攻略!悪魔王編!「嘘と本当をバラ撒く」
俺は今ケンジに撮影して貰っていた映像を確認している。これを動画サイトに投稿するのだ。
「うん、ちょっとカメラワークが悪いけど、しょうがないね。ケンジは隠れたままで撮ってたんだし。音声だけでもしっかりと取れてただけで今回はオッケーオッケー。」
大勢のプレイヤーに「勘違い」をさせておく為にこのやり取りをしていた映像を広めるのである。今回の件は生き残りのプレイヤーとの一連の会話さえちゃんと録れていれば大成功。これを今から流すのである。
事前にケンジと短い時間ではあったが相談をしておいて正解だった。プレイヤーが森から出てくる所からギリギリ撮影は間に合っている。
そしてソレをケンジに投稿して貰う。俺は最終チェックを終える。
「さて、ケンジ宜しく。さてと、コレで防衛訓練は終わった訳だけど、ミャウちゃん、総評は?」
「プレイヤーが弱過ぎて話になりませんでした。取り敢えず爆撃の後にまだ二つ程、迎撃策が残っていたのですが。予想以上に生き残りが少なく、それらを発揮させる場面が無くなってしまいました。」
「え?ミャウちゃんが数のコントロールしてたんでしょ?違うの?」
「確かにそう言った操作はある程度狙っていましたが、それでも私の予想を遥かに下回るプレイヤーの弱さが・・・早くも切り上げて魔王様のご登場を願うと言った結果になってしまい。」
プレイヤーに「光の力」を持っていた者が居たのは既に判明していたので、今後そう言ったプレイヤーが集まった場合の破壊力を測る為に様々な策を用意していたとミャウちゃんは言う。
しかし強力な手段を持っていたとしてもソレを使用する本人が脆弱過ぎたのは少々の計算外だったらしい。
「・・・まあ、その残った策はまた今度の機会にと言う事で。取り敢えず防衛って面で言うと大成功だったんだし、良いでしょ。」
俺はここで終わり良ければ全て良しと言っておく。
「さてと、それじゃあ今度は特殊系の悪魔が居るかもしれないって報告があった場所に行って見ようか・・・明日からね。」
今日はもう一段落したので残りの時間はゆっくりしているつもりである。
楽しみはそう即座にガツガツと飛びつくのでは無く、ゆっくりと楽しんだ方が良い。そんな事を俺が言う資格は無いのかもしれないが。
さて、まだ時間はあるし、余裕もある。あんまりアレもコレもと切羽詰まったかの様に熟してしまうと何もする事が残らなくなってしまうだろう。
見つかった隠し通路にはまだ誰も先には進んでいないし、プレイヤーに見つかって先を越されると言った心配も無さそうなのだ。ならば急ぐ事も無い。
「あー、報告してくれた魔族たちには明日にそっち向かうから、現場から今日はもう撤退しておいて良いって伝えといてくれない?」
俺はミャウちゃんにそう言っておいた。魔王に許された「通信」を使えばこんな伝言即座に終わるのだが。
余り緊急時以外の時にはなるべくなら使わない様にしていると決めているので「部下を使う」と言った手法を今回は取る。
たったこれだけの事であろうともその命を受けた魔族は嬉々としてこの仕事を熟すのだからオカシイ。
忠誠心とか、そう言ったのを通り越している部分がそこにはある。ここ最近はこれが狂信に近くなって来てないか?と俺は不安に思っている。
と言うか、ぶっちゃけ一部の魔族はそう言った「狂信者」になっている。直接ミャウちゃんが教育した部下たちがそれだ。
そう言った者たちと俺は余り接点を設ける事は少ないのだが、それでもその部下たちと偶に多少の接触をしただけで「洗脳されてない?」とちょっとゾッとする場面が少なからずあった。
とまあ、ミャウちゃんの部下への指導方針は良いとして。
「じゃあミャウちゃん、俺は今日の所はもう上がるね。後はいつ通りにヨロ~。」
こうして俺は今回の件の投稿がされているだろう掲示板を眺めに行く為にログアウトした。