攻略!悪魔王編!「こっちもヤバかったから向こうもきっとヤバイだろうな」
巨大な火柱が上がっていた。僕はその熱に逃げる瞬間少しだけ背中を炙られた。
丸薬の効果時間はまだ切れていない状態で、その撤退した時の速度は尋常じゃ無かったはずなのに、である。
「うぉぉぉぉぉおお・・・アレに巻き込まれて死ぬかもしれなかったと思うと背中がぞわぞわする。何だよ、この威力は・・・本当にコレ自爆用なのかよ・・・」
もし今の僕が丸薬効果でステータスが上昇していなければあの炎の中に呑み込まれていたきっと。それを思うと残りの一個を使う場面がまた来た時には気を付けねばならない。
(そんな事を考えちゃうと、それはきっと「フラグ」になるんだろうなぁ・・・ヤダなぁ・・・)
その火柱の範囲はギリギリ砦の前までで止まっていた。と言うか、それでもギリギリアウトと言って良い。
その熱は防壁上に居たプレイヤーたちに「熱ダメージ」を与える程だったから。
「うおぁっちぃぃぃ!?」「あッっっ!?あっっつ!熱ううううう!?」「あちちち!アチチチ!あちぃぃぃい!?」
「うおああああ!?」「ひぃィィィっ!?」「のおおおおおお!?」
様々な叫び声が響くが、火柱の効果はまだ続いている。熱から身を守るために物陰に隠れようとする者、防壁上から飛び降りて熱から逃れようとする者、遠くへと離れて行く者などなど、混乱が生じた。
ソレが治まった時にやっと誰かが号令をかけた。開門、と。その時には門の外に悪魔の姿は一つも見当たらない。消し炭になったのだ、効果範囲に居た悪魔は影も残さず、一つ残らず。
(ドンダケの威力なんだよ、ドン引きだよ・・・あー、ここで幸運だったのは、あれだけの熱量に炙られて門が変形して開かない、何て展開にならなかった事かなぁ)
プレイヤーたちを炙っていた火柱は当然に砦の門にもその熱がバンバンと当たっていた訳で。
「ゲームの中なんだし、そんな細かい演出とかは無いか?いや、妙に変な部分にリアルを出してた所もあったりしたし、危うく砦から出られなかった可能性もある?」
僕がそんな事を思いながら砦を眺められる丘で観察を続けていると、一斉にプレイヤーが門から飛び出して周辺の悪魔に攻撃をし始める。
恐らくはこれでもう安心、そんな事を思ってここで僕はやっと一息吐いた。
「ふぅ~。それにしても数が尋常じゃ無さ過ぎだろ。運営はバランス考えてないのかな。」
この調子だともしかしたら中央の草原の方の戦いも相当ヤバい事になっているはず。
「これ、本当に大丈夫じゃ無いだろ。魔王はどうしてるかなぁ。まだ第四悪魔も、第十悪魔も出て来て無いのに、最初っからコレでしょ?プレイヤー勝てないよ?この調整じゃホントに。」
緒戦のぶつかり合いは僕と魔王で悪魔の数を相当に減らしてやっとプレイヤーが凌げると言った感じだこれでは。
もし僕らが居なかった、動かなかったりしたらプレイヤーは早々にこの戦争の勝利を手放す所である。
「・・・まさか運営はソレを計算した上でこの数を用意した?まさかなぁ。」
今回の砦の事は僕が結構ギリギリまでやって、やっとプレイヤーの反撃ができる様になったと言った感じだ。
多分僕では無くて魔王がこちらに来ていた場合はそう時間も掛けずに悪魔たちを全滅近くまで減らしていただろう。
その場合は攻撃に砦をも巻き込んで大いに破壊までしていたかもしれないが。
こうして僕は砦が「もう大丈夫」と言った様子になるまでプレイヤーたちの動きをよく見る事にした。
「指揮系統のジョブが入ってると集団戦の能力に倍率が大きく掛かるのかな?殲滅速度が結構早いなー。」
新しいジョブの強さがどんなモノか良く観察した後に僕はこの場を離れて魔王の元に向かう事にした。