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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「隠された力」

 さて、俺は変装セットで見た目を変えてプレイヤーたちの蔓延るあっちこっちの街に入り込んで楽しんでいる。

 時には街に入る前にワザと姿をプレイヤーたちに見せて直ぐに隠れて姿を変えるなどと言った悪戯をして楽しんでいたりもする。

 これが結構掲示板に影響を及ぼしていて専用のスレっぽいもの立ち上がっていたり。


「このゲームの遊び方は別に魔王だけでも無いし、悪魔王だけでも無いからなぁ。そりゃ隠しイベント探しや隠しクエスト探し、レアスキル、レアジョブ、隠しダンジョンとかあったりするし。まだまだ明るみに出て無い部分や見つかって無いモノだって幾らでもあるんだから。こうしてフィールドに出て単純にレベル上げしたって良い訳だしな。」


 俺は変装して各地を回っているのでその場所場所で手に入る情報などもある。


 やれ特定の手順を踏むと隠しクエストが発生するだの。

 本来だったら入れなかった場所がどうやら特定のアイテムを手に入れていると入場可能になるだの。

 規定数の同じ雑魚をずっと倒し続けるとレアモンスターとの接触確率が上がるだの。

 決められた日時に訪れると発見できるレア素材、見られる不思議な光景、心つかむ絶景などなど。


「こうして俺がバレずにプレイヤーとアイテムトレードできるとか、変装セット様様だよ。マジで俺、こんな交流が他のプレイヤーとできるとは思って無かったからな。凄いわ、これは。」


 俺のそもそものアバターが「魔王」であるからして、この変装セットを使っても絶対に効果が出ないか、或いは出たとしても直ぐにバレる様なモノなんじゃ無いかと思って試してみたのだ。

 そしてこれに開発研究をしていた者たちも驚く結果が出るとは誰が予想できただろうか?


 背の高さ、顔の厳つさ、背中の羽も隠されて何処からどう見てもフツーのプレイヤーに早変わりした時には本当に俺もビビった。

 完全に無理だろ、って思いながらの試着だったのでこの結果に一番驚いたのは俺だ。


 これのおかげで俺の欲しいと思っていた物を持っているプレイヤーとの接触に成功。先程それとこちらが持っていたドワーフ製の俊敏の数値を上げるアクセサリーと交換した。


「いやー「聖なる泉の湧き水」なんて魔族じゃ手に入れに行けないからね。とは言え、ケンジに頼めば取りに行ってくれただろうけど。それでも流石に高レベルダンジョンだからソロで行くのは無理ゲーだしな、今のケンジの強さだと。それにあの仕様はケンジ一人で行かせるのはイカンしな。」


 このアイテム、別段入手が難しいと言ったモノでも無い。けれども手に入れるにしても幾つもゲットできる代物でも無い。

 その泉のあるダンジョンは「自然系・大森林」といった形のものであるのだが、そこに出てくる魔物は擬態系が多くて奇襲と搦手がメイン。これを嫌うプレイヤーは多い。

 しかもフィールドが迷路、追加で間違った道を行くと最初のスタート地点に戻されると言った仕様であった。ある程度は獣道と言った分かり易い流れが森の中にはあるのだが、当然そんなモノが在って迷路である。そこには分かれ道も多分に配されている。これもプレイヤーに嫌われる仕様である。

 ついでに言うと、泉はランダムでその位置を変える。このフィールドにチャレンジする時にはこの情報を教えてくれるNPCからは「幻の泉」と紹介されるのだ。この泉と出会う確率もそこまで高く無い。

 このフィールドの奥地に居る魔物から、いわゆるボスから得られる一部の素材で作られた薬がその情報をくれるNPCの母親の病に効くと言う事で取りに行くクエストになるのだが。


「泉の水は別にゲットしなくてもクリアできると言うね。しかも泉の水は飲む事も出来ないし、ゲットしたからって今の所はプレイヤーの中には使い道が無いって事で採取したプレイヤーは死蔵してる状態だしな。」


 この泉、プレイヤーの中では只の敵が出てこない休憩場所として認識されている。このイベントで作る薬にこの泉の水は一切関係無いのだ。しかもこれ、1パーティで一つしか持てないと言うプレイヤーの中では絶賛産廃、謎アイテムとして有名である、ある意味。

 しかもそれの採取量も「100ml」と、どこぞの栄養ドリンクだ?と突っ込みたくなる少量しか取れないのだ。

 なので今はこのダンジョンに行ったプレイヤーは泉に遭遇してもアイテムとして「水」を採取しようとする者は少ない。と言うか、皆無である。

 既にここに行った事のあるプレイヤーで、勿体無い精神で残している、或いは、今後に何か重要なイベント、クエスト、或いは武具錬成、錬金などで使える代物なのでは?と考えるプレイヤーが「箪笥の肥やし」として残しているばかりだ。


「うん、俺とこれを交換してくれたプレイヤーは皆嬉しそうにして礼を言ってくれていたなぁ。うんうん、いい事した。」


 今俺はこの泉の水を集めている。じわじわと各場所、プレイヤー拠点を回って。

 それに対して交換するこちらのアイテムはドワーフ製の物だ。プレイヤーたちは喜んで交換してくれる。

 と言うか、寧ろこの交換するのが「イベント」だとすら思っている節もある。


(俺にとっては命の水だしな。コレがあればウチの錬金部でエリクサーが作りたい放題だ。ウハウハだよ)


 最高級回復薬、あの有名な回復アイテムである。これを服用すれば瞬く間に傷は癒え、体力は満タン、命の危険など即刻バイバイなあのエリクサーである。

 そう、プレイヤーたちの中にまだこの情報を得る事ができた者が居ないのだ。この情報がほんの少しも出回っていない。だからこれ程までにこの「水」の価値が低い。

 こっちとしてはドワーフ製の武具、アクセサリーなどは大量に有って大量にばら撒いてもちっとも痛くない。


 今はプレイヤーの中にドワーフ製の品がまだまだ広がっている最中だ。

 なのでこうして俺がトレードを申し出るとこれまでのプレイヤーの誰もが「え!?良いの!?」と驚く始末である。

 その交換する品の効果が高ければ高い程にプレイヤーは喜んで俺と「水」を交換してくれる。


「まあいずれは「水」だけを採取専門とするプレイヤーが出てくるんじゃないかな?初めてこの水の価値を知ったプレイヤーが、さて、どう最初は動くかなぁ?」


 俺はかなり悪いニヤリ顔をして次にトレードを受けてくれたプレイヤーの元に向かった。

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