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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「一瞬の判断が」

 僕はこの第二波を乗り越えるには相当な綱渡りになると感じた。

 陣形効果と言われるモノで強化状態にあるプレイヤーたちは確かに今第四悪魔と拮抗した戦いをしていると言える。

 でもいつこれが何処で崩されるか分からない。一瞬の油断できっとソレは起こる。

 そしてその油断をきっとプレイヤーたちはする。必ずする。ソレも一番キツイ場面でやらかすのだろうきっと。


「この予感は的中しないで欲しいけど、でも、ずっとザワザワした感じが消えないんだよなぁ。」


 良く言う「テンプレ」そんな場面でソレは起こるんじゃないかと僕は思っていた。

 それがどのタイミングで、って言うのまでは分かりはしない事だけど。それでも絶対にプレイヤーは「やらかす」と。


「僕の出番はきっとそこだよなー。僕もこのまま一緒に突っ込んで行って暴れたい衝動に駆られるけど、我慢だ、慎重に、だ。」


 僕は一歩引いた距離と言える場所から戦況を見張っていた。しかも丸薬を一粒出して準備した状態で。

 ヤバい場面に飛び出してフォローを即座に入れられる様にだ。

 油断からの総崩れ、それが起こったらもう立て直しが不可能かもしれない。

 もしかしたらそこに即座に僕が全力で割り込めれば、それができるかもしれない。


 一瞬の躊躇いがその生死を分ける、そんな切羽詰まった深刻さで考えてはいないのだが。それでも素早く、後悔が無い様に動ける様にと思って準備万端の状態にしておく。

 武器はドリルがまだあとほんのちょっと使えるだろうから限界まで使うつもりだ。


「ドリルが駄目になったら武器に関してはハンマーが妥当かなぁ。一応は準備してあるけど。って言うか、どう見ても悪意しか感じないよ?コレ?」


 その見た目は凶悪。バスケットボールよりも二回り程大きい丸い形で棘が付いている。そんな鉄の塊だ。コレもまたドワーフに作って貰っていたのだが。

 ハンマー何てどう作っても良いだろうと思って形状の事は気にせずに自由に、そして頑丈なモノを作ってくれて良いと言ってあったのだ。

 僕は何をどう作ろうと「ハンマー」なんだからその形は別におかしな物にはならないだろうと思っていたのだが、結果はコレだ。

 剣などと言う振る際に刃を立てて切らねば効果が出ない武器よりも、何処をどう当てても同じ効果を出せるだろう打撃武器をメインにしようと考えたからこその「ハンマー」だったのだが。

 これは丸薬を使用した際のパワーアップをコントロールしきれないので「斬る」と言う行動よりもっと単純な攻撃にすれば制御とかをもう少し考えなくても良くなると思っての事だった。


 そんなこんなでドリルとハンマー、その二つを手に持って僕は戦況を見つめる。

 今の現状では既に一体の第四悪魔がボロボロにされて倒れる寸前だ。

 コレの相手をしていたのはどうやら以前に第四悪魔を討伐成功した動画を流していたグループの様子。

 この戦場に出ているのは弱体化している第四悪魔なのである。そうなれば戦い慣れた者たちからしたら当然の結果、倒して当たり前と言った所なんだろう。

 そしてそう時間を掛けずに一体目を倒す事に成功していた。そして討伐された第四悪魔が地に倒れたその時にその重さで地響きを引き起こす。


「あ、ヤバイ。」


 遠く離れていた僕の場所までその振動は伝わって来ていた。

 ならばその発生源の側で戦闘していたプレイヤーたちにはどれ程の揺れが襲い掛かっていただろうか?

 ふらつく足元、踏ん張りがきかない、揺れに驚いて目の前から意識を逸らす、攻撃を仕掛けようと踏み込んだのに揺れに驚いて止まってしまう、などなど。


 これは効果が抜群だ。初見殺しだ。ここにはそもそも第四悪魔とバトルした事が無いプレイヤーの方が多い位である。


 僕は迷わなかった。


 ここでまだ本当は出て行かないでも良かった場面かもしれない。これのせいでプレイヤーの陣形が崩れてもまだ立て直せたかもしれなかった。

 けれども丸薬を即座に飲み込んで僕はドリルにMPを注ぎ込む。

 ソレを丸薬効果で爆上がりしたステータスで全力を使って投げる。


 その目標は今にも「ビー◯サーベル」でプレイヤーを薙ぎ払おうとしていた第四悪魔。その胴体ド真ん中。

 投げたと同時にヒット確認もしないで僕は既に走り出している。向かう先はドリルで狙った奴とは別の第四悪魔。

 ドリルで多少の邪魔ができたらいい、もしくはソレが無駄に終わっても関係無い。そんな感じだ。恐らくはコレでドリルは使い物にならなくなってしまうだろう。しかしソレで良い。

 それこそ残りは三体も居る。ドリルを投げつけてやった個体以外も今この時プレイヤーを狙って動いているのだ。

 狭い視野で物事を見ていると局所的な解決にしか導けない。このイベントはプレイヤーの勝利で収めるのが一番の目標だ。

 一体に固執して立ち向かうのではなく、全体を通してのフォローに入らねば今のこの危機は乗り越えられない。


 さて、ステータス爆上り状態の今の僕に複雑な動きはできない。

 なので今の僕にできる動きをシミュレーションして即座に狙いを定める。


「ひ!ざ!かっ!くうぅゥぅゥぅう!・・・んん!」


 僕は爆速ダッシュで勢いの乗ったジャンプで第四悪魔の膝裏へとハンマーの一撃を食らわせた。

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