何で俺だけ「最後の四天王の正体」
「かのバイゲルは精霊を使役します。とは言え、我々と敵対関係にあるプレイヤー共が従える精霊ではありません。邪精霊と呼ばれる、まあ一種の「悪戯」が好きな精霊共です。悪趣味、と言えば悪趣味ですが、この精霊は「悪戯」のみに特化しており、人を驚かせたり、脅したり、と言った事にしか力を使いません。直接的な「攻撃」といった行動を取らないのです。」
何だかその説明で良く分からなくなった、余計に。俺は次にログインした時にミャウちゃんから四天王バイゲルの説明をもう一度して欲しいと頼んだのだが。
説明を聞いたらこれ、この通り。俺はどうしてそれがオママゴトなどと表現されたのか理解ができずに首を捻ってしまう。
「まあこの前に聞いた時も良く分からなかったしなぁ?暗殺者なのに、オママゴトが、人形遊びが好き?訳が分からないって所で止まっちゃうよなあ。でも何だかその戦闘シーンを見る気も何故か起きないし?予想もできないんだが?まあ、いいや、バイゲルの特性を教えてくれない?」
俺は話をもっと深い所まで聞こうと思った。なのでこのバイゲルを強化していくとどの様な強みが増えるのかを確認しようとミャウちゃんに訊ねてみる。すると。
「はい、奴を強化すれば魔力量と契約数が大幅に上がると思われます。暗殺においてもプレイヤー共に致命傷、もしくは即死を与える確率も上がるかと。奴はマスターアサシンですので、魔王様の御力が注がれればその二つ、精霊使いと暗殺術が強化されるとみられます。」
少し疑問が解けたが、それでも分からない部分がまだある。精霊使いだと言われて納得はしたが、暗殺技術を持っているのに精霊に悪戯させるのが好き?と言った疑問が。
どう言った組み合わせになるのかと俺はまたしても頭を捻る。精霊の力で自分の姿を消させるとか、あるいは精霊の方に注視させて注意を分散して自分の存在を気付けなくさせると言った効果を狙って、とか。
自分が考える組み合わせに「オママゴト」やら「遊び」と言った事を混ぜ込む事ができない。
「あ奴は幻術も暗殺術の一つとして取り込み、得意としております。そちらの方もかなりの精度となり、見破る事ができる者は少ないでしょう。それと相手の混乱を増幅する魔道具も奴の領域にはそこかしこに隠して配置されているので、あの中に入ったプレイヤー共は自らの力を上手く発揮できなくなるかと。そうなれば奴の独壇場です。」
「ああー、そこまで説明されて何となく解ったわー。そうした仕掛けを全力で使ってプレイヤーを陥れて叩くのね。それは・・・使い様によっちゃあ、最強だなあ、ある意味。ああ、それでそう言った「仕掛け」を壊されたくないから広範囲魔法とかが好きじゃないのね。」
「我々にはそこら辺の仕掛けは効きはしませんが、考えようによってはプレイヤー共には最悪の部類に入るかと。」
おそらくはそのバイゲルの領域では「地獄」が繰り広げられている事だろう。戦闘シーンを見なくて良かったと思う。どうやらそうやってプレイヤーを驚かしたりするのに「オママゴトが好き」と言った部分が絡むんだろうな、と秘かに理解した。
俺は「魔王」などをやってはいるが、中身は「只の人」である。そんな阿鼻叫喚の地獄が待って居る場所、その戦闘を見てしまうときっとプレイヤーと同じ視点に立ってしまい叫び声の一つも上げていた事だろう。
「・・・んん?ポイントが随分と入ってるな?うん、そうだな。もう難しい事は考えないでぶっこんじゃえ!どうせバイゲル攻略は俺がやるこっちゃ無いんだし、プレイヤーには頑張って貰おう。」
俺はいつの間にか大幅に増えていたポイントをバイゲル強化へと注ぎ込む。しかしまだバイゲルは最大強化まで到達しなかった。
そして俺は気が変わった。バイゲルの支配領域の強化もまた最大まで上げようと。オママゴトが好き、ならば領域すらも最大まで上げ切って、そこを「バイゲル劇場」にでもしてしまえ、と。
それと俺はミャウちゃんを使って面白い事を考えた。
「ミャウちゃん、ちょっと「正義の味方」して貰って良い?面白くなりそうなんだよねぇ。多分こう言った事を運営は考えていなかったと思うんだ。やるならどこまでも破天荒に楽しもうじゃん?」




