攻略!悪魔王編!「届け、この思い」
俺は僅かずつ、しかし足を止めずに迫って来る第四悪魔を見つめていた。
「圧し止められて無いなぁ。もしかして第四だけじゃ無くて他の悪魔もセットでプレイヤーの邪魔に入ってるのか?」
魔法職の攻撃魔法が大量に第四悪魔に着弾しているのがこの距離からでも見えてはいたのだが、それでも第四悪魔が完全に足を止めると言った空気は見られない。
俺が向こうに出向いた方が良いのか、それとも万が一に備えてここで待機していた方が良いのか、判断に迷う。
「あ、なんだ、ここからでも届く遠距離攻撃があれば支援ができるじゃん。・・・やっても良いモノだろうか、それは?」
一応は膨大なMPを使って遠距離攻撃はできなくも無い。しかしそれがこの距離で届くか?と言われると、届く、確実に。
じゃあソレをやった場合、プレイヤーの助けになるか?と言うと、多分なるだろう。
「貢献度的にその時はどうなる?直撃した時の威力調整とか分からんぞ?と言うか、当てられるのか?めっちゃ小さいじゃんこの距離から目標って。狙い外して通り過ぎちゃいそうじゃん?」
幾ら第四悪魔が巨体であってもだ。それがまるで小指の爪程の大きさにしか見えない位に距離が離れているのである。
そんな距離から狙って撃っても当たらない可能性の方が高いだろう。当てる自信も俺には無い。
だがこれ以上、今以上に現状が悪くなる前に試してみた方が良い事でもある。もしかしたらマグレで当たる可能性も否定できない。
「これじゃあギャンブルと変わらんなぁ。まあMPは余り気味だから一撃くらいはやってみても良いか。」
外れた時にはソレを修正して二発目、三発目を放ってみて、それで駄目そうならその時に止めればいい。
MPにはそれ位の余裕がある。と言うか、有り余っていると言っても過言では無い。
「MP自然回復があるんだよなぁ。それが化物じみた回復量って、いや、そもそも「魔王」だから当たり前なの?」
俺は拳を握ってそこに意識を向ける。遠い目標を外さない様にする可能性を上げるならば砲弾となるモノを巨大にすればいい。
拳にMPをばんばん注ぎ込む。以前に第六悪魔に撃ち込んだ例のアレをもっともっとデカくしたモノを第四悪魔を狙って放つ。
「これ位大きければ掠るくらいはするだろ。・・・と言うか、威力が減衰して着弾威力が減るとか有り得るか?まあ、良いかそこら辺は。」
そこまでの速度は出ていないその巨大な光の丸い塊。だが確実に第四悪魔へと向かって進んでいる。
「あ。躱されるかもしれないって所までは考えて無かった。うーん?しょうがないか。後は運を天に任せれば良いや。・・・遠距離からでも多少は軌道修正とかできんのかね?」
遠距離攻撃を自由自在に操作できるとかアルアルパターンだ。俺はソレを少しだけ意識してみたのだが、余りにも既に遠くに行ってしまっていてソレがどれ位修正できたのかがイマイチ分からない。
「うーむ、ならいっその事狙ってる第四悪魔をずっと意識していればそっちに勝手に命中してくれるかな?それ位しかこの距離で出来る事は無さそうだ。」
こうして俺はまだ到着までもう少し時間が掛かりそうな光弾へと視線を注ぎ続けた。