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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「倒せそうなのに足りない」

 昆虫キメラの中心にあるモノ。それが目に入った時に直ぐに「どういう事だ?」と僕は混乱した。

 こんな性質を持った奴など掲示板には全く情報が無かった。でもそんな事を今は言っていられない状況だ。

 このキメラは必ず時が経てばこの森から這い出てくる、それを確信した。


(雑魚悪魔だ・・・僕が良く見知っているあの。こんな所で一体何を)


 このキメラの本体はこの雑魚悪魔だろう。だってこいつは歩みを止めずにずっと周囲をキョロキョロと見回して、さも「獲物」を探している様子なのだから。

 しかしその歩みは非常に遅い。取り込んだ昆虫魔物の数が多くなり過ぎてその巨体を進ませるのに非常に困難であるらしかった。

 かなりの重量になっているのだろう。その巨体の進んだ道はさもブルドーザーでも通ったかの様。おかげで僕も歩きやすかったが。

 通り道は蛇行しており、木々は折れ倒され、この御かげで僕はここまでこのキメラに見つかって来なかったのだが。

 流石に近づき過ぎた。足元には注意をして追跡をしていたのだがここに来て雑魚悪魔のその姿が目に入って注意力が散漫してしまった。


「ぱきり」


 僕は足下にある小さな木の枝を見逃してソレを踏んでしまう。小さな小さな音。

 しかしそんな小さな音でも相手に違和感を感じさせて振り向かれたらこちらの負けだ。

 即座に僕は身体を側に生えていた一番太い木の裏に隠す。そして足元にあった石を直ぐに僕とは全く別の場所へと放り投げた。


 結果、僕は見つからずに済んだ。その投げた石の方向にキメラは方向転換して向かっていく。

 どうやら僕の動きは間一髪で奴に見つからずに済んだらしい。石が落ちた音の方向に何かが隠れているとキメラは勘違いしてくれた様だ。

 コレに僕は安心する。しかし心臓はそれでもバクバクと早鐘を未だに打っているが。

 ここで安堵の息を吐き出すのはまだ早い。今の僕の状況は全く以てして変わっていないのだから。


(この森からの脱出を優先すべきならデスルーラだ。だけど、それをするにしたって奴の情報をもっと集めてからでも遅くないはず。このまま追跡を続けていてもきっと新しい情報は・・・)


 覚悟を決める時だった。逃げる事は簡単だ。でもその後に運良くこの森から出られるかは分からない。僕はこの森で遭難しているのだから。

 キメラを無視して歩き回って森からの脱出、そうするくらいだったらキメラと戦闘を開始してもっとその情報を引き出してからワザとやられて魔王国にデスルーラすれば良い。

 その代わりに消費するのは僕の経験値だ、レベルだ。この情報はそれと引き換えに得るだけの価値があるはずである。

 リスポーン地点に魔王国を設定してあるのでこの情報を持ち帰れば直ぐにでも討伐隊を組んでこのキメラを潰す事も容易いと思う。


 しかしワザとやられるなんて嫌だ。だから僕は丸薬を取り出す。やるなら徹底的に。ソロで勝つ。全力で挑む気概を持つべきだ。負ける事など最初から視野に入れていては面白くなんて無い。

 だって将来は「魔王」に立ち向かってみたいと思ったのだ。ならこのキメラくらいはソロで倒して見せる事ができなければそんなのは夢のまた夢だろう。


 石を投げた方向にゆっくりと移動し始めているキメラはまだ僕の事を捕捉できてはいない。まだまだ奇襲を仕掛けるチャンスは残されている。


(久しぶりだな、この緊張感。観察を終えて思う所は・・・)


 ソロの僕でもこのキメラに勝てる目がある、と言う事。分かり易く「弱点」が露出しているのだ。中心に居る雑魚悪魔を倒せば、いや、もうキメラ悪魔だ。雑魚じゃ無い。

 奴がこのキメラの中心なのは一目瞭然だ。ならばそこを、丸薬を使用しての初っ端、電撃奇襲での突撃で屠れれば何とかイケそうと算段を立てる。


(問題は攻撃角度だな。あの巨体じゃ真正面から一気に突っ込まないと悪魔に攻撃を仕掛けられない)


 土壇場の真っ向勝負。しかし正面に起てば相手に気付かれて突進が防がれる可能性が高くなり過ぎる。横面から仕掛けようにも相手の巨体と色んな昆虫魔物の部位が重なって邪魔で攻撃が仕掛け難かった。

 空いているのは前面だけ。しかし奴の真正面から馬鹿正直に、そんな博打は打てない。しかし正面からでないと上手く狙いを定められない。ここで何かもっと囮になる様な、奴の気を逸らせる一手が欲しかった。

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