何で俺だけ「爆笑の四天王」
するとそれは俺の、魔王の手の中に光となって吸収された。
【貴方の持つ情報端末から魔族への指示が出せるようになりました。ボーナスポイントを自由に振り分けて勢力を強化しましょう】
目の前に出てきたその文字を読む。ああ、なんてこったい、と。俺はこのゲームでもう友人との大冒険ができなくなったのだ。
その代わりにその友を、プレイヤーを蹂躙するための魔王となって魔族の勢力拡大を目指すシミュレーションゲーをやらされるハメになった。
「うへぁ・・・トッモに連絡はできるだろうけど、どこまで言って良いのかね?許される範囲を超えていたらもしかして、文字化け?もしくは即座に削除?どうやって言い訳すればいいの?マジで訳分かんねー・・・」
未だにログアウトの文字は目の前のウインドウを操作しても見つけられない。と言うか、出てこない。
運営へのコールをしたくても、その項目すら何処にも見当たらない。
「マジでクソゲーか?いや、そもそも何万もの人がルーレットランダムをしても、それこそ、その中で一人しかレア職を得られたって言う情報しかないのに。俺が?魔王?まだ受け入れられないんですけど?」
平凡な俺の人生、これほどの受け入れがたい「運」の発動に戸惑いが治まらない。しかしミャウちゃんは説明を続ける。
「どうやら魔王様は復活したばかりでお疲れが出ている様子。ならば勢力強化を為さってからお休みになられてはいかがかと。」
どうやらチュートリアルはポイントの振り分けを一度してみれば終わるようだ。ならば直ぐに俺も現実の方で心を落ち着けたいので、これをさっさと終わらすしかない。
「じゃあ、やってみようか・・・んん?コレか?ポイント振り込み?お?出てきたな。どれどれ・・・」
出てきた新たな画面にはどうやらこのゲームの世界地図が。多分コレはまだプレイヤーたちには全く以て得られていない情報では無いだろうか?
運営からは事前情報などがそれこそ「ほぼ」プレイヤーへと与えられていないこのゲーム。このような世界地図と言うのは今目にしているプレイヤーは俺しかいないだろう。
「その地図に勢力圏がザックリ、何処に誰が配置されているかが載っている、と。でもさ、名前が配置されていてもどう言ったキャラなのかも分からんし、どう言ったステ振りと特徴を持ってるのかすら情報が無いじゃんね?」
「魔王様は未だに全てのお力が戻っておられない状態で御座います。ですのでそのお力の及ぶ範囲が狭く、今はそれが限界で御座います。封印をもっと解く事ができれば、より詳細な情報が得られるかと。」
ミャウちゃんはそう説明してくれる。どうやらバランス良く勢力強化と封印解除をして行こうぜ、と言う事らしい。と、ここで俺は質問をした。
「ねえ、ミャウちゃん。この名前が上がってる四つの名前の魔族の説明をしてくれない?」
「はい、では説明させて頂きます。では、最初は四天王最弱のゲブガル。彼は・・・」
「あ、なに?そんなの居るの?ちょ!笑うしかねえ!何ソレ!って言うか!ミャウちゃんが仲間のはずのソイツを、その、しし、ししし、ぷぷぷ!わ、笑える!四天王最弱とか言っちゃうのはよろしくないでしょ!所詮奴は四天王の中では最弱!我々四人の中の面汚しよぉ!とか!そいつが倒されたら他の残りの三人の四天王が言うセリフ!」
変な所に俺はツボり、しばらくの間、俺は玉座から動けない事すら忘れて笑い続けてしまった。