攻略!悪魔王編!「動き出している」
一回目の探索が終わって城に戻ると魔王が少し険しい顔になっていた。
僕はそれに声を掛けてみる。ここは会議室だ。魔王が何でこの場所でそんな表情になっていたのか気になった。
「魔王、どうしたの?何かあった?」
「プレイヤーが動き始めた。どうにも数字付き悪魔の件に確信を持った奴が出たみたいで。」
何時までも復活してこない数字付き悪魔に疑問を抱いていたプレイヤーが詳しく調査を開始したと言う。
「このままだと後遅くても一日半で第八までが復活しない事が明るみに出ると思う。だからそこら辺の事を緊急会議で話し合いたくてさ。」
「ソレは絶妙なタイミングだなぁ。僕らはまだ今日一回目だからね、あの庭園に入ったのって。」
何も見つけられていない今、あの城に多くのプレイヤーが殺到して来る事になればもうこれ以上こちらは行動できなくなると言ってもいい。
こうして会議が開かれて事情が皆に知らされたのだが。
「ぶも、オラたちだけじゃ分体の出現も怪しかったべな。いっその事プレイヤーたちを泳がせて条件が分かり次第にこちらが介入するのが良いと思うだべが。」
マルスが一番最初にこの意見を出してきた。
「でもそれだとプレイヤーとの戦闘が発生する可能性が高いわ。私たちが数字付き悪魔を倒している事実は直ぐに知られてしまう事実だろうし。邪魔をしてくるプレイヤーが大量に出て来ると思うの。」
マイウエルがマルスの案に懸念を示す。魔王はプレイヤーと敵対はしないと言っているから。
「おいおい、こっちの邪魔する奴らはブッ飛ばせば良いだけだろ?歯ごたえのある奴が居ると嬉しいんだがなぁ。」
ボッズは既にもうプレイヤーとやる気満々。気が早いとか言ったレベルじゃない。
「ドワーフの方に注目が集まっていましたがこれまでは。ソレも大分今は落ち着いてきています。新たにプレイヤーたちを引き付けるにはもっと大きな衝撃を与えるモノで無ければ誘導は困難かと。」
キリアスが徐々に落ち着きを取り戻し始めているドワーフの案件からプレイヤーの動きの制限について言及する。
「遅かれ早かれ気付かれるとは分かっていたんだよねぇ。だけど、ここまで第九のあの城に手古摺る事になるとは思ってみなかったからなあ。」
第九悪魔のダンジョンは城だ。それこそ規模としてはここ、魔王の城に匹敵するであろう広さである。
一筋縄ではいかないだろうが、それでも魔王はもっと早くに攻略ができるだろうと踏んでいたらしい。
「そもそもがあの庭園に拘り過ぎていると言った事は無いでしょうか?もっと別の何かがあって、それに意識が向かない様にとあれ程の派手な場所が設置されているのだとすれば?」
ミャウエルがちょっとあの花々に意識を持って行かれ過ぎでは?と口にする。
確かにあそこに咲く花々は美しく、派手で、こちらの目を強引に奪ってくる存在感の塊だ。
しかもその特性もグッと「何かがあるのでは?」と思わせる香りである。まあ嗅いだら最後のヤバイ効能であるが。
「新たな話題になりそうな事を俺の方で考えてやってみるからさ、ケンジは第九の城の方に行って調べを続けて見てくれない?大勢連れて。まあその期日も短いモノになっちゃうかもしれないけど。」
魔王は何かしらプレイヤーの注目を集める事をする気らしい。
ソレを囮にして短い間だけでも数字付き悪魔の件からプレイヤーの興味や視線を逸らす作戦の様だ。
その間に僕に決定的な何かを見つけて欲しいと魔王は頼んで来た。コレに僕はと言うと。
「見つからなかったとしても落胆はしないでくれよ?調べてみて見つけられず仕舞いだったらマルスの案を採用する事に一票入れるよ僕は。」
今回の件の会議はコレで一応はお開きとなった。