表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
536/638

攻略!悪魔王編!「力の差があり過ぎる」

 ボッズの目的はプレイヤーとの戦闘だった。いや、この場所、ショッピングモールで用心棒などと言ったモノをやってまでプレイヤーと戦うのは少々おかしいと思うのだが。


(あー、そうか。俺がプレイヤーとの戦闘をしちゃ駄目って言ったったからそれに従っては、いるのかな?)


 今の姿のボッズは変装セットで大男NPCにしか見えない。と言うか、確か変装セットはブサメンに変わるはずなのだが、どうにも「強面」であるのだ。ミャウちゃんにちょっと聞いてみたらどうにも幻惑とか幻影などの魔法は使われていないと言う。オカシイ。


 さて、なのでこの姿でプレイヤーと戦っても魔族だとはバレないだろう。そうすると俺の方針の「プレイヤーと争わない」と言う発言を一応は守っていると言った形になるのだろうか?

 グレーゾーンだとは思う。しかし解釈の仕方次第でセーフだ。一応はここで俺もセーフとしての判定を下しておく。

 そうで無いとこの後のボッズ対十二名のプレイヤーの戦いの観戦ができない。


 そう、俺がここで止めようと思えば恐らくはこの喧嘩を止められるだろう。

 だけどもこんな面白そうな事を止める理由が俺には無い。このままボッズがこのプレイヤーを光と変えれば俺のポイントも入って来てウハウハだ。

 しかしボッズがこのままプレイヤーをブチのめすにしても、もしかしたら死亡まではやらないかもしれない。

 確かボッズは相手に戦闘意欲や戦闘を続ける意思が無くなれば放っておくと言う話だったはずだ。

 そうなれば残念だが止めは刺さずにバトルは終了、ポイントは諦める事になる。

 そうであってもこうしてワイワイガヤガヤする事は野次馬根性が騒いで止めようと思えない。

 そうしている間にもギャラリーも増えつつ開けた場所にやって来た。

 周囲に集まったプレイヤーの輪がまるでこの一件のリングになっているかの様な状態である。


「おう、それじゃあ文句のある奴から掛かって来て良いぞ?何なら面倒だから一斉に掛かって来てくれるとこっちは助かる。何せ俺は忙しい身なんでな。そっちみたいに暇じゃねえ。」


 煽る煽る。喧嘩をするくらいの下らない暇があったら魔物を倒してレベル上げろと言われていたプレイヤーたちはコレに怒り心頭。

 コレにプレイヤーたちは脳内でゴングを鳴らしたんだろう。一斉に戦闘態勢、そしてボッズに踏み込んでいく、一斉に。

 魔法を使える者は詠唱を始め、近接戦闘を専門とする者は四方八方に分かれて一斉に襲い掛かる。

 さっきまで彼らは互いにいがみ合って喧嘩していたはずなのに、今この瞬間だけは相当な連携を見せている。おかしな話である。


 でもコレには動揺を見せないボッズ。すかさず動き出す。包囲されたら一部分を正面から突破するのが囲いを出る方法だ。正面に踏み込んで一撃、プレイヤーをブッ飛ばして難無く熟し包囲を出た。

 余りにも綺麗に一斉にプレイヤーは襲い掛かったものだからボッズもタイミングを計り易かっただろう。

 そのまま囲いを出て真正面に居た魔法使いのプレイヤーにボッズは殴りかかって一瞬で連撃を叩き込みボコボコにしてしまう。一秒に六発、それが三秒。十八発の連撃だ。

 見るも無残な姿と変わるその魔法使いは辛うじてまだ生きている、と言った感じだ。倒れ込んだまま起き上がっては来れていないのだが。


 普通はプレイヤーの場合HPさえ残っていれば立ち上がる事は可能だ。しかし今ボコボコにされたプレイヤーは立ち上がってくる様子を見せない。これは恐らく。


「あー、これって気絶の状態異常か。暫くは起きないだろ、コレ。」


 気絶のバッドステータスはプレイヤーの中でも恐れられている状態異常の一つ。

 それこそ「何もできない」のである。

 格闘ゲームなどで「ピヨる」と言った状態になっているのであればレバガチャ、ボタン連打、などと言った行動で早く気絶から復帰できるのだが。

 このゲームではそう言った要素は無い。完全にブラックアウトである。しかしログアウトにはならずにそのままアバターが全く動かせない状態になる。そうなれば一巻の終わりである。


 さてボッズにあっさりと包囲を抜けられたプレイヤーたちは再び襲い掛かろうと体勢を整えた。

 しかし次のプレイヤー達の踏み込みは雑だ。誰もが最初に見せた連携など全く無い仕掛け方で。


 一人、二人、三人、四人、五人、六人、七人、八人、と一気に一撃でボッズに沈められていく。全員顎を綺麗に打ち抜かれて気絶状態だ。動く者がいない。

 残り三人になってプレイヤーは自分たちが選択を誤っていた事に気付いていた。

 ようやっと、しかし遅い。既に吐いた唾は吞めぬ状態、今更無駄。

 喧嘩を直ぐに収めていれば、きっとこの様な状況にならなかった、どうして勢いだけでこんな事をしでかしてしまったのか?

 その時の己をぶん殴って止めたいと内心で思っているだろう事がアリアリとその表情で分かる。

 しかしボッズはコレに容赦はしない。


「さて、ちっとは楽しめたか。なら、バイバイだ。」


 呆気なくボッズの踏み込みで吹き飛ばされた残り三人も同じく気絶させられて地面に倒れピクリとも動かなくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ