攻略!悪魔王編!「今このタイミングで?!」
僕は思っても見なかった。今更プレイヤーたちが「魔王編」に再びチャレンジして来るなんて。
ここ最近になってドワーフ製の武具が出回り始めて戦力強化が著しいプレイヤーたち。
この装備で様々なフィールド、様々なダンジョンに繰り出して「本編」?以外の冒険を楽しんでいるのが殆どだと思っていた。
自身の強さをより一層上げていく為にそうして各所を回って色んなイベントで手に入る品やスキル、特殊称号などを集めていると思っていた。
「装備が充実し始めた弊害何だろうか?今になって最前線組が魔王の城に攻め込む準備を始めてるなんてなぁ。」
今は僕のせい?で魔王の国の城門は封印が完全開放されていて、四天王の拠点に存在する開門の為のアイテムを四つ揃えなくともプレイヤーは魔王国に入れる状況となっている。
「まあそこまで辿り着ければの話なんだけどね。」
その魔王国に入る前に広大な森、大自然の壁があり、その自然の中には警邏隊が見回りをしている。
そもそもだ。その森に入る前にはもの凄く頑強で分厚くて高大なまるで万里の長城みたいな防壁が立ちはだかるのだが。
しかもそこにも警備兵が隙無く配置されていて侵入者を一人も見逃さないとばかりな感じである。
「掲示板でとうとう魔王国の事が話題になり始めたからなぁ。プレイヤーの反応としては予想内と言えるモノなのかな?」
これまでにホンの僅かな数ではあるのだが、魔王国に入る事ができたプレイヤーは存在する。
僕はそう言ったプレイヤーとこれまでまだ一度も出会った事は無いのだが。そんな彼らが掲示板へと情報を流し始めたのだ。
そう言った魔王国に自力で辿り着けたプレイヤーたちは不思議とこれまで「掲示板に書き込みをする」そう言った事をする者がいなかったのだが。
しかしここ最近になってその堅い口を開いた。それが一気に広まった結果だ。魔王国の門は解放されっぱなしで誰でも入り込む事が可能、それが広まってしまっていた。
「何でプレイヤーは魔族、魔王と聞くとこうしていきり立って攻め込もうとするのだろうか?うん?いや、それはそもそも運営が描いたシナリオ通りか?」
僕は思い出した。最近はこの魔王国を拠点としているからすっかりと忘れてしまっていたのだが、本来のこのゲームはプレイヤーが「魔王」を倒すのが目的だったのだ。
ソレを考えると当初の四天王と言うモノが今では影が薄くなっている状態である。
ライドルの塔には攻略をこだわったプレイヤーが今もまだ知恵と工夫を凝らして攻めていると聞いた事がある。
バイゲルの所は「恐怖の館」としてプレイヤーの間では既にアンタッチャブル、触らぬ神に祟りなし、で有名だ。時折怖いもの知らずの馬鹿が館に入りトラウマをゲットして掲示板で泣き言を吐き出すと言った事までがセット、名物になっていたりする。
まあ館に辿り着く前の森でメリーに殲滅させられてそこでトラウマを植え付けられると言ったパターンも。
「プレイヤーにこれから攻め込まれるかも、って時に、良いのかな?魔王は魔族たちを殆ど数字付き悪魔のフィールドに向かわせて特殊系悪魔の捜索させちゃってるけど。」
それでも一応は防衛の為の兵は配備されている。その兵たちもそれこそ僕が思う想像以上に各個がもの凄く強いのだろうが。
これは素人の考えでしか無いのではあるが、それにしたってその数が少ない様に思えた。
「・・・そんな考えの元にこれまでプレイヤーがボッコボコにされてきた歴史があるんだよなあ。」
近々ここに攻め込んで来るプレイヤーたちもきっと僕と同じ事を考えると思う。魔族の数が少ない、と。
だけど多分ソレは間違いだ。こんな考えでいたらきっと幾らプレイヤーが数を揃えた所で短い時間の内にその集めた者たちは全滅させられるだろう。
「流石に何度も痛い目を見て来たんだし、勉強してるよな?」
古参のプレイヤーであればある程に魔族には手を出さない。
中堅のプレイヤーも前回に魔王が騎馬隊で暴れた事で慎重になっているはずだ。
「心配は新規かぁ。ドワーフ製の装備のおかげで自分の実力じゃ無いのに勘違いして「オレツエエ」とかしちゃってるってなると。地獄を見るだろうなぁ。」
新規であればまだ魔族の、魔王の怖さを知らない者が多いだろう。そうなると今回のプレイヤーのこの動きにはきっと新規が多く含まれている可能性がある。
「まさかガチンコ攻略系の最前線組は新規たちを囮に?或いは、イケニエにする気か?」
僕はこの考えに「まさか、そんな?」と嫌な予感が拭えなかった。