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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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閑話「タイムリミットまでの話合い」

 プレイヤーは選択を迫られた。このままこの「逆さ城」に残り続ければ3日後に魔族に、魔王に攻め込まれる。

 しかし逃げ出したら逃げ出したで惜しい。その気持ちがプレイヤーたちにはあった。


「くっそー。あともうちょっとだと思うんだけどなー。何処だよ、残りのフラグスイッチは。」


「発破掛けられちゃったけど、どうしようも無くね?後3日でソレを全部見つけて第10悪魔と戦って勝てって事でしょ?」


「あー、この間さー?ダチがプレイヤーと魔族が協力して、ほら、アレ、何だっけ?徘徊してるって数字付き悪魔をさ、倒してたっての?見たって言うんだよ。」


「それな。俺は掲示板見たわ。つかあれお前のダチかよ。つかそれデマじゃ無かったんかい。」


「ソレってもうタイムオーバー的な演出?それとも徘徊悪魔の方のイベント関連?どっちに関係してんだろ?」


「分かんねーってそんなの。どっちにしろ俺たちは早いトコ何とかしないと、逃げるか、徹底抗戦か、って感じじゃね?」


「え?和平交渉はしないの?」


「は?誰がやんのソレ?代表は誰?言い出しっぺがもちろんやってくれるんだよな?」


「人身御供有難うございます、死んでください。多分無駄死に乙。そもそも交渉にすらならないのが目に見えている。」


「ここの「逆さ城」って特殊なフィールドで、ほら、特定の入り口から以外から入れない様に見えない壁があるじゃん?ソレを利用してもしかしたら防衛戦とか余裕でできるんじゃね?」


「お前・・・ソレ採用!バリケードを急いで構築しといたら良さげ。」


「いや、そもそもこれまでの事を思い出せ、早まるな。お前はあの地獄を忘れたのか?」


「真正面から即座に突破されて戦線崩壊する未来しか思い浮かばんのだが?」


「じゃあ、どうすんの?このまま二択しか無くね?」


「無難に時間ギリギリまでスイッチ探し、のち、撤退だろ?普通に考えれば。」


「その普通が通用すればの話な?ソレができると思ってるのかよ?お前の頭の中は御花畑だな?これまでの事を考えればすんなりと帰しては貰えないと分かるだろ?」


「ソレを言ったら防衛戦もそうじゃん。中と外で挟み撃ちだよ?前門の魔族、後門は悪魔って、ねぇ?ソレってどんな拷問?」


「ここに出てくる雑魚悪魔って結構レベル上がってれば簡単にとは言わないけど案外すんなりと倒せるけどね。そこに魔族が攻めてくるのがハッピーセットはヤバい。」


「困った所の騒ぎじゃねーな、今の俺たちって。」


 プレイヤーたちは誰も彼もが言いたい放題。しかし問題の解決の糸口になりそうなアイデアも発言も出てこない。

 だがとあるプレイヤーの一言で今後の方針が決まった。


「宜しい、ならば戦争だ。」


 この言葉にこの場に集まっていたパーティリーダーたち全員が「は?」と言った顔になる。お前はここまでの話をちゃんと聞いていたか?と。

 しかしここでその戦争発言のプレイヤーは続けて言う。


「相手の戦力はこれまでの事で死ぬ程分かってる。体感させられてる。そしてここにはそもそも城の中に入る入り口は一つだけ。なら正面から攻め入って来るしかないだろ?さて、お前ら、魔王に一泡吹かせたいじゃん?己を知り、敵を知れば百戦危うからずだろ?」


 この「一泡吹かせる」にこの場の全員がこのプレイヤーの説明を聞く姿勢になる。


「じゃあ作戦を説明しよう。上手く行けば魔族の一人くらい仕留められるかもしれない。」


 彼らはどうしようも無い今の自分たちの現状に自棄になった訳じゃ無い。

 この「一泡吹かせる」作戦に一筋の光明をちゃんと見出したのだ。説明が終わると誰もが賛成の意を表明していく。


「良し!それじゃあ人集め、そこから防衛組と攻勢組を分けて行こう。もっと掲示板で呼びかけて祭りに発展させようぜ。」


 ここに居るのは確かに全員がちゃんとしたプレイヤーだ。魔族が「変装セット」で潜り込んでスパイ大作戦していたりはしない。

 魔族の諜報部、情報部が今この話し合いを盗み聞きもしていない。

 だけど彼らはそもそも根本的に大きな大きな穴が開いている事に気付けていなかった。


 魔族と一緒に数字付き悪魔を倒していたプレイヤーが存在する。


 この「戦争だ」の件は筒抜けなのである。彼らはその魔族と協力しているプレイヤーの事を全く頭の中に組み込んでいなかった。

 そのプレイヤーが掲示板を見ているなどと言う事が頭の中から抜けていた。間抜けも良い所である


 それだけでは無い。これは彼らは知る由も無いし、知り得る事ができ無い情報だから仕方が無いのだが。


 魔王もまた「プレイヤー」なのである。こんな理不尽を彼らは知らないのだ。

 知らぬが仏と言うが、これは余りにもあんまりである。だがこの事実は知らない方が良い代物だ。

 そして「運営」としてもプレイヤーに決して知られてはならない情報でもある。


 因みに、只一人例外で「無職」のプレイヤーがその事実を知っているのだが、これは彼が「魔王側」になった事で禁止事項が外れた事に因る例外中の例外である。


 こうして大々的に広められた今回の作戦は当然掲示板をチェックしたプレイヤー「ケンジ」も「魔王」も知る所となった訳で。


 こうしてこの掲示板を見た調子コイたプレイヤーたちがまた地獄を体験するハメとなる。

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