攻略!悪魔王編!「え?こんなの売りに出しちゃってるんですか?」
「で、さっきのプレイヤー達が欲しがってた腕輪の効果がこれかぁ。」
俺はこの喧嘩の件が治まった後に例の物を見に行った。この店もウチの「魔王国」の出店であり、当然その品はドワーフ製で。
しかもそれに付与効果が付いていると。今のプレイヤーでもかなり喉から手が出る程の欲しがる一品だった。
「これってもしかしてウチの工作員?たちも付けていたりする?」
「はい、その手の役割を持っている者たちに支給は完了しております。」
この腕輪に付けらているのは「罠解除率アップ」「罠発見率アップ」「罠回避率アップ」の豪華三本立て。
コレさえあれば斥候ジョブの者は仲間を悪辣な罠から守る、安全を確保する事が大幅に出来る事だろう。
「もしかしてさっきのプレイヤーたちは第十悪魔の「逆さ城」に挑む計画でも立てていたのかもね。既にかなりの情報が流れてるからなぁ。」
こんな品をウチの斥候役の魔族に簡単に支給を行き渡らせているとは、何とも言えなくなる。
プレイヤーと魔族との差が開き過ぎである。しかしそれがあるからこそ、魔族の死亡報告が無いのでこればかりは何とも言えない。
「どうしようか?第十悪魔をこのまま残しておくのって良い事なのか?悪い事なのか?影響が読み切れないんだよなぁ。」
今はケンジからの報告があった特殊系統の悪魔の発見を狙っている。
何せそのケンジが発見した悪魔はもの凄い経験値が手に入ったというのだ。
そうなるともしかしたら俺がそのフィールドの何処かに居るだろう特殊系悪魔を倒した際、入ってくるポイントに期待が持てる。
どうしても、とは言わないが、それでも発見できたなら俺がソレを一度は倒しておきたい。確認の為にも。
この事はケンジとも相談はした。そうするとケンジは「じゃ次は魔王が倒してくれ」と言ってくれている。
見つけたらソレを交互に倒して分け合おうと言ってくれたのだ。
しかしこれにはケンジに考えがあっての事で。それは「キメラ悪魔を倒したのは運でしか無いから」と言う事らしい。
実力が全く届いていないと言うか、ケンジの今の強さで次に見つけた悪魔を倒せるかどうかは全く分からない事でどうにも不安が大きいらしい。
美味しい経験値は魅力だが、いかにもレイド級だと思われるそう言った存在にまた次に挑むにしたって覚悟ができていないと。
俺はコレにケンジへウチの魔族を大勢連れて行っても良いと提案してみたりもした。
しかしこれの返事は「そんな危険と分かっているのに一度死んだらやり直せない者たちを気軽に連れて行けはしない」と言ってくれた。
ケンジもどうやら魔族に死んで欲しくないと思ってくれていた。俺はコレにもの凄く感動した。仲間だ、と。
「うーん?売上金の一部を使って冒険者ギルドに依頼を出そうか。フィールドの何処かに居る例の「悪魔」の捜索を。」
一応はこちらでも人数を出して捜索をさせてはいるが、プレイヤー限定でしか入れないフィールドなども存在するのでそう言った場所の調査はできていないのだ。
なのでこの依頼でプレイヤーにそう言った場所の捜索を依頼して発見させてみようかと。
「未知のフィールドがまだまだあるからなぁ。そう言った場所の捜索もプレイヤー任せにした方が、あ、いや、そのまま戦闘に入ってプレイヤーが悪魔倒しちゃうと駄目じゃね?」
それでもやる価値はありそうだった。なので俺はこの件を持ち帰って会議に掛ける事に決める。
「あ、この腕輪があればゲブガルとの戦闘でかなり有利?それにこれあったらきっとバイゲルの屋敷も攻略がかなり進むアイテムじゃね?」
その事に気が付いて俺はこの問題も議題に上げようと思った。