攻略!悪魔王編!「それでも駄目だったら徹底的に」
僕としてはある程度の準備は終えられたと思う。魔王が全力出すとこれ程に「バカ」が付く位の強さを発揮するのをしっかりと確認できたから。
と言う事で心の準備もできたし予定通りに本日は第十悪魔の攻略を目指す。そして僕らは今のんびりとその「逆さ城」目指して進んでいた。
「とは言っても、このイベントをクリアしたら特殊系の方が出てこなくなるとか言うパターンになると、経験値稼ぎの方法が一つ減っちゃう可能性が。」
「ケンジはまだそんな事言ってるのか?納得したんじゃないの?」
一応は魔王に説得されて僕は今回の第十悪魔を倒す方に参加した。
まあ説得と言っても最後の止めを譲って貰って僕の経験値にして良いと言われただけだ。
数字付き悪魔を倒した時の経験値は相当高い。フィールド捜索してもこれ以上見つかるか分からない特殊系悪魔よりも確実に得られるだろう利益を取ったのだ。
「魔王が一緒に戦うのであれば勝ったも同然だしね。それにミャウエルも同行してるし、ポチも一緒だし?ソレと・・・過剰戦力?」
精鋭兵五十名が一緒にこの場に来ている。ミャウエルが「万が一に備えて」と言う事で引き連れているのだが、僕にはこれがどうしても過剰にしか思えない。
「そりゃまあ俺もそう思うけどね。ミャウちゃんは心配性、と言うか、当然の事なんだよ、その立場からするとね。」
魔王がミャウエルのフォローをする。まあ確かにそうだと僕もこれは納得できるものはある。
なにせミャウエルは魔王の側近だ。ならばそんな立場の人物が一番に先ず何を考え無ければならないか?と言えば、魔王の身の安全を第一に考えるだろう。
そして今回の第十悪魔の討伐は確かに何かが起きる可能性が高い。
全ての数字付き悪魔を倒したらその後の展開的に見て悪魔王が出てくる流れになるはずだ。これが一番確率が高い。
こうなるとソレが「何も無い」イベントか、「小手調べ」のイベントか、「負け確定」なるイベントになるかは不明だ。
もしかしたらそのまま「ガチ」での悪魔王とのバトルに突入と言った事も考えられる。
この内で一番最悪な結末になるかもしれないのは「負け確定」イベントだ。これは「普通」のプレイヤーならまだ安心できる。
こういった幾ら何をしてもプレイヤー側が負けるイベントはその後に「救済措置」が大抵は用意されるから。
だけども「魔王」と言う特殊な「プレイヤー」になるとこれがどの様な作用を齎すか分からない。まあ今の魔王が負ける姿は想像できないけれども。
だがそれでも、もし魔王すら「プレイヤー」であるからして「負けイベント」での強制力が働いて倒されて、殺されてしまえば?
魔王にどの様にして「救済措置」が反映されるか分からない、魔王はどうなってしまうか想像もつかない。
もしかしたらその「救済措置」が魔王には適応されない可能性もある。
さて、もしそうして魔王が殺されたなどと言った場合の、そうなった後の魔族の動きに関しても、どうなるかなんて誰にも予想は無理だろう。
(自棄になって暴れ回るとかになるのだけは勘弁して欲しいなぁ)
その次に、数字付き悪魔の後にもまだ続きで別シナリオが組まれている可能性。
運営がまだまだ勿体ぶって悪魔王を出現させないシナリオを組んでいた場合はもっとまだプレイヤーに挽回のできる場面は残っているだろう。
それ以外にもまだまだ思い付くパターンはあるのだけれども、その中で僕は一番気になるモノがある。
「ねえ魔王?あの黒ヤギはいつ出て来ると思う?」
「そうだねー。そう言えばそうかー。このまま出てこない、って事は無いよね、あれだけフラグ起てておいて。」
魔王もどうやら気にしていた様子だ。だけどもどんなタイミングで出て来るかと言った所まではやはり魔王も予想が付いていない。
まあそう言った予測ができる情報が全く以て皆無なのだからしょうがない。あれからあの黒ヤギが姿を現したと言った情報は掲示板の方にも流れていないのである。
動きが見られない事が不気味ではあるが、今は目の前の事に集中する時間となってしまった。
そう、「逆さ城」に到着したので雑談は終わりである。
「よし、ここからは俺とケンジで雑魚は狩る。スイッチ起動やトラップ何かの解除になったらミャウちゃんの方に任せるから。ソレと「コア」と分体は俺とケンジで一緒にやるから、皆はその間自分の身を守っていてね。それじゃあ入ろうか。」
予想ではこの「逆さ城」の中にあるスイッチやら罠やらを全て起動済みにすれば第十悪魔が出て来るという見込みなのだが。
「ソレが駄目だった場合の流れは考えてあるの?」
一番高い可能性が駄目だった場合の事も想定しておかねばならないだろう。何か他に第二条件などの目星の付いているモノはあるのかと聞いてみたのだが。
僕のこの質問に魔王が返してきた言葉に僕は唖然とさせられる。
「え?その時にはこの城の隅々まで破壊し尽くそうかなって思ってる。」
「は?マジでヤル気なのそんな事?え?脳筋?破壊魔?」
僕はまだまだ魔王の考える事に理解が追い付かないままに「逆さ城」に入った。