攻略!悪魔王編!「ささやかな、それでいて」
そんな魔王のやらかしの効果で余裕ができた第九悪魔のダンジョン攻略はちょとした発見というか、疑問?から一気に解決した。
「まさかこんな事で「コア」が出てくる条件になっているとは思わないよね、フツー。何もヒント無いよね?これまで。」
僕はそうぼやいて消えていくコアを眺めている。そう、既にその条件を整えて「コア」を発見し、コレの破壊に成功していた。
「ぶもー、そうだべな。一切そう言った情報はこれまで無かったべ。」
マルスもちょっと呆れた感じで僕の意見に同意してくれる。
「あの毒花の庭園も別に関係が無かった訳でも無かったけれど。コレに気付くのはちょっと難しかったかも?」
マイウエルがそう言って部屋の角にあった花瓶に視線を向ける。
第九悪魔の「コア」は毒攻撃を仕掛けて来た。しかしその毒はあの庭園のを強力にしたモノである。
だけども既に僕らはその解毒薬とガスマスクを準備していてそんな物は関係無いとばかりに「コア」へと猛攻撃を仕掛けて即座に破壊に成功していた。
「毒が強力になり過ぎて薬もガスマスクも防げる時間が半分以下とか。ちょっと所じゃ無く焦ったけど。問題無く倒せて良かった。取り敢えず、もしかしてこれって正当な討伐手順をちゃんと踏んでいた?」
ゲーム的な事を考えると運営が想定していた通りの攻略ができていたのでは?と思えてくる。
予想するに、このダンジョンの内部捜索が始まって隅々まで回って「コア」も分体も見つからない所から始まる。
その後にまだ城の外の場所にダンジョンの一部があってそこを探索していない事に気づく。
そこで毒花の対処をして庭園を歩き回る。もちろん解毒薬だけじゃ無くて毒を無効かするアクセサリーか、もしくは僕たちが使ったガスマスクみたいなものの制作も始まるだろう。
充分に庭園を歩ける時間が確保で来たら毒花の種類がどれだけの数あるのかを把握する。
「毒花の種類と同じ数だけの花瓶が城の中に設置されてるって、ノーヒントじゃ気付け無いよな。プレイヤーの中に情報精査できる人物が居なけりゃ絶対に辿り着けないんじゃないの、コレ?しかもそもそも、それにも気付けるかどうかって所もあるし、結構これ無理ゲー。」
これに僕が気付けたのは偶然だ。そもそも僕は魔王の城に自由に入れる。
そこでふとここの第九悪魔の城と、その魔王の城の雰囲気の違いにふと思いを馳せたのが、この攻略を見つけられた大本になっている。
「ケンジの勘は冴えていたんだもー。それが無かったらきっとプレイヤーがここに押し寄せていたに違いないんだべな。」
マルスの言う通りである。この攻略ができたのはギリギリだと言えた。
掲示板では「魔王のやらかし」の一件に落ち着きが出てきて数字付き悪魔の件の話がぶり返してきていたのだ。
「ケンジが花瓶に花が活けられてない事に気付いた事を口にしなかったらずっと攻略は無理だっただろうね。」
そう、只単にこの城と魔王の城の違いは花が活けられていたか、そうで無いかの違い。
あれだけ庭園に花があっても、それを採取して城の中に飾らないのは何で?と。あのような美しい花々なのだ。飾っても良いだろう少しくらいは。
魔王の城の中はいつも美しい花で通路も、部屋も飾られて華やかだった。
まぁ、あの庭園にある花を城の中にあちこち飾ってあったら、そこら中が毒まみれで一時間と歩かない内に状態異常に掛かってしまって大変ではあろうが。
さて、本当に僕がコレに気付けたのは偶然だ。何を思って、何がきっかけで事が前に進むかなんて誰にも分からないモノだ。
僕が思い付いた、気付いた事をボソッと溢したソレをマイウエルが拾ってくれたのである。
そこからここの調査をしていた魔族たちに聞き取り調査と再び現地の確認。
ソレと、毒花の庭園にある花の種類の数を調べて一致した事で今回の事を試してみる事になったのだ。
本当に偶然とは恐ろしいモノである。コレがきっとプレイヤーパーティとかだったらこんな思い付きが果たして出て来たかどうか?
それにソレを「やってみよう!」などと言った行動に直ぐに出れたかどうか。こんなくだらない思い付きを。
多分だがプレイヤーたちはきっと同じ思い付きをしてもスルーするか「まさか」などと言って試してみたりし始めるにも相当な時間が掛かるだろうし。
ソレと実際に動き始めてもその準備や労力や根気がずば抜けて多大になる事に途中で折れてしまうのではなかろうか?
そう考えたら今の僕の居る環境は正しく狡いと言える。何せ魔王のとびっきり優秀な部下たちの力が借りれるのだから。
僕らはこれを魔族総動員して花瓶に庭園で採取した毒の花を一瓶一種活けていく。
コレに因って「コア」が出現条件を満たして最後に活けた花瓶がある部屋に出現をしてきたのだ。
こうして僕らはその後にこれまで見つける事ができなかった分体の方もあっさりと無事に見つけてソレを討伐する事ができて完全攻略を果たしたのだった。