攻略!悪魔王編!「ファンタジーにアリか、無しか」
全てクリスタルを入れ終えると「ゾゴゴゴゴゴ」とかなりの音と振動が「逆さ城」で起こる。
「やっと御対面?コレをクリアしたら悪魔王が出て来るのかね?」
「魔王呑気過ぎない?僕の方が緊張し過ぎなのコレ?」
まだ倒しても居ないのに魔王がそんな捕らぬ狸の皮算用を口にする。その様子は余裕と言う言葉以外が当て嵌まらないと言った感じだ。
その逆に僕は最後の数字付き悪魔なのでその強さが未知数である部分に警戒心を最大にして盾を前方に構えて立つ。
その時玉座が落下した。そう、落下したのである。
ここ「逆さ城」は内部にある家具や装飾などは重力が「上」に掛かっている。落っこちてなんて来ない。
逆にプレイヤー、魔族は下に重力が掛かっているのでこうして上下逆さになっていない訳なのだが。
しかしこの城の揺れが収まった後に直ぐ玉座は落ちて来た。そして先程迄ソレがあった部分には大きな大きな黒い穴が発生していた。僕も魔王もソレを見上げて観察を続けている状態だ。
「・・・コアが出て来るのか?それとも分体の方か?どっちでも良いか。コアの方だと楽なんだけど。」
落下した玉座が壊れる音も気にせずにその穴を眺めてそんな事を口にする魔王はまだ余裕そう。
その穴から黒と銀のマーブル模様の「コア」が下りて来るまでは。
「全員城から退避!直ぐに逃げるぞ!脱出!」
いきなりそんな事を言って魔王が即座に玉座の間を出て行く。コレに何の疑問も反論も無く他の魔族もコレに付いて行って撤退をしてしまう。
「・・・は?何で?」
これに呆気に取られた僕は意味が分からずに動けず仕舞い。
撤退に反応し遅れた僕は何が何だか分からない。逃げる魔王について行こうとワンテンポ遅れて後ろを振り返る前に僕の視界には奇妙なモノが入り込む。
「何だよコレ・・・」
その「コア」はまるでルービックキューブの様に各所がクルクルと回転していた。
僕はコレに何が起きるのか最後まで見届けようとしてしまう。そして後悔した。
「・・・パワードスーツ?いや、このデザインと似たロボが出て来るゲームは以前に遊んだことあるなぁ・・・」
どうしてこんなメカデザインが「コア」から変形して出て来るんだ?そんな感想だ。
ここは魔法と剣のファンタジーでは無いのか?そんな事を考えてしまう。
そして魔王が何でまだここまで変形もしていなかったマーブル模様の「コア」の時点で撤退を叫んだのかが分からなかった。
魔王の力ならこんな相手くらいは楽勝じゃないのか?と。
だけど考えてみたら僕は慎重さを魔王に説いていた。そうして魔王が「マズい」と勘で判断して自分以外を何ら支障無しに逃がす為に自ら即座にこの場から逃げ出したのかもしれなかった。
そこまで考えてそのロボ?の腕に銃口が付いているのに気付いた。しかしもう遅かった。
ソレが既に僕の方に向けられている。引き金は付いていないのでその弾丸が放たれるタイミングすら計れない。
ばあん、何かが破裂する音と共に僕の左肩には風穴ができていた。
「・・・コレ、逃げれるのかね今更僕は?」
それでも即死しなかったのは運なのか、或いはこのロボの狙撃標準が修正されていなかったからなのか?
どちらにしろ頭や鳩尾にこれが撃ち込まれていれば僕はこの場で死亡していた。
しかしまだ僕は生きている。こいつから逃げ出すチャンスは残されている。
ここで迷わず僕はあのアイテムを取り出して直ぐに使った。