのイベントは皆で楽しむものだ。俺だけが「オレツエエエ!」をしてしまうのは違うのである。
「それでも最終的にプレイヤーの勝利にしたいから、完全にヤバくなったら俺が出しゃばるけどね。」
まだ「光の壁」は出ているままだ。これが継続できる限界が後何分あるのかも俺は知らない。
これが消えてしまったら流石に俺も覚悟を決めないといけないだろう。
「コレを見たプレイヤーはきっと俺が「光の力」を使っている様に見えるのかね?」
再び迫る追加の悪魔軍を前に俺はまた刀にMPをバンバン注いで何処までも伸びる輝く刀身を発生させた。