攻略!悪魔王編!「もう少し、あとちょっと」
「あともうちょっとでもう一段階解放・・・長かったなぁ。コレでラスト、とかだったら、どんな力が解放されるんだろ?もしくはまだまだ封印がもっと多かった場合はソレを全部解放した時、この「魔王」ってどうなっちゃうんだろ?」
俺は「逆さ城」でのプレイヤー殲滅のポイントで後もう少しでと言う所まで来ていた。そう、俺の残っている封印の解放が。
なのでその必要ポイントをこうして悪魔を倒す事で稼いでいたのだが。もう目の前である。
「三日前に質問をしてきたプレイヤーはもう俺の事を追跡してきてないらしいし。その代わりに何故か襲って来るプレイヤーが増えたよなあ。」
そのおかげもあって予想していた日数を大幅に短縮して俺はポイント稼ぎを完了しそうなのだ。
フィールドにランダムリポップする様になった数字付き悪魔を倒しても入ってくるポイントは僅かだったのでこれは有り難い事だったのだが。
「魔王様を狙ったプレイヤーは全てが全て奇襲、暗殺などの汚い手を使う者ばかり。お許しさえあったら私が地の果てまで追いかけて磨り潰し切り刻み、その愚かさを悟らせてやるものを・・・」
ミャウちゃんが久しぶりに黒と紫のオーラを放出して静かにキレている。
「そいつらのおかげで俺の封印開放がまた一段と早まるんだから良いんだよ。はいはい、落ち着いて。」
そう言ったプレイヤーは全て返り討ちにしているのであるが、その襲って来る数が、回数が結構多かった。
ソレを片付けるのに結構な手間がかかっていてちょっとイラっとさせられていた。まあそれは最初の頃だけだったが。
コレを後半になると楽ちんだと思う様になった。何せ向こうが「飛んで火に入る何とやら」であったから。
こちらはプラプラと「奇襲に持って来いの場所」「木や岩の陰などが多い場所」に行けば向こうが勝手に飛び出して来てくれたから。
それらは必ずミャウちゃんが即座に「糸」で捕縛。その後はその時その時で組んでいたメンバーが自由に一撃入れてプレイヤーを攻撃すると言った連携を取っていた。
「うん、大分ヤル気が回復してきた。今回の封印を解いたら第十悪魔の攻略に戻ろう。気分転換は終わりだ。」
今はもう魔王国にポイントを注ぎ込まなくても勝手に発展している状態である。なのでこのポイントは封印を取り除く為に使うつもりだ。
と言うか、俺がインターネットで仕入れた知識をバラ撒いてしまった事で寧ろ研究者たちは「暴走」していると言った状態かもしれない。
俺が「止まれ」と言っても恐らく「やめられない止まらない」と思う。
(だって今「魔導化学」とか言うジャンルがウチの研究者の中でブームになってるんですよ?ついでに「魔導機械学」とか?そう言った学問を俺、全く理解できてませんが?何なの?マジでどうなって行くのこのゲーム・・・ヤッバ・・・運営、どうにかして・・・)
自分がやった事の尻拭いを俺は心の中だけで運営に求める。
そもそも俺は自分でばら撒いたそう言った知識を全く自分で理解できていないのに、魔王国の研究者たちは「ビバ!魔王様!」と喜び躍ってそれらの「応用」を既に幾つも思いついて実現しているのだ。
俺が「やらかした」事であるのだが、自分の力でこれらをコントロールできる自信が無い。
散々「運営が何も言ってこないから」と言った理由でこれまでやんちゃをやって来ているのだが。
「今更だよな。そもそも俺の方からコンタクトを取るって事がこれまでにも幾らでもできたはずなのに、それをしてこなかったんだから。」
手段さえ選ばなければ幾つか運営とやり取りを出来る方法は有ったはずなのである。
ソレをしてこなかったのは自分の意志だ。「問い合わせ」を放棄していたのは自分の方である。
「よーし、皆ここで一旦休憩ねー。ミャウちゃん索敵器の反応は?」
「この地から南に入った森に反応が「10」ありますが、如何しますか?」
この索敵器と言うのもウチの研究班が製作した物だ。その機能はその名前そのままであるが、形はと言うと「ドラゴ◯レーダー」まんまである。
このデザインは使っても大丈夫なのだろうか?版権とかあったりして訴えられても困る。
そしてこの機器に映し出される標的は「プレイヤー」限定である。
「うん、それじゃあ休憩が終わったらそっちに向かおう。」
こうして俺はいつの間にか「悪魔狩り」から「プレイヤー狩り」に変わっている現状を意識的に無視して次の標的の元へと向かうのだった。