何で俺だけ「終わらないお仕置き」
「くっそ!なんだったんだありゃ!」「誰だよやったの・・・」「探すぞ!やり返してやる!」「レべ下がったじゃん!上げるのにどれだけ掛かると思ってやがる!」
先程やられたプレイヤーたちはリスポーン地点。やられた後に復活して戻って来る場所に居た。
そして自分たちを一撃でキルしてきたプレイヤーを探し出して仕返しをしようと息巻いていた。だが、これは勘違いだ。
そもそも彼らをやったのはプレイヤーでは無い。それを彼らは分かっていなかった。当たり前だ。そもそもその姿さえ確認できていないのだから。
そしてこの四人以外の各地で同じ目に合っていた者たちも同様だ。自分はPKにあったのだと勘違いをし続けていた。
なのでゲーム内の掲示板でもその手の情報は全て「PK」だと言った推測になっており、そしてその傾向は崩れていない。
この四人も「話題のスレッド」を確認してその思いを強くしていく。しかしコレは余りにも無意味な行為だった。それは。
「げっ!?またかよくそったれ!?どうなってやがるんだ運営ゴラァ!」
一人がまた先程と同じ様に宙に浮き、そしてまた一筋走る光と共に弾ける。そしてまたリスポーン地点へと復活した。
「うがあああああ!またレベル下がったぞオイ!くっそが!出てこいや!姿見せろこのボケぇ!」
だがこの怒りの声は虚しい。周囲は何事かと視線を向けてくるだけのプレイヤーばかり。悪目立ちをこの四人はしていた。
そしてまた宙を舞う。その先程キルされたプレイヤーが、だ。
「またかよ!いい加減にしろぉ!」
その叫びも虚しく先程と全く同じにキルされてしまう。そしてまたリスポーンで復活してきた。
だがこれだけでは終わらなかった。復活したと思えばまた同じ目に合ってキルされ、そして復活。これをずっと繰り返し続けられてその回数は十五回を迎えた。
その時にはもう既にそのプレイヤーの経験値はすっからかん、レベルは「1」に戻ってしまっていた。
残りの三人はと言うと動けずにいた。ずっと仲間の一人がそうして「拷問」を受け続けるのを眺めさせられていた。ずっと。
それは「拘束」を受けていたからであり、喋れなかったのも口を塞がれていたからである。
その後はまた一人、また一人と、個別で最初にキルされていたプレイヤーと同じ目に全員遭わされてレベル「1」になった所でそれは止んだ。
この光景に周囲のプレイヤーたちは「ザマア見ろ」と口を揃えて漏らした。どうにもこうしたPKを幾度か見て来ており、そのキルされるにいたるこういった者たちの背景と言うモノが把握できているようであった。
「あいつらきっと迷惑行為を続けていたんだろうな。ここ最近良く聞くよ。」
「俺初めて見たわ。キッツ!コレは心が折れますわ。」
「ざまあ、って言ってやりたい。でも、近づいたりはしない。心で唱える。」
「俺たちに被害は無い。むしろ清々する。」
「いいぞ!もっとやれ!」
「と言うか、お前がやれ。って言うか、誰にもできない。」
「俺たちにできない事をやってのける!そこにしびれるあこがれる。」
「他の街でやられてる奴見た事あるわ。そいつらはもっと酷かった。罪と罰が天秤水平になってねぇ、ってくらいにヤバかったぜ?」
「ああ言った奴らはそれくらいで丁度良いのよ。痛い目見てももう一回同じ事繰り返すような奴らだろうしね。」
「でも、誰がやってるんだろうな?仮面被っていてフードではっきりと姿は分からんとか。目撃証言、と言うか、被害者に声を掛けて気遣ってるってな?」
これをやっているのはもちろんの事、ミャウエルだった。
(魔王様の御命令によりこうした真似をしているが、理由は後でお聞かせ頂けるのだ。疑問を持つことは不敬だ。今は任務を黙々と追行するのみ)
こうしてミャウエルは何も知らないプレイヤーの間で「正義の味方」として認識されていくのだった。




