攻略!悪魔王編!「もうひと踏ん張りしないとダメらしい」
「魔王、先ず初めに後先考えないで行動しないで欲しいんだけど?」
「いや、ちょっと俺も思う所があって焦ってるんだよね。いや、焦ってるとは言わないのかなー?」
首をちょっと傾げて魔王がそんな事を口にする。どうやら魔王には魔王で何かしらがあったらしいけど。
それでも僕は追加できつめに「こっちに被害が出たらどうするの?」と言っておいた。
ソレはそれでこのクリスタルだ。クリスタルか?まだその落ちて来たソレを僕らは触っていない。何せこれが何なのか分からないから。
危険なモノだったらどうするか?持った途端に何かしらの「発動」があったら?ソレを手放せなかったり、或いは止められ無かったりしたら?
ついでに時間制限なども出てくればもっとテンヤワンヤで思考が狭められてしまう。
「よし、俺が拾ってみる。」
「いや、駄目だよ。僕がやる。」
魔王がそう言って落ちているその青い塊に手を伸ばすけど、それを僕は止める。
この先、魔王に何かと先行して行動されるのはこっちの身が持たない。
魔王は今慎重さをその身に宿していない。その事でこっちが被害を被る危険性を考慮していない。
魔王は頑丈だから無事だった、しかし周りの者たちが巻き込まれて死人が出た、何てのは何があっても避けたい。
「死んでも生き返る保証がある僕がやった方が良い。コレがもし「デストラップ」だったら目も当てられない。皆、防御態勢で批難して。」
プレイヤーの特性である。コレで僕がやられてもリスポーンして戻って来る事ができる。
魔族は死んだら生き返れない。いや、そのできるアイテムは存在するけど、数は少なく使えるかどうかも検証できていない。
安全を最優先、そうするべきだ。これまでがそもそもおかしかったのだ。もっと魔王は慎重に慎重を重ねて行動するべきだったはずなのにひょいひょいとあっちこっち飛び回り過ぎである。
だけどもこれは所詮ゲーム、そう言った気持ちがあったので完全にその点がスルーだった。
「・・・手に持った感じ、何の反応も無いね。見た目からしてカチコチで硬いと思ってたんだけど、ちょっと柔らかいぞ、コレ?」
何も起きない事で安心した。これに僕はちょっと調子に乗って強めにこの青い塊を握ってみれば「くにゅ」っとした感触に驚かされた。
「それじゃあ次の見つけてある「罅」の所を探ってみようか。そうだな、急ぐ訳でも無いんだからケンジがやってみる?」
魔王が先程の事を反省した言葉を口にする。どうやらやっと未知への警戒心を取り戻せたようだ。
とは言ってもこれがあのお調子者の魔王でいつまで続くかは分からない。
なので僕は即座に動いて次の部屋の「罅」の入ったタイルを剥がす為にその端っこに剣を突き立てる。
ぐりぐりと多少抉って見れば簡単にパカッとそのタイルが剥がれ落ちる。そこからやはり同じくあの「クリスタル」が一緒に落ちて来た。
コレに魔王が安心した様子で調査隊に指示を出す。
「どうやらその「罅」が目印でこのクリスタルが埋まってるらしいな。それじゃあ残りは皆で手分けして取り出して行こう。」
どうやら罠などは無いだろうと言う事で他の残りは調査隊の魔族にやって貰う事に。だけどもクリスタルは慎重に扱う事を決める。
何せ僕はプレイヤーで、持っても大丈夫だった。しかし魔族がコレを触って何も起きないという保証では無い。
「取り出しておいてそのまま転がしっぱなしで良いよ。僕が部屋を回って直ぐに回収する。」
こうしてさっさとこの重要そうなアイテムは全て回収できたのだが。
「この後が問題かぁ。ケンジは他に何か気になってる所って見つけたの?」
「うーん、正直言って、コレを熟せば勝手に第十悪魔が出て来ると思ってた。ちょっと結論を出すのは早かったね。」
正直に言って、この「罅」を何とかしたらその後に直ぐ第十悪魔が出て来ると踏んでいた僕。
だけどもこのクリスタルが出て来た事でコレを何かしら使うギミックなどがあったりするんだろう。
次はソレを探さないといけない。コレに時間制限などがあったりすると余計に面倒だ。さっさと見つけてしまいたい。
「運営はそこら辺甘く無いんだな。さて、コレを使うとなったら、それらしいモノを誰か見つけて無い?」
僕は調査隊の面々にそう聞いてみたのだが、どうにもそう言った不審な部分を発見できていない様で、皆思案顔になってしまう。
どうにも流石に分かり易い所に運営はギミックを隠してはいない様だった。