攻略!悪魔王編!「どうやら相当に見つかり辛いらしい」
俺の前でケンジがもの凄くダラダラと愚痴を溢している。先日にケンジは師匠の所で転職システムの事を聞いて来たらしい。
そしてどうやら自分が「無職」から転職が今更無理である事がその原因である様だこの愚痴は。
確かに今まで相当な苦労をして伸ばしてきた能力を全て無に帰すのは辛い。
しかし今第十悪魔のダンジョン「逆さ城」ではそれを繰り返しているプレイヤーパーティが居ると報告を聞いている。
「まあそれでも上げるレベルの程はそこまで高く無いらしいけどなぁ。思いもよらないジョブの組み合わせで新しいのが解放されるのでは?みたいな部分があるってのを検証する事が目的らしいしね。」
ケンジはその転職検証のプレイヤーから話を聞いた後に掲示板で少しだけ調べたらしい。
特定のジョブのレベルを一定数にまで上げておくとフラグが起つ、なんて言う情報が結構掲示板には書かれていた様で。
その組み合わせはどうにも隠し要素であるらしく、その数、種類も多いと見られている。
だが、何処でその解放されたジョブに転職できるのかは不明なのだ。
そう、師に付いて弟子にして貰い、そして課された課題をクリアしないとジョブチェンジはできないのである。
要するに、そうやってジョブを頻繁に転職し、そのレベルを上げて、また変えてとしていても、解放される新しい「ジョブ」に転職できるようになれる為の「師」がそもそも何処にいるのか迄は分からないと。かなり回りくどい仕様である。
「俺も、もしかしたらそんなのに弟子入りしてみれば案外転職できたりして?」
俺の今のジョブは「魔王」である。この転職システムで俺もワンチャン転職できるんじゃね?と思ってみたけれど。
「まあ、再び「魔王」に戻りたいってなった場合、そん時には誰に師事すれば良いの?みたいな事になるからやれないけど。」
「と言うか、何その馬鹿げた思い付き。魔王はどうしたいのよ、マジで。」
ケンジから厳しいツッコミを貰う。まあそうだろう。やれない、なのだ。やらない、では無く。
それこそ魔王に簡単に戻れる手段があるのであれば一回やってみたい。
何せこの魔王の「アバター」でたとえばジョブを「剣士」にしてみたらどうだろうか?
剣の扱いがジョブ「剣士」のシステムで補助されて動けるようになったら?と思うとちょっとやってみたいと思うのだ。
剣士の必殺スキルなどはかなり派手な効果、エフェクトが発生してカッコいい物が多い。いわゆる中●病?
一度は俺もやってみたい、などと思うのは男として当然である。ロマンバンザイ。
「それにしてもケンジがスパイしなくても別段何も問題無かったな。あの変装セットがあればウチの魔族たちだけでもイケるって、ちょっと駄目じゃないかなぁ・・・?」
今更に俺は心配になる。運営、コレで良いのか?と。まあそれは余計な考えである。
運営からは忠告も、注意も、下方修正も、何も入って来ない。ならばこのままで良いのだろう。
「とは言え、僕もあそこでレベル上げしたいんだけどね。戦闘の役割を受けてるパーティを無視して勝手にやるって言うのは流石にやらかせないしね。」
そうは言ってもケンジは既にリポップして来た雑魚悪魔の除去はやっている。
これはまあ不可抗力だ。ケンジの所だけじゃ無く、他のプレイヤー探索メンバーの所でも同じ現象は起きているだろう。
そうして沸いた雑魚悪魔の掃除を戦闘パーティを待って居るだけでは時間を無駄にするし、邪魔者は直ぐに片づけたい。
そうしたら自らその場その場のパーティが戦って倒すしか方法は無い。
するとケンジが愚痴を止めてボヤキを今度は口にする。
「戦闘、雑魚片付けするプレイヤーの数が少な過ぎるんだよなぁ。明日僕の方から申請してみようかな?」
「あー、ダンジョンの調査の進み具合とプレイヤーのレベルも報告を受けてるけど。ケンジも今感想を教えてくれない?そんな余裕?」
俺は「逆さ城」はそんなにもプレイヤーだけでは攻略に時間が掛かるのか?と聞いてみた。すると。
「おそらくは本当に偶然、もしくは、そうだなぁ、馬鹿な事を考えないと見つからないよ、アレは。」
俺は罠の場所や隠し扉の位置などを以前に部下に調べさせていたりしたが、その後にちゃんとその報告を読んではいなかった。
なのでケンジが言うその言葉の内容が全く持ってさっぱり。
「え?そんなに?」
「うん、そんなに。」
俺とケンジとの短いやり取り。そして追加でケンジは。
「まあほら、あれだよ。それはその時のお楽しみ?って事で。」