攻略!悪魔王編!「悪魔な見た目」
ソイツの姿は途切れ途切れに遠目でしか見れてはいないのだが、その姿は「キメラ」と言った感じ。
様々な昆虫系魔物の特徴を無秩序に混ぜ込んだ様な印象を受けた。
(まさかここ等辺の魔物を取り込んだ結果、ああなったのか?)
一切今も他の魔物の姿が見えない。なのでこの推測はもしかしたら合っている可能性も出て来た。
(奴を倒すにはどうしたら良い?このままもしこの森の徘徊をさせていたら、もっと今よりも大変な状況になったりは?)
コイツが特定の場所だけを徘徊して外へ外へと出て行かないタイプならまだいい。
けれども無制限にこの森からも出て行って他の魔物を取り込む様な奴だったら?
ソレを想像して僕はゾッとした。その時プレイヤーはこの正体不明の魔物を倒せるのか?と。
そもそもこの様な凶悪極まりない魔物の存在などこれまでこのゲームの中に居ると言った検証や発見がされてこなかった。
ソレもそうだろう。こんな不人気なフィールドの奥地に誰も入り込んだ事など恐らくは無い。発見されたりしなかったのも当たり前と言いたくなる。
(ここで僕一人であろうとも挑んでみて情報は持ち帰った方が良いか?見た所初見の魔物の特徴は何処にも見当たらなかった。なら今の僕が丸薬を使えば倒せる可能性も出るんじゃ・・・)
これ以上こいつを放っておくのは危険、僕の脳内では警鐘がずっと鳴り響き続けている。
こいつをパワーアップさせてしまうのはどう考えても得策じゃ無い。
今この場でどんな手を使ってでも倒してしまうのが一番の安全。
しかしそれが解っていても僕だけでソレができない可能性が高いのは身に染みている。
(マルスとマイウエルが一緒じゃない事がこんなにも・・・いや、嘆いていてもしょうがない。考えなきゃ!)
まだ僕の方に奴は、昆虫キメラは気付いていない。ならば奇襲はできる。
だけどもその後だ。どうやったらこいつを倒せる?弱点は?さて倒せなかった場合にじゃあ弱らせる事に成功して、さてその後のコイツの動きの予測も付かない状態である。
迂闊な事は、中途半端な事は出来やしない。そんな真似をして後でより一層の状況の悪化を生むなどと言った悪夢は避けたい。
弱った昆虫キメラの動きがソレを回復する為に活発になってこの森を大きく荒らす事となった場合。
今よりもっと魔物を吸収してより強大になっていると言ったパターンも可能性が無い訳じゃ無い。
この昆虫キメラをもっと間近で見極める必要が出て来た。遠目から幾ら観察しても今以上の事は分かりそうも無い。
覚悟を決めなきゃいけなかった。
(どうせなら一度リスポーンを体験してみる覚悟で挑めば良いか)
僕はまだ運が良いらしく一度もキルされた事が、デスペナルティを受けた事は無い。
こうしたゲームで一度も力尽きた事が無いなんて非常に出来過ぎている。
ならばどうせならこう言った場面でその「初めて」を捨てるのは上等だろう。
「よし!ギリギリ接近を狙うとするか。」
安全距離、僕があらかじめ決めていたその距離を超えて大きく踏み込む。
1m、2m、3m、4m、5m、6m、7m、8m、9m、10m。
そうやって大体1m刻みで少しづつ少しづつ昆虫キメラへと近づいて行く。
そうすると次第に奴の姿かたちの全貌がハッキリと見えてくる。
(予想以上に悍ましいんだが?)
只でさえこの森に出る昆虫系魔物は非常に見た目が「アレ」なのに、それを凝縮した様な悪魔な見た目なキメラ。
こういった視覚攻撃に弱いプレイヤーは恐らく吐くだろう。そんな僕も今吐きそうだ。それを無理矢理我慢して観察を続ける。
そうして我慢を重ねて観察を続けていた甲斐があったようだ。僕はこの昆虫キメラの一部に違和感を覚えた。
そしてその違和感を追ってジッと観察を続けると見えて来たモノが。
「・・・あ?何であんな所に?」