攻略!悪魔王編!「砦防衛はギリギリかもしれない」
さて、この様子だと中央の草原の主戦場にも、もしかしたら敵の大軍が押し寄せているかもしれない。
「これは参ったなー。防衛戦と言えども数が違い過ぎる。」
既に砦の目の前には雑魚悪魔がみっしり。何処にも隙間が無い位に。
第七と第八の雑魚悪魔が押し寄せてあっと言う間に砦は包囲されてしまった。
「これは丸薬を使わないと突っ込む事すらできないな。虎の子を減らしたくないけど、仕方が無い。戦争って聞いてドワーフに作って貰った新武器を試すのもこれ位数が居た方が効果の程も良く検証できるってモノかな?」
一応は見張りがこの砦にも立っていた。しかしどうやら敵は姿を消すのか、認識しずらい状態になっていたのか。
かなり砦に近付いてから発見されると言う手遅れ状態に。
そんな事で迎撃準備も足りないまま、砦の外に出陣して敵を圧し止めると言った事もできないままに閉じ込められると言った事態になってしまっていた。
砦の外に遊撃部隊でも出してあったならばもう少し違う戦い方もできたかもしれない。けれどもそれを今言っても仕方が無い。
籠城、これしか取れる手が無い以上はこのまま敵の数に磨り潰される未来しか待っていない。
「さて、僕がコレをどれ位減らす事ができるかにかかってる、か。砦の周囲を突っ走り続けて削っていくか、はたまた扉正面を何とか開ける様に減らして砦の中からプレイヤーに出陣して貰う様にするか。悩み所だな。どっちもやるか?いや、門の前を空けるのはちょっと難しいなー。」
砦はもう扉が開けれる状態じゃ無い。それこそ扉何て開けれる余裕が無い。開けた瞬間に砦内に一気に悪魔たちに侵入されてプレイヤーはそれだけで押しつぶされて全滅させられてしまうだろう。
僕は丸薬を取り出す。そして武器を構える。砦の側にあった少々小高い丘に僕は立っていた。
この位置から砦は良く見える。一気にここから駆け下りていく勢いも付けてあの「まるでゴミの様だ」な中へと突撃するつもりだ。
丸薬を使用したステータスならあの程度の雑魚に僕の突進を圧し止められはしない。
今回の為だけに作って貰ったドワーフ製の武器は非常に特殊な物だ。コレで一気に悪魔どもの中に穴を開ける。
覚悟ができた所で僕は丸薬を飲み込んで直ぐに走り出した。
そもそも丸薬を使用した時のステータスを僕はコントロールできない。
でもそれは細かい動きと言った条件を付けた場合だけだ。真っすぐに突っ込む、停止する、多少のカーブを付けて突進を曲げると言った簡単な事くらいは可能である。
で、今の丸薬を使用した僕の突撃は魔王の攻撃とはいかないまでも雑魚悪魔如きに止められるモノじゃない。
そこにまるで近くで見れば「壁」何て表現してもおかしくないその悪魔軍へとそのまま突っ込む訳で。
その勢いと僕の手にある新武器の威力で悪魔たちはまるで本当にゴミの様にぶっ飛び続けていく。
「おい!あれは一体なんだ!?」
そんな声が砦の方から聞こえてきたが、そんな事は僕には気にしていられる余裕は無い。
この丸薬の効果時間の計算も入れてここからの脱出も考えなければいけないのだから。
効果が切れて悪魔の中に僕一人、何て状況に陥ったら脱出は不可能になる。そうすれば死に戻りだ。
僕は砦内部にリスポーン地点を設定していない。なので復活する場所は死んだ場所になる事に。
そうなったらまた悪魔の中に僕がポツンと一人に。同じ状況でハメに陥る。コレで死に続ける事になったら僕は早々にこのイベントから退場になってしまうのだから今こうなっている状況で他の事何て考えている余裕は無い。
プレイヤーの砦を救う、それは僕が決めた事だ。別にここで放っておいても誰からも責められる謂れは無い。
だけどもこうして助けに出たからには最後まで僕は自分がやった行動に責任を持って動きたい。
時間制限があるその中で精一杯自分のできる事を限界まで。その後の事はプレイヤーに任せて僕はさっさと撤退だ。
(この武器、エグイよなー。魔王がドワーフに与えたチート知識で作られたドリル・・・形状がヤバい)
高速回転するドリルに鉤爪?みたいなのが付いているのだ。コレに触れた物はその威力で吹き飛ばされ、抉られ、切り刻まれと言った感じで粉微塵になる。それが僕の突撃と合わさって異常な事になっていた。
回転速度が尋常じゃないのだ。コレはどうやら魔道回路?魔力回路?魔導モーター?何だか分からないけれどそう言ったファンタジー世界観に無理矢理機械構造、機械知識をブチ込んだ代物となっている。
まあ、とにかくヤバい。僕が通った跡には何も残らないのだ。その僕の突進速度も丸薬効果で異常な威力になっているからさあ大変だ。
ドワーフも罪な武器を開発したモノである。
とは言ってもその空いた部分に悪魔が詰めていくのでその隙間も直ぐに埋まってしまう。
それ位の圧倒的な数の暴力がこの砦を囲んでいるのだから、さあ、僕の残り時間でこれを少しでもプレイヤーが後々で戦い易くなる位に減らせるかと言うと、ちょっと微妙な所である。
こうなると効果時間中を止まらず走り続ける事しか僕にできる事は無い。砦の全周を埋め尽くさん悪魔たちに僕はずっと突撃しっぱなしでがむしゃらに数を減らし続けた。