攻略!悪魔王編!「救援は無し」
第三波は第十悪魔が中心になっていた。そこに第八、第九の混成大軍である。
俺はソレをちょっと小高い丘の上から眺めながらケンジに問う。
「これはヤバいね。どうする?砦とコッチと。また俺が砦に行った方が良いかな?」
「うーん、ちょっとこれはどうなんだろ?ここから見てプレイヤーと悪魔とでそんなに数の差は無さそうだよ今回のは。」
「じゃあちょっと様子見から始めようか。第十の方はどうやらプレイヤーは攻略法を組み上げたみたいだし?」
そう、プレイヤーたちはこのイベント前の段階で第十との戦闘を充分な回数熟していたのだ。
なのでこのままぶつかり合えば専門で第十にぶつかる部隊と、第八第九に攻め込む部隊とは別れるはずである。
第十を抑え込めたならばそこまでの苦戦を強いられる様な布陣では無い今回悪魔軍は。
けれども先ずはそうする為にも悪魔軍から切り離す様に誘導しつつ戦闘をして第十を孤立させないとならないだろう。
「コッチの草原の方はまだ大分ぶつかるまでは時間がありそうだし、ちょっと砦の方見て来るか。どうするケンジは?」
「魔王の方が脚速いし、と言うか、空飛ぶし、僕はこっちで待機してようと思う。」
こうして俺は砦の方に迫るだろう悪魔軍の確認をしに行った。
そこで見たのは静かな静かな地平線。そう、敵がこちらには迫って来ていないのだ。
俺はここでケンジとチャットで相談をする。
『ケンジ、砦の方は何故か何処を見ても敵が迫って来ていない。第一波の時はケンジ、敵がいつの間にか砦に接近してたって言ってたよね?隠蔽?俺の目からして周りにそう言った部隊は発見できないね。』
『んん?そっちは大軍が迫って来てないの?どう言う事?・・・あ、ヤバイね。たった今コッチ悪魔軍の援軍が入って来てる。追加でヤバい数が出現してこっちに来てるわ。』
『この第三波は草原の方のプレイヤーを殲滅してから砦に攻め入る、って感じなのか。じゃあこのまま砦に閉じ籠っていてもしゃーないジャンこっちのプレイヤーは。』
『物資と援軍が必要になるね大量に。そっちが今からコッチに来るとしてギリギリになりそう。早い所助けに来て欲しい感ある。魔王みたいな速度がプレイヤーには出せないからしゃーないけど。』
『じゃあちょっとその点の事を砦内に教えてくるわー。何かこっちのプレイヤー「敵こねー」とか言って緊張感ゼロっぽいし。』
『助けが来ないとこっちのプレイヤーはリソース全部吐き出さないと耐えられない感ある。説得ヨロ~。』
こうして俺は砦に近付いてこの第三波の状況を伝えてみた。
「おーい!コッチの砦には悪魔は一切来ないみたいだぞー!主戦場になってる草原の方にヤバイ数が押し寄せていて救援要請が出てるー!物資の方も求められていて早急に持って来てくれってよー。」
「はぁ~?」
俺は砦の門の外側から大声でそう伝えたが、反応が鈍い。門番らしき役目をしているのだろうプレイヤーが俺とやり取りしてくれたのだが。
「誰か連絡来てる奴が居ないのかー?既にもうそろそろ向こうはぶつかり合うタイミングだから今すぐに向かわないと間に合いそうもないぞー!?」
「こっちに伏兵が来る可能性もあるんだから向かえるはず無いだろ。そんな事も分からねーか?」
そんな感じで冷たく突き放された。しかし食い下がる俺。
「それ所じゃ無い数が向こうは押し寄せてる。砦の方は防衛用の数をギリギリ残して少しでも物資を向こうに持って行かないと向こうが呑み込まれちまう。そっちの判断ができる奴は?俺の目からしてもこっちの砦に攻め入ろうとする悪魔軍の伏兵とかは見えないぞ。そっちの看破系スキル持ちの見張りは何て言ってるんだー?」
「向こうには救援は出さないぞ。これは決定事項なんだが?」
「貢献度で「救援」のカテゴリーあるんじゃないか?もしかしたらこれで高ポイントゲット!みたいな感じで上位入賞するかもよ?そうしたら豪華アイテムが貰えるんじゃないのか?」
「あー、あるかもな。それでもウチのリーダーは出さないって決断したんだよ。救援に出した奴らを横から強襲、ってな感じでやられたら混乱と被害がデカくなりそうだってよ。」
「ソレが事前に分かってるなら対処と覚悟もできるだろ?何で一人も出さないんだ?」
「万が一にもこの拠点が堕ちればその後がもっとヤバいだろ?ソレを考えてって事だよ。」
「了解、砦の方の意見は理解した。じゃあ俺は戻るわー。」
「おう、頑張れよー。」
『ケンジ、どうやら俺たちの出番らしいよ。』