攻略!悪魔王編!「満開な花の中へ」
僕らは今「毒花の庭園」と言う場所に来ている。既にここは魔王の部下たちが調査を幾らか済ませてある場所ではあるのだが。
「それでも何ひとつヒントみたいな物が見つからなかったって、相当じゃない?そこに僕らだけで見つけるとかムリムリ。」
僕らがここにやって来ている理由と言うのも「視点を変える」とか「プレイヤーじゃないと発生しないイベント」を狙っての事だ。
ここの調査は全て魔族がやっていた。しかしその優秀な調査員たちもこの場所には苦労させられたらしい。
そしてその苦労も報われずに何一つ重要アイテムやギミックを見つけられなかったそうで。
コレにマルスが腕組をしながら悩みつつ口を開く。
「ぶもー。何も対策をしないで入った者たちは五分ほどで気分が悪くなったらしいべ。風の魔法でこの場所の空気を吹き飛ばしてもそれでも十分にも満たない時間だけしか活動できなかったそうだべよ。」
「ここの場所自体が特殊な結界に包まれているわね。しかも解除はちょっと難しいかも。それでも時間があればできなくも無さそうだけど。大がかりな工事をしないと駄目ね。毒を無効化、或いはある程度封じられる手段とかが無いと無理そう。無理矢理にでも工事を行えば毒での被害が多く出てしまって計画通り、なんて感じには進められないでしょうね。」
マイウエルが何とかできなくも無い、とは言うのだが、その方法はどうやら困難を極める様だ。
「で、僕らはその問題の場所にまだ入る事すらしてない訳で。まあ、しょうがないよね。取り合えず研究班から渡された薬を飲んでおこうか。」
僕らはこの場所の調査に当たって一応は毒対策の準備をしてきた。
それはここの毒花のサンプルを全ての種類持ち帰って来た魔族が研究班に開発を要求してできた解毒薬である。
ここの調査を先にしていた魔族のお手柄と言えるモノに頼る形だ。
「毒耐性」「毒無効」と言った感じの単純で大雑把なスキルで対抗できる、なんてのがこのゲームには存在しない。「完璧な対策」と言ったモノなど用意されていない。
各種の毒はそれぞれに見合った毒消しが必要であり、これらがジョブの「錬金術師」が活躍できる場である。
なのでこの「毒花の庭園」で咲いている花の毒成分の種類全てにそれぞれ効く成分を特定するのに中々難儀したらしい研究者たちは。
「ソレを飲んでも三十分が限界って、ドンダケなんだよ、と開発に言いたい。」
コレにガスマスクを被って四十五分と言った感じだ。そう、薬を飲んでもう一つコレに重ねる。このガスマスクは開発部が作り上げた物である。
「大変だよね、これを被ると視界がもの凄く小さくなって周囲が見にくいんだもの。これじゃ調査って言っても何も見つけられそうも無いよ。」
マイウエルの声音が非常に嫌そうである。
「まだマイウエル様はマシな方だべな。オラのは特注品で着け難いべ。」
マルスがしゃがみ込む。それは僕がマルス専用で作られたガスマスクの装着を手伝う為だ。
「気分が悪くなったら直ぐにここから出てまた日を置いて再調査しよう。何も見つけられないとか言って、それにムキになって無理してここに連日来ても体の前に精神がおかしくなりそうだからね。根気が必要だ。さて、乗り込もうか。準備と覚悟はできた?じゃあ、行くよ?」
この場所にはきっと何かがある、それを信じて僕らは魅惑的な見た目の毒の花の満開なフィールドに足を踏み入れた。