攻略!悪魔王編!「ソレは無きゃダメだろ」
俺は砦の方に向かう。第一波の時とは逆となった。
「いや、ケンジの読みは当たってたな。でもまあ開始して直ぐだし第四悪魔はまだまだ地平の彼方だなぁ。」
しかしこの間にも僅かずつこの砦に近付かれているのだ。もし接敵されたら即座に砦は落とされると見て良い。
この事は誰もが思った事なのだろう。砦からドンドンとプレイヤーが出て来て陣形を取り始めた。そして一気に駆け出していく。
どうやら指揮系統ジョブのスキルで移動速度が相当に上がっている様でその姿があっと言う間に小さくなっていく。
「俺も向かった方が良いか?いや、最終防衛ラインとして残っていた方が良いか?・・・あ、いや、向こうに注目させておいて砦を奇襲部隊がって事も考えられるか。別にアナウンスは「第四悪魔を全て倒せ」ってクリア目標が一々出て来た訳じゃ無いしな。」
俺のここでの役目はあくまでも砦を落とされない様にする事だ。それを忘れてヒャッハー!してはならないのである。
幾らお祭りイベントでも大事な事を見失ってはいけない。俺がここに居るのはプレイヤーにこのイベントを勝利させる為だ。
「第一波の時のあの数の暴力は完全に運営がプレイヤーを勝たせる気無いって感じたしな。」
目の前の敵に集中させておいてその裏をかく。そんなやり方が今この場面で一番プレイヤーに嵌りそうなのだ。俺は砦の側で待機していた方が良さそうである。
「そう思うと本当にギリギリってタイミングで奇襲が来そうだよなぁ。」
第四悪魔が三体、地平に見える。それを砦に近付かせない為には砦から兵力を出して向かわせ早めに倒さなければならない。
目立つ囮、罠だと分かっていても、それでも向かわねばならぬ相手。どうしてもそちらに視線が向いてしまう存在感。
「いやいや、本当に嫌らしい策を取って来るよね、」
草原組と砦組で戦力をバランス良く分けないとどっちかが全滅するだろう。
いや、寧ろソレができていたとしても両方潰されると言った可能性も大いにある。
「第四だけならまだ分かるけどさ?だけじゃない、んじゃないの?」
他に第八第九がセットになっていればプレイヤーは苦戦必須どころの騒ぎじゃないだろう。
早々にリスポーン案件、接敵した瞬間に殲滅させられる可能性が。そうなれば運営の悪意のハッピーセットである。
「物資がどれ位スムーズに補給できるかが勝利の鍵かね?」
そこまで考えてケンジの方はどうなるだろうかと思いを馳せる。そうなると向こうもヤバイ状況にこの分だとなる可能性大だ。
「草原戦線を俺が早々に片付けてこっちに来れば良かったか?いや、うーむ?ソレをしちゃうと過剰になっちまうかぁ。」
このイベントはぎりぎりまではプレイヤーに任せる、そう決めていたのだ俺は。
貢献度の方も上位入賞などは狙わない、そうも考えていた。
でもプレイヤーがピンチになればなる程に俺が助け舟を出す回数が増えると言う意味で、それは。
「そうなったら貢献度もめっちゃ入るって事に。うん、そう考えたらもう第一波の時の件は相当稼いじゃった感あるぞ?」
そうなったら出だしから「討伐数」辺りで俺が一位を確実に取っちゃった感がある。
貢献度の「ジャンル」はかなりの数あると言った運営からの発表。その内訳は公表されてはいないのだが。
倒した敵の数と言ったのは確実にあるだろう。戦争イベントなどと銘打っているのだ。それが無いなどと言うのは有り得ないだろう。
「うーん、これって俺が出しゃばっても、出しゃばらなくても、結局は貢献度を稼いじゃうって事かぁ・・・」
俺は遠い目をしながらまだ地平の彼方に居る第四悪魔の方に視線を向けた。