攻略!悪魔王編!「さて、どうなる事やら」
プレイヤーにこの捜索クエストを受けて貰うには報酬で釣るしかない。そう結論が出た。しかしここで問題もある。そもそも全く見当ハズレ、目的の悪魔じゃない情報など要らない、と言う事だ。
有象無象に今回の捜索クエストに参加されても困るのである。無駄な情報だけが集まれば、それを精査するに労力と時間が掛かり過ぎるのだ。
ソレは御免だ。だからこのギルドクエストを受けられる条件に「上位」と付ける。最上位から数えて三段目までとした。ランクが低い者には受けられない様に条件を付けたのだ。
そんな優秀なプレイヤーを雇う上で、この依頼を受領させるにも高額報酬にしないとお話にならない。
もちろん有用な情報をギルドに報告してくれたプレイヤーにはかなりの報酬を用意した。
ソレはプレイヤーのジョブに合わせてのドワーフ製「フルセット」である。いわゆる一式装備だ。
かなりの性能を持ったその報酬を得るには確実な情報を持ち帰って来なければならない。スクリーンショットを持ち帰って来て貰う。
その持ち帰られた情報がこちらの求める「本物」であった場合にのみ、全ての報酬が支払われる。
この情報を元にこちらが再調査を行って目標確認がきっちりと取れた場合にだけフルセットを報酬でプレイヤーに渡すのだ。
これが空振りに終わった場合はプレイヤーへの報酬は報酬金だけしか支払われない。装備は無しだ。
この様な決定をしてフィールドに存在するかもしれない特殊系悪魔の捜索はプレイヤーへと委ねられた。
代わりにこの捜索に出していた魔族を全て帰還命令を出して一旦戻した。
そして休息を数日取らせた後に数字付き悪魔のフィールド、ダンジョンの捜索に向かわせている。
「と言う訳で、後は報告を待つ間に俺たちはこうしてバイゲルの屋敷の到着した訳だけど。ケンジはここに何度か挑んでるんだよな?」
「そうだね。こうして真正面から堂々と入るのは初めてだけどね。」
今俺とケンジはバイゲルの「恐怖の館」の正面門の前に居る。もちろんミャウちゃんも俺の護衛として一緒に来ている。
俺もミャウちゃんもそのままの姿、では無く、変装セットでプレイヤーに化けてである。
ここには定期的に怖いもの見たさ、と言ったプレイヤーが訪れると言う事で俺の「魔王」が見られたりする事はヤバいだろうと。
そう言った理由でこの便利な変装セットでプレイヤーに化けてここを訪れたのだ。
「いやー、何でプレイヤーはこう、ホラーだと分かっていてここに入り込むんだろうね?」
俺はそんな疑問を口にする。ここの事は掲示板で「恐怖の館」などと言われる場所なのだ。
しかも館に侵入したプレイヤーはトラウマを抱えてしまうと言うのも有名な話として広まっている。
そんなトラウマなんて誰も抱えたくは無いと思うだろう。しかし、なのにこの館に入り込む者たちは後を絶たない。
自分だけは大丈夫、などと言った驕りがあるのだろうか?俺が普通に「プレイヤー」をしていたとしたら、絶対に此処だけは攻め入ったりしないと断言できるのに。
そう思っていると門がギギーっと軋んだ金属音を立ててゆっくりと開いて行く。
「ようこそおいでくださいました魔王様。歓待のご用意が整っております。ささ、こちらへどうぞ。」
バイゲルがそう言って執事の様に恭しく俺に一礼してきた。