攻略!悪魔王編!「新たな報告」
「今回の事が終わったら第十悪魔の本格的な攻略に乗り出そうか。フィールドに居るかもって言う特殊系の悪魔ってのが見つからなくても。」
魔王がそんな事を僕に言ってきた。今はまだ「地雷作戦」が発動中である。そんな時に呑気な感じで魔王はいるので僕はツッコミを入れる。
「まだプレイヤーに攻め込まれてるって言うのに緊張感無さ過ぎでしょ魔王。まあ、僕も人の事そう簡単に言えない位にリラックスしてるけど。だってミャウエルが総指揮を執ってるんだよね?プレイヤーが全滅する未来しか見えないんだけど?そもそも「逆さ城」ってそう簡単に攻略できる?恐らくでしか無いでしょ?第十悪魔が出現する条件って。それ以外のパターンも考えておかないと。楽観視は駄目だと思うんだけどな。」
僕らが今予想している第十悪魔の出現条件とは「逆さ城」の全てのトラップ、ギミックを起動させ済みにする事だと踏んでいる。
これ、簡単そうに見えて相当に難しい、今のプレイヤーのレベルだと。恐らく補助があっても駄目だろう。ドワーフの例の腕輪を装備していても。
そもそも魔族とプレイヤーとではレベルが段違い。そこにしかも罠系発見、看破、トラップ解除の腕輪があるのでその差は余計に滅茶苦茶プレイヤーとは懸け離れている。
だからその点の差を考慮、考察して「罠、ギミック」の全制覇がカギなのだろうと予想を起てているだけに過ぎないのだ。
ここで魔族が玉座の間に入ってきた。どうやら報告がある様子。
僕はコレに「どうせプレイヤーの全滅の事だろうな」と思ったのだが。
「報告致します。第七悪魔のダンジョンに隠し通路を発見致しました。ですがここで安全優先の為に内部調査をせずに待機をさせております。今後の指示を仰ぎたく。」
コレに僕は素直に驚いた。見つかったんだな、と。さてコレに魔王はと言うと。
「おー!?でかした!そのままその隠し通路の前で俺とミャウちゃんが行くまで待機でお願い。こっちはこっちでまだ片付かないから。終わったらそっちに直ぐに向かう。下がって良いよ。」
中々に上機嫌だ。魔王の考えは「見つから無い寄り」だったんだと思う。魔王が結構な驚きを見せたのでソレが僕には分かった。
何せこの報告を聞いて魔王は椅子から勢い良く立ち上がったから。
とは言えまだ隠し通路が見つかっただけ。その奥に特殊系悪魔が存在するかどうかはまだ判明していない。
けれどもこれまでの経験上、その通路の奥にはきっと居ると僕には思えた。
「魔王が行って倒してくるんだろ?さて、その間僕はどうして居ようかなぁ。」
「そっちはそっちで第十を進めておいてくれない?取り敢えず同時進行で。第十を倒した後のイベントどうなるか知りたいからねー。」
倒した後はきっと悪魔王が出て来るんだろう、そんな意見が掲示板には投稿されている。
誰もが「この流れで出てこないはずが無い」そう思っているのだ。
だけども僕はまだ一波乱あるだろうと思っている。それこそ特殊系悪魔絡みで。
(余り良い予感とは言い難いけどね。悪魔王がそうすんなりと出て来るとは、到底思えない。だって余りにもシナリオがそれじゃあ分かり易過ぎる)
捻りが無さ過ぎると僕には思えているのだ。一本道、それでいて数字付き悪魔はどれもコレも癖のある存在だった。これで素直に「ハイ、終わり」とはいかないと思えてしまう。
それと未だにプレイヤーに「コア」の話は広まっていないし、僕が出会った特殊系悪魔の事すら話題の「わ」の字すら上がっていない状況だ。
こんな状態で第十悪魔を倒しても良いモノかどうか?もしかしてフラグの回収が足りない状態でイベント解放して、さてそれでヤバイ事に陥らないだろうか?などと不安が湧き上がって来てしまう。
「心配し過ぎなのかなぁ・・・でも、なんだかまだ何かが足りない様に感じちゃうんだけど。」
それでも今は目の前の事に集中するべき、と僕は思い直したのだが。
「僕の出番なんてあるはず無かった。はぁ~、プレイヤーたちは今頃、吹き飛ばされてコッパミジンコなのかなぁ?」
ここで「もし自分が地雷原に入り込んでしまったら?」と言った妄想を僕はしてしまい震え上がった。