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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「トラウマを乗り越えよう」

 やっぱりか、そんな感想が俺の中で膨らんだ。ならばこの後に出て来る第十悪魔の姿の想像もつく。

「パワードコア5」のトラウマボス、その登場演出とそっくりなのだ。

 しかし出て来る敵の性能がそのままであるはずが無い。危険意識はより高くしておいた方が良いだろう。


「スピードで翻弄して来るだけならまだ良いけど。その他にも何か別種の攻撃方法があるかもしれない。ミャウちゃん、気を引き締めて。」


 思い出がどんどんと俺の脳内を占めていく。未だにハッキリと「パワードコア」を遊んでいた時の記憶が残っている。

 その当時の「5」のボスはこちらの攻撃をまるで未来予測でもしているかの様な動きで躱してきた。

 それでいて向こうの攻撃はこちらの回避行動をまるで最初から知っていたかの様に「置き」に来て最悪だった。

 それらの攻防に耐えて耐えて耐え抜いて、互いに遠距離攻撃のリソースが尽きた後に接近戦だ。

 しかしコレもまたこちらの攻撃は軽く躱されて思う様にダメージを与えられず、そして向こうの攻撃はこちらをジリジリと削って来るのだから非常に焦らされる。

 そうして我慢ができなくなって逆転を狙い無理矢理体当たりしに行くとコレをカウンターで切り返されて余計な大ダメージを食らってこちらの負け確定にされるという。


「そんな事を何十回もさせられた日にはトラウマになるってもんだよ。後々でそいつの攻略法を見た時には笑ったなあ。」


 真正面から戦ってもそんなモノだ。それで勝てるのは一部の神がかった動きのできるプロくらい。まあその動画も見た事があるが。

 一般人が勝つならこちらの攻撃方法を尖らせなければならなかった。一撃特化だ。

 バランス良く、お行儀良く、そんな汎用装備だとジリ貧で負けるのがオチ。ならばと言った感じでこちらの攻撃が確実に当てられる時に確定で大ダメージを入れられる攻撃を持つ事が推奨されていた。


 通常ならそうした特化型は戦術、戦略レベルで完全に封じ込められて勝率は遥かに低くなる。

 勝とうと思ったら平均型にした方が戦い易く、そしてソレが一般的には普通だった。


「パーティ戦は別にボスが用意されていて、そっちはそっちでかなりの苦戦をするけど、それでも手応え十分って感想の範囲内で勝てるからなぁ。」


「パワードコア5」のソロ専用ボスは多くの者たちに俺と同じトラウマを植え付けている。

 特化型で挑んだら「これまでの苦労は一体何だったんだ・・・」と言った何とも言えない気持ちにさせられる程に呆気無く勝てる。

 まあそれも汎用、平均型と比べたらと言った感じでしかないので勝つにもそれこそ相当に粘る事が求められるのだが。


 そもそもこの「パワードコア」シリーズはどれも初期装備のパワードスーツを装備して始まる。

 そこから様々なクエストを熟して金を稼ぎ武器を購入、時には敵から物資を奪い、或いは資材、素材を自ら採取しに行くなどと言った事をして自身のカスタマイズをするのが流れのゲームだ。

 良くある感じのそう言ったアクションゲームなのだが、その装備の種類の豊富さが売りで、そしてその見た目のデザインがカッコ良いと言うのも人気の一つであるシリーズなのだ。


 そして問題の特化型、こう言った形にするには裏道、横道に盛大に逸れた様な攻略が求められる。

 所謂隠しクエストなどを見つけてそれらを攻略せねばパーツも武器も手に入りにくいと言った感じになっていた。

 目的の「特化タイプ」もクエストを熟して確率報酬でしか手に入らないモノ、その報酬が十個以上必要になったりするのがあったりと一筋縄では行かない。

 時には得るのに特殊条件を達成していないとダメだとか、特定の敵パワードスーツから一定確率でしか奪えないと言った代物とかもあったりと。

 時にはその特化型にパワードスーツを調整してくれる整備士を広大なフィールドマップから探し出さねばならない、などもあった。その特化型を完成と呼べる迄にするには多大な労力がそれこそ必要だった。


 シリーズが今「7」であり、アップデートが頻繁にされていて今も大人気、とまでは行かないまでも、非常に息の長いコンテンツとなっている。

 新たに投入される武器、装甲、追加クエスト。だけじゃ無く、有名デザイナーを起用して追加される新たな機体デザインもユーザーから高い評価を受けて未だにこの「7」は遊戯人口が一切減らない、ばかりか地味に増えている。


「今の俺はこっちに集中してるから浮気はしないけどさー?目の前にこんなクソが出て来るとホント、イラっとさせられるわー。」


 出て来たのはやはり「5」のトラウマボス、と似て非なる存在。壊れた玉座の下に盛大な穴が開き、そこから全身真っ黒な「メカ」が出て来る。

 何処かで見たデザイン、しかし全く違う。俺のトラウマを刺激して来る見た目なのに、記憶の中のそれとは全く異質の雰囲気。


「あー、そう言えば確かに「5」のボスも全身が黒かった。こいつも黒いのはやっぱりシリーズ開発者が混じっててコイツのデザイン担当してるよな?」


 このまま戦闘になった場合、この第十悪魔はこの玉座の間を縦横無尽に駆け回り、飛び回りと大暴れするだろう。


「何度も何度も俺はその当時思った事がある。足止めしてくれる仲間が居たらこんな奴もっと簡単に倒せるのにな、って。」


 第十悪魔が全身をその穴から出した所で目に赤い光が灯る。これは戦闘開始の合図、「5」の時と全く一緒。

 俺もミャウちゃんも戦闘準備も心構えももうできている。


「じゃあ作戦通りに行くよミャウちゃん。」


 こうして第十悪魔討伐戦は始まった。

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