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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「最初の被害者」

 第十悪魔の件は俺のこの「魔王」の身体スペック調査をした後に攻略する事に決定した。

 と言う訳で魔王国にある訓練場、では無く、広大な草原フィールドに来ている。


「ここならどれだけ暴れても大丈夫そうだからな。さて、何からやってみようか?」


「先ずは走り込みとか?もしくはジャンプ力とか、耐久力?腕力とかも?えーっと、何を具体的に調べるかを決めてから出てくるべきだったね。正に行き当たりばったりな魔王らしいけど。」


 やっぱりケンジから的確なツッコミを貰う。俺は別にそんな細かい身体測定みたいな事をしようと思っている訳じゃ無いのでこれくらいで丁度良いと思っていたが。


「俺に何をさせるつもりだったのケンジは?単純な所からやってみれば良いでしょ。先ずはプレイヤーのステータス基準で一個ずつやってみるかね?」


 HP・MP・体力・腕力・知力・瞬発力・器用・運などがある。これらは基本。

 そして隠されたステータスと言ったモノもあって、ソレらは数値で、そして項目としてステータスには掲載されていないものも存在したりする。


「とまあ基本からいって腕力から、ドゾ。」


 ケンジがそう言って俺に声を掛ける。今回の事を動画に撮って投稿予定である。

 このアイデアはケンジが出してきた。良い加減プレイヤーに魔王の脅威と言うモノを教えてあげた方が良い、と。

 ソレとケンジ自身もこの「魔王」のスペックをちゃんと把握しておきたいとの事だった。

 なので今回の件は全て全力で行う事を約束している。


「ふうぅゥぅゥー・・・はぁァぁァー・・・!チェストぉぉぉぉぉおおぉおお!」


 俺は全力で地面を殴る。ここは大平原、誰の邪魔も入らない。だから全力を出す為に精神統一から初めて気合を入れてやってみたのだが。


「・・・魔王、これはちょっとマズい。結果がコレは・・・」


 ケンジの声が震えていた。そして「雑魚悪魔なんてそりゃ一撃でしょうよ・・・」と呆れた感じでそう口から溢している。


 クレーターができた。深さが1mはある。しかも周囲は半径3Mは陥没。それだけじゃない。

 その陥没した周囲は地面に罅が全方向に広がっていて、それが10m近く伸びてまでいたのだから俺も言葉を失った。


「アレ?これって一撃食らったらプレイヤーって「オシマイ」案件?」


「オシマイ所じゃ無いね、トラウマものだと思うよ?運営が調整明らかに間違えてるのがコレでハッキリしたね。それで何で魔王に干渉してこないのか、全く訳が分からないよ?」


 こうして確かめてみてハッキリと分かった。俺はそもそもバランスブレイカーと言う表現では収まらないのだと。


「良し!これは忘れよう!忘れようよ!ほら、もう良いんじゃないかな?帰ろっか?」


 俺は見なかった事にしようと思ったが、ケンジは「いや、明らかに無理でしょ」と、やはり的確なツッコミを入れて来て俺を批難する。


「いや、もう他の測定をするのって、止めておいた方が良くない?ほら、知らなかった方が幸せだった事なんて幾らでもあるじゃない?」


 そう言って俺は言い訳をしてみるのだがケンジがコレに。


「いや、この際だから事故が起こる前に全て調べた方が良いな。これまで良く不幸が起きなかったなと、本気で今僕は思ってる。」


「ハイ、ソウデスネ・・・」


 これが終われば第十悪魔を攻略するのだから、この機会にちゃんと調べておいた方が良いと追加で言われる。

 数字付き悪魔の最後の攻略だから、何があっても良い様にと言う事らしい。

 もし第十を倒した後に連戦で「悪魔王」と戦うイベントなど有れば、ソレは「負けイベント」の可能性もあるとケンジは言ってきた。

 そこで被害が出るにしても、ソレがなるべく小さいモノで抑え込めるかどうか?やれるだけの事をちゃんと今やっておいた方が、後悔した時にも納得しやすくなるとも言う。


「じゃあ魔王、次は瞬発力行こうか。まあこれは足の速さとか、動く際の初動の勢いが付きやすいとかあるけど。魔王の本気で・・・うーん?どれ位の距離が適当かなぁ。分からないね。」


 ケンジは取り敢えず俺に約200m離れる様に言ってきた。どうやらソレを走り切るのに何秒かかるかでソレを計ろうと言うのだろう。

 コレに俺は素直に従って走力テストを始めたのだが。


「よーい!どん!・・・って!?」


 ケンジが横で驚いている。俺も驚いている。全力って何だろう?と。


 先ずスタート合図はケンジが旗を振って合図を送ったのだが。俺はソレが振り切られた瞬間に足に力を入れて飛び出していた。クラウチングスタートだ。

 で、俺は一歩、二歩と踏み込んだと意識した時には既に俺はケンジの横を通り抜けていた。

 何を言っているのかサッパリ俺にも分からない。意識できたのはたったの二歩だ。俺は自分のこの「魔王」を舐めていた。舐め過ぎていた。


「200mが三秒もかかって無い・・・何したの?魔王?」


「いや、普通に踏み込んで真っすぐここまで向かってダッシュ・・・」


「かなりのホラーなんだけど。都市伝説も真っ青だよ・・・」


 こうして俺のスペック調査は続いたのだが、コレの最初の被害者としてケンジに小さいトラウマが刻まれてしまうのだった。

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