何で俺だけ「アレから」
プレイヤーたちの動向がメインストーリーを追うと言った事が本格的に無くなり始めた。
最前線を張っていた「プロ」などと言われていたパーティーがレベルアップ、それと装備の充実を図って様々なサブクエストを攻略しているという。
この情報が流れる前は少ない数ながらも四天王、特にゲブガルに対して挑戦をしていたプレイヤーパーティーはいた。
しかしその「プロ」が諦めたと言ってもいいだろう動きが掲示板で流れた事でそれもプッツリと途絶えた。
だがまあ、まだ少しだけ四天王に挑む者はいた。いたのだが、それらは非常におかしなものであった。
動機、その理由が不純なのだ。
「いやー!来ないで!近寄らないで!き、キモイ!」
その一言で魔法を暴走させ、迫りくる多くのプレイヤーを屠るのはマイウエルだった。
そう、一部のプレイヤーがマイウエルへと迫っているのだが、それは彼女を倒そうと言うものでは無かった。
「カワユス!」
「こ、この角度で怯える表情がまた・・・ぐふっ!」
「お、お近づきになりたい・・・あの柔らかそうな手から繰り出される魔法で消滅させられたい!」
「おお、我が女神、貴女の手でこの命散らすは本望ナリ!」
「はあはあ・・・その可愛いちっちゃな足で踏みつけられたい・・・」
「の、罵ってくれ!俺を・・・俺を蔑んだ目で見つめて欲しいんだ!」
変態の集まりであった。この突撃にはしっかりと返り討ちを果たしはしたが、マイウエルはコレに精神を少々病み気味になりかけて魔王城へと只今避難中である。
で、今ミャウちゃんと俺とで一緒に彼女を慰めている。
「災難だったね・・・ああいった奴はどんな場所にでも一定数湧き出てくるんだよなぁ。こればっかりは絶滅できない存在なんだ。仕方が無い。マイちゃんの守っていた拠点は破棄しよう。残念だけど、マイちゃんの精神の方が大切だしね。」
「非常に残念です。私も妹にこれ以上の精神的苦痛は・・・。いや、しかしマイウエルの根性を叩き直すいい機会か・・・?拠点をこんな方法で落とされるなんて情けない。コレは非常に不名誉な事。魔王様の顔に泥を塗る行為・・・」
と言ってミャウちゃんがギロリと鋭い視線をマイちゃんに向けようとしたのを俺はすぐさま止める。
「駄目だよミャウちゃん。妹なんだろ?無理を言っちゃ駄目だよ。誰にだって我慢ならないモノってあるんだから。可哀想でしょ。俺が良いって言ったんだから。ね?」
俺のこの言葉で先程全身から妙な圧力を出していたミャウちゃんは直ぐに元通りになる。
「魔王様・・・うう、本当に申し訳ありません。でも、あのプレイヤーたち・・・う、うう・・・」
こう言ってマイちゃんがブルリと一つ震える。しかしその表情はもの凄く申し訳なさそうだ。
心では頑張って防衛に戻らなければ、と思っていても、どうしても身体が拒否反応を起こすのだろう。
「まだまだ大丈夫だし、それに俺はちゃんと言った通り、ピンチになったらこっちに逃げて来てね、って。やられそうなのが身体的か精神的かの違いなだけだし。ちゃんと俺との約束を守っただけだから、そんなに落ち込まないで。じゃあ、ミャウちゃん、彼女を落ち着ける場所で療養させてあげて。ゆっくりとさせてやって。その間に彼女に戦闘を強要しちゃ駄目だよ?再教育とか言って無理矢理プレイヤーを倒させに行くのは無しね?これ、魔王命令。」




