攻略!悪魔王編!「準備を怠らないようにと」
さて、妙な輩に目を付けられたなと思いつつもトレードを引き続きやって行く。翌日も、その翌日もと色々な街に出没していった。
事前準備はしっかりとしておかねばならない。エリクサーを大量生産して悪魔王との最終決戦に備えるのだ。
そう、第十悪魔の完全討伐が終わればその次はきっと大本の「悪魔王」とやらが出てくるに違いないのだから。
本当に数を揃えたいと思っているのは「蘇生薬」の方なのではあるが、今現状それは非常に困難と言う現実に直面している。
ならばと思ってこうして「エリクサー」を量産しようという目論見なのだが。
「それでもかなり高度な錬金をするらしいからなぁ。三日で一本しか作れないって、結構ソレはそれでヤバイよなぁ。」
うちの錬金専門部署に集中して作らせて三日で一本である。精製する工程が話を聞けば相当に慎重にやらねばならないらしく、時間も相当に掛かると説明を受けた。
「もしかしてプレイヤーならもっと短くて早くて、七面倒な工程なんてすっ飛ばして作れたりするのか?」
プレイヤーに与えられた力は「ジョブ」そして「スキル」だ。
これらは一応は神から特別な力として与えられていると言う設定なので、もしかするとプレイヤーが製作するとそこら辺の関係で一気に錬成できるのかもしれないが。
「そう言った情報が一切ネットの中に無いんだよなぁ。本当にプレイヤーはエリクサーの作成できないままなのか?それとも誰かしらは発見とっくにしていて、それを公開しないで秘匿してるとか?」
そこら辺の事を比べたいと思ってみて情報を漁ったりもしたけれど、そんな話は一切見つけられずじまい。
エリクサーの在庫を増やしたいと思っているが、中々に三日に一本では焦れて来てしまう。
いっその事こっちからエリクサーのレシピと製造法をバラ撒いてやろうかと思ったりもしたが、思い止まった。
あの先日のチンピラ六人組の事を思い出したからだ。アイツらがもしエリクサーの存在を知ったらカツアゲを始めて気の弱い陰キャいじめを開始しかねないと考えて。
「他者を利用して成り上がるのも、まあ、良いだろうよ。それも強さを上げる為の一つの手段だろうさ。ゲームは自由だしな。とは言え、個人的にはそういうのは許せないから今度あいつら見つけたら潰そうかな・・・」
黒い自分が漏れ出てきつつも、今もトレードを無事終えてこの街では七つ「水」を確保する事ができている。
さて、俺が様々な場所に出没してもトレードをしに来るプレイヤーが現れるのは何故か?
ソレはケンジに秘かに掲示板へと情報を流して貰っているからである。
たった一言、どこそこの街、拠点に「例のトレード屋が居た」とコメントを残すだけ。
それを発する時は必ず匿名で情報を流す。そうして時にはふざけた感じで、時にはチャラい感じで、時にはボケネタを仕込みつつ笑いを取り、などなど。
文章などの特徴から特定の一人の人物が発信源だと悟られない様に工夫を入れてもいる。
「・・・魔王様、また先日の輩どもが現れたようです。」
ミャウちゃんがいち早くその存在をキャッチして俺に知らせてくれる。
「ああ、また来たのか。掲示板を張ってるのか?まああれだけの塊になってりゃ四六時中交代で掲示板に見張りを出せるよな。うーん?街を直ぐに出てここから一番遠いプレイヤー拠点に移動してしまおう。そうすれば時間もそれなりに稼げるだろうし。」
どうにもチンピラ六人組プレイヤーが鬱陶しい動きをし始めてきている。
ここで俺は「切上げ時か?」と思案しながらこの街を離れた。