何で俺だけ「オドオドされっぱなしはこちらも困る」
三人目にはマイウエルに来てもらったが、予想とは違った。俺はてっきり男の魔族かと思っていたのだが。
「あ、あの、そ、その!わ、私がマイウエル・・・ですぅ。あ、あの、魔王様と謁見できて、その、光栄です・・・」
まあこの萎縮した態度はきっとビビっているだけなんだろうな、と思う。こんな強面顔の魔王と二人で顔を突き合わせているのだ。
こんなか弱そうな少女だったらビビッて当然じゃないか、と、こちらが少し申し訳なくなりそうだ。
「あー、えーっと?そんなに怯えないで欲しいんだけどな?別に俺は君に何かしようとは考えて無いし?それに俺はここから動けない状態なんだよねまだ。それにそこまで畏まらないで欲しいな?もっと気持ちを楽にしていいよ。別に怒ったり罰を与えようとは考えていないから。」
コレで少しは落ち着くだろうと思ったのだがマイウエルは周囲をきょろきょろと見渡して何かを探しているような様子を見せる。
「あ、あの、ありがとうございます。ですが、わ、私はそのー。えっと・・・言い難い事なのですが、魔王様にその不躾ながらお願いが、その、御座いまして・・・」
「え?別に良いよ?どんなお願い?俺が今できる事ならなるべく叶えてあげるよう努力するよ?」
この気楽さにマイウエルがぽかんと口を間抜けな感じで開いてしまう。それを直ぐに閉じで何やら決心をしてそのお願い事を口にした。
「す、すみません魔王様!私を四天王から降ろして頂けないでしょうか!無理なお話とは思うのですが、私はどうも争いをするのが苦手でして、そのプレイヤーを打倒すのも、どうにもいつも気が引けてしまって・・・」
「あれ?実力で四天王決めてるんだよね?で、それに勝ち残ったんでしょ?凄い力の持ち主なんだよね?それで戦うのが苦手?なんか事情が?」
俺はこの申し出に矛盾があるのだと直ぐに分かった。争いが苦手なのに力比べなんて出場するはずが無いだろう。
この事情を聴いてみたら俺には初耳事が。
「その、姉が私を良かれと思って、その四天王決定の力比べに半ば無理矢理出場させられまして、その、コワくて、暴走して、魔法を、その、暴発してしまい・・・そしたら・・・」
「え?君、お姉さんが居たの?ふーん、かなり無茶なお姉さんだね。」
「えっと、その、言い難いのですが、魔王様の、その、側近の・・・」
「え、マジ?もしかしてミャウちゃんが君のお姉さん?あちゃー、そっかぁ。それで暴発って?まさかそれでその他の魔族を吹っ飛ばした?」
この質問にマイウエルが小声で「はい・・・」と答えるのでどうしようかと悩んだ。このまま四天王を降ろしても良いモノかどうか。
ライドルから聞いたが、逆恨みをしてくるとか、下克上とか言った事は無いと聞いたが。もしかしたらこのマイウエルは恨まれているかもしれないと考えたのだ。
すると四天王と言う肩書が無くなればそう言った恨んでいる者たちが彼女へ危害を加えようとしないのか?という点だ。
きっとその四天王決定戦でのマイウエルの暴走魔法で蹴散らされた奴らが多くいる事だろう。そうなるとそうした奴らが徒党を組んで彼女を襲わないか?と言った事が気になった。
キャラだ、設定だ、ゲームだ、とは言え。このNPC達はどうやら俺では想像もできないような技術を投入されて、高度な知能を持っている存在だ。本物の「人」と相対しているのと何ら変わりが無い、違和感が無いのである。
なのでもしかしたら今の動けない状態の俺では知らない魔族たちも存在する可能性がある。そうなると、そいつらにもこうして独立した存在としての「性格」があるはずになるだろうきっと。
そうなるとマイウエルの身の安全、危機回避と言う点においても、彼女を四天王から降ろす事は出来ない。
きっと四天王から降りたら魔王の加護を失ったと思われて、そうした恨みを持った輩が彼女へと襲撃を掛けないとも限らない。
俺はその点をじっくりと説明をして降ろせないと説得した。
「ああぁァぁァぁァ・・・あの時無理やりにでもお姉ちゃんを振り切って逃げていればよかった・・・」
どよーんとした空気になってしまったマイウエルに俺は話しを変えるために俺の求めを説明した。
「ああ、自分がピンチに陥ったらすぐに今度は逃げていいよ。その時にはここに逃げこんでね。あ、それと、マイウエルって毎回呼ぶのは何だか面倒だから、今度からはマイちゃん、って呼ぶね。」
俺のこの宣言にマイちゃんがまるでどこかのコメディ漫画かと思えるような驚き顔をするのだった。




