表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
559/638

攻略!悪魔王編!「結論、良く考えたら他人事?」

 しかし僕らのそんな心配は現実となっていた。僕らはまだ運が良い方だ。何せまだソレとの接触は無い。


「で、それは多くの犠牲者を出しはしたけど、討伐された、と。」


 僕は掲示板情報を眺めながらそう口にだした。溜息と共に。


「はぁ~、検証班が只今情報を纏め中?答えが出るまでにどれだけの犠牲者が出る事やら。」


 とは言っても既にこの時の僕には大まかな流れは既に分かっていた。いや、違う。

 魔族は既にプレイヤーが動く前にフィールドに出始めた数字付きの同行を探っており、その情報が僕に齎されていた、と言うべきだ。

 それによればどうにも怖ろしい結論に至っている。


「数字付き悪魔が集結して「合体」するとアレになる、と。いや、本当にヤバいな?」


 プレイヤーが今回倒したと言うその「モビル●ーツ」もやはり弱体化しているモノであったらしい。

 今回の戦闘に「巻き込まれた」プレイヤーの中にはあの動画に参加した者も居たのだ。

 そのプレイヤーが掲示板に書き込みをした発言を読むと「以前とは比べ物にならない位に弱い」との事であるのだが。

 そんな言葉が信じられないと言える程の被害がこの度の件では出ている。


「見つけ次第に数字付きは潰しておかないと第四のアレが発生する確率が出るって事だもんな。運営鬼畜の所業。」


 最初からそう言った「仕組み」だったのかもしれない。それが魔王の動きが重なってこの様な状況になっていると。


「早過ぎたんだ・・・」


 恐らくは数字付き悪魔の完全討伐をやり過ぎたのだ。片っ端から短期間での第九までの悪魔を完全討伐。

 今回のこの騒動はこれが原因と言っても良いのだろう。僕の脳はそう結論付けた。


「コアが健在だったら数字付きは復活するフィールドが特定の位置から出てくる事は無かった。いわゆる専用ダンジョン、フィールドに居続けてプレイヤーを待ち構える形を取り続けたんだろうな。」


 だけども一気に魔王が、と言うかこれには僕も手伝っていたと言えるのだが。

 数字付きは自身を縛り付ける「コア」が破壊された事でこうしてあちこちのフィールドで復活する事になったんだろう。

 その代わりに弱体化した状態での復活しかできない。しかしその頻度はそこそこ早く、以前と比べたらリポップする速度が速い、と。

 そして復活が特定のポイント固定で無くなった挙句に、徘徊までする様になって、この広い「世界」を歩き回っていると。


「プレイヤーがこれを積極的に発見する体制を取れなければ、こうして広まった数字付きは互いを引き寄せ合い合流して合体、第四悪魔に、って感じか。」


 既に魔族の調査隊が各数字付きの発見、行動を観察しており、それを総合した答えがこれであった。


「おそらくはこの「悪魔王編」の寿命を長くする為の仕様だったんだろうな。でも、これちょっと今のプレイヤーにはまだ荷が重い・・・」


 運営はこれ程の短期間での数字付き悪魔の完全討伐を想定できていなかったんだろう。

 まあ幾ら最前線組の攻略速度を鑑みてもこれ程の「馬鹿」ができる程の攻略はできないと計算が出るはずだ。

 だけどもソレを成せる存在が一人居た。これを失念していたのか、或いは分かっていて放置したのか、どうなのか?


「魔王がなぁー。いや、ホント、マジで勘弁して?」


 僕はまだゲームにログインしていない。掲示板を眺めながらそうぼやく。

 本来だったらもっとこれは緩やかに変化が訪れるはずだったのだろう。コンテンツの寿命をなるべく長く保つ為に。

 コアの情報、それと完全討伐、からの第九悪魔の城の仕掛けに第十悪魔の城の「逆さ城」のギミック。これらの情報が徐々にプレイヤーに広まっていく事が想定されていたと思う。

 城のギミック攻略で時間稼ぎ、その間にこれまでの完全討伐した数字付きの動向や目撃証言、戦闘情報などなどがプレイヤーの間で検証などが行われて「モビ●スーツ」と言った流れとなり、それはソレはもっとプレイヤーの対応力が鍛え上げられてやっとソレが整った所で第十が撃破される予定だったと思う。


 だが今となってはそんな生易しい現状では無い。数字付きはもう既に残り一つであり、その逆さ城に至ってはまだまだプレイヤーのスキルレベルが足りていない、装備の充実が足りないと言う事で恐らくはかなり先までずっと攻略は為されないだろう。

 しかしそう考えるともうこの「悪魔王編」の攻略速度は余りにも偏ってしまったと言わざるを得ない。

 だって今の現状で第十に集中してもプレイヤーが攻略するのは現実的じゃない。

 それに加えてフィールドには数字付きが場所ランダム発生してソレをプレイヤーが積極的に見つけて処理をしないと、放置すれば討伐するのに多大な被害を齎すあの「第四」が生まれてしまうのだ。


「これは極端・・・ちゃんと住み分けができそうではあるけど。新人とか、中堅が集まってあの「第四」を倒すには無理が出るって話だよねぇ。」


 第十にはもう既に最前線組が攻略に乗り出してきている。大体の「上位」と言われるプレイヤーは最前線組に入っているのだ。今回のあの問題動画を配信したのは僕ではあるのだが。

 コレに勢い良く食いついて来た攻略最前線組はこれまで長い事、良い所を見せる事ができていない。そう言った上位プレイヤーと言える者たちが我先にと第十の「逆さ城」に集結していた。

 これの中には動画配信、ゲーム実況を生業としているプレイヤーも数多く、お祭り騒ぎに乗ってこの「逆さ城」に殺到していたりもする。


 こうなるとそのしわ寄せは新人、中堅と言えるだろうプレイヤーが自然と受け持つ様な流れに強制的になっていってしまう恐れがある。

 そう言ったまだまだ力不足と言えるプレイヤーが集まっても今回の第四悪魔の討伐は幾ら弱体化していると言われていてもその処理は非常に大事になる。

 こっちばかりに負担が大きいなどと喚き始めるプレイヤーが出たら炎上は必須だろう。まだ今はそう言った声は上がっていないのだが、時間の問題にも思える。


「そんな事になったら不満が湧くだろうな、それも相当数の。爆発した時にソレがどんな形になるか・・・おお、コワ。」


 ここまで来て僕は冷静になった。「ああ、僕はこれらに関しちゃ他人事だ」と。

 余りこうは言いたくないのだが、僕は「魔王側」と言っても良い状態だ。

 なのでこのプレイヤーの騒ぎに至ってはノータッチを貫けばいい。しないでも良い心配で不安になる必要は無かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ