攻略!悪魔王編!「反省点の多い捕獲作戦」
結論から言うと、捕獲はできる。僕もこれには驚いた。まあそれが分かるまでの苦労と労力と手間と時間がヤバいのだが。
何せ一時間ちょっと掛かっている。これには精魂尽き果てた。
「で、これを持って帰らないといけないんだけど。上手くいくかなぁ?」
「一応は一通りの魔法は私が使えるけれど。帰るまでの距離と時間を考えると凄くシンドイねぇ・・・」
マイウエルが心配そうにぼやく。幾ら魔王が作戦決行を指示していて、それに魔族が従うのは当たり前でもツライものは辛いのだ。
このボス級の魔物の捕獲はかなりの神経を使っての事である。
敵の攻撃を受けると大怪我だし、逆に敵を弱らせるにしてもこちらの攻撃で致命傷を与える事もしない様にしないと駄目だ。
魔物にはこちらの回復魔法も回復アイテムも通用しないのであるシステム上。
それができる様になるのはジョブ「従魔師」「調教師」がテイムが成功して仲間として登録できてからになる。
そんな戦闘を一時間も続けていれば疲労も相当に溜まる。今回は単純な戦闘をするのが目的では無いので余計な心労が掛かった部分もある。
「ケンジがアイテムとして「檻」を持ち運べたからここまではまだマシだったべな。だけども帰り道は魔力障壁をマイウエル様が張れなくなるべ。帰り道は一層に気合を入れ直さないと駄目だべな。」
溜息交じりにマルスが帰り道の注意を口にする。そう、マイウエルがこの「大怪鳥」を入れた檻を魔力で「軽量化」、そのまま「浮遊」で運ぶので魔力障壁の方に気を回せない。
相当にそちらに魔力を持って行かないとどうにもこの「大怪鳥」は重いらしく。
「はあー。良く捕獲できたよね。アイテムボックスにこの「檻」が入ったから良かったモノの。あ、でも動物園の園長は成功したんだから無理って程の事でも無かったんだな、今思えば。」
そう、捕獲をするにはこの「檻」が無くては駄目だ。魔物を弱らせたとして、そこで頑丈な縄で縛った所で魔物も落ち着き始めて体力が戻ってくれば怪力に因って引き千切られてもおかしくない。
縄よりも頑強でそのまま放り込む事ができる、こうした「檻」が必要になって来るのだ。
この「檻」はドワーフに作らせており、しかも材料も最高級のアダマンタイトを使っていると言う馬鹿っぷりだ。
この「檻」を作るのに相当な量の鉱石が消費されている。そして「檻」の数も相当作って用意してあるとの事。余りにも贅沢と言う言葉を通り越していると言えよう。
「合図を送れば護衛班が来てくれるって事だったし、ちょっと休憩しよう。」
僕らは雑魚敵が出てこないボスフィールドにて休憩を取る事にした。
その間に今回の反省点を上げて次回があった時に役に立ちそうな作戦を考える。
「ぶも、やっぱり空を飛ぶ魔物は魔力を早めに消費させる手立てがないとキツイだべな。」
「確かに実際にあんなデカイのが宙を舞うって魔力が無いとそりゃ実際には重すぎて無理だろうしね。」
「私の魔力障壁で動きを牽制し続けてやっとの事で動きが鈍って来たのは後半だものね。」
「その間に防御に徹し続けるのは辛かったべ。相手は空でこっちは地上。一方的に飛び道具を連発されて、それに釣られて避けた動きの先に急襲されたのは流石にきつかったべなぁ。」
「マルスが盾になってくれて大怪鳥を地上近くに誘き寄せてもこっちは攻撃し辛いからね。目的が捕獲だから。大技も発動できないし、小技を狙って追っ払う的な行動しか採れなかったのは正直言ってストレスだったよかなり。耐え続けるのって本当に勘弁して欲しい。」
「魔力が減って来て相手も高度を保てなくなってやっとだものね。まともに戦闘ができるって思えたのって。相手の動きが素早過ぎて本当にこっちが用意した檻に入れらるの?って凄く心配だった。って言うか、正直に言って良いかな?捕獲は無理でしょ!ってずっと戦闘中思ってた。」
マイウエルが溜息と共に正直な感想を口から出す。それに僕もマルスも。
「僕もそう思ってた。」
「おらもだべ。」
三人が三人同じ思いを抱いていた事に流石に僕らは大声でアハハと笑う。
「きっと他の班も同じ気持ちで捕獲作戦をしてるんじゃない?それでも空を飛ぶ種類のタイプじゃ無ければもっと楽チンかもしれないけど。」
大怪鳥は魔力、MPが完全にゼロになったと言った感じになった時に地上にスーッと落ちてきて、その下に檻を用意して半ば無理矢理皆でそのまま突っ込んで閉じ込めたと言った形になって終わったのだ。締まらない終わり方である。
「ぶも、もっと捕獲の為の道具を色々と考えて持ち込むべきだったべな。」
「そうね。スパイダー種の糸で編んだ縄で作った頑強な網を用意しておいたらもっと短時間で捕獲ができていたかも?」
「甘く見過ぎてたね。今回は良い経験になったよ。それじゃあ護衛班を呼ぶ合図をお願い。」
この僕の求めにマイウエルが魔法を空に放った。