攻略!悪魔王編!「釣り出して」
確かに砦でやり取りしたプレイヤーの言っていた事は一理ある。だがやはりそれでも手遅れになる前に打てる手は打っておくのが賢いやり方と言ったモノだろう。
一切援軍も物資も出さないと決定した砦リーダー。その結論はどの様な経緯と情報材料で出されたのだろか?
俺はそこら辺の事も知っておくべきだったか?と考えたのだが、今更聞きに戻りに行く時間も無い。もう戦闘は開始されてしまった。
「で、ケンジ、どうする?そっちは丸薬使って暴走する?」
「うーん、第一波と第二波で相当経験値稼げてレベルも「五」は上がったからソレは様子見かな。自力でどれ位あの中で戦えるかちょっと試してみたいんだよね。ほら、解毒薬とガスマスクを持ち込んできてるから、第九をピンポイントで狙って刈り取って行こうかなって考えてる。」
「そっかー。じゃあ俺は第十を切り離す手伝いをしてくるかな。結構第十の数多いよね。これは予想とは違ったなぁ。それじゃあ、また後で。」
俺たちは二手に分かれる。俺は一番近い第十の所に。ケンジは単独で大軍の中に突っ込んで行った。
そんな事をすれば悪魔軍の集中攻撃を受けるし、プレイヤーの視線も集中して来る。
ケンジは既に解毒薬を飲んでガスマスクも装着しているのでその顔はバレないだろう。
「さて、俺は、まあ、良いか。別にこれ「変装セット」でこの姿になってるし。一応は仮面の準備もしておいたんだけど、面倒だし視界がほんのちょっと狭まるから余りつけたく無いんだよね。」
そう言う訳で俺は俺で単独で大軍の中に突っ込む。目標は第十悪魔だ。
奴らに攻撃を一撃入れてターゲットを俺に変更させる。どうにも今の大軍の中に入っている状態だとプレイヤーに向けるヘイトがフラットな状態らしくて軍の移動速度に流されている、と言った感じなのだ。
これがこのままプレイヤーの軍と激突に入ったら乱戦になってしまうだろう。
その時には第十悪魔が一気に大暴れしてプレイヤーへの被害は結構なモノになると予想ができた。
なのでその前に第十を釣って誘き寄せて外に出してしまうのである。
分断した第十悪魔を誘導して大きく大きく軍の中心から引き離す。
この光景を見ていたのだろう第十との戦闘を予定していたプレイヤー部隊がこちらに向かって来る。
「おーい!お前さんバケモノか?あんな中に一人でカチコミしに行ったと思えば見事に釣って来て無事に戻ってくるとか!ヤバいじゃん!ウケる~!」
かなり上機嫌と言った感じでその部隊のパーティリーダーだろうプレイヤーが俺に声を掛けて来た。
コレに俺は任せても良いかと聞いておく。
「コイツのヘイトを取ってくれ。俺は次に向かうから。頼むぞ~。」
コレに「任せろ」との答えが貰えたのでその部隊に俺は近づいていく。その背後からは第十悪魔が迫って来ている。
その第十悪魔に攻撃を始めたプレイヤーたちの横を俺は通り過ぎ、また悪魔軍の中に突っ込んでいく。
さて、あくまでも俺とケンジはこのイベントではサポートに回ろうと言った感じであるのだが、しかし目立ってしまっている事は否定できない。
それ位しないとプレイヤー勝利でイベントが終わらせられないとの判断だからなのだが。
それもコレもイベント難易度設定がMAXっぽいと言う事で。そこら辺の責任がそもそも俺にあるのでは?との結論に至っているのでしょうがないと腹を括っている。
「結局はゲームだから、最終的に「楽しかった」か「楽しく無かった」か、だけどな。そんなどっちの感想であろうともやっぱりソレは「勝利」って前提の方が余程良い訳で。」
誰だって「負け」は嫌なのである。勝って全てを「終わり良ければ全て良し」にした方が良いに決まっている。
「タイミングを見てまた一体釣って、っと。・・・向こうの部隊って第十担当か?そうじゃ無かったら只の迷惑・・・まあその時には俺が片づけても良いよな。」
こうしてまた一体第十悪魔を釣り出した俺はその時に見えたプレイヤー部隊の方に移動した。