攻略!悪魔王編!「先ずはここから」
そうは言っても僕らのやる事は別段大きく変わらなかった。魔王が雑魚を倒してポイント稼ぎをするのに同行する形になっただけ。
魔王に専用の特殊なポイントシステムがあるのはもう本人から僕は聞いていた。
なので今回のポチパワーアップ計画を進めるに、雑魚悪魔を少しでも魔王のポイントにする為に僕らは手を出さない。
「で、僕らが一緒に来る意味無いよね、コレ?全部魔王とポチがやっちゃうじゃん?」
「そんな事無いよ?ポチが追い込み損ねたり、効率的にそっちまで行くと時間無駄にするとか言った通路の方の雑魚も皆が集めてくれるじゃん?」
そう、今この第三悪魔のあのカッチカチに硬い雑魚悪魔を魔族総出で魔王の前に集めているのだ。
全ての通路に魔族たちが入り込み、一斉に雑魚悪魔を追い込み漁でもするかの如くに。
それら硬い雑魚悪魔を一撃で粉砕していく魔王を見ていて僕は運営に一言文句を付けたくなった。
(自由にさせ過ぎでしょ、魔王を。何でこうなってるの?)
運営には運営で理由があるのだろう。この魔王を導入した深い深ーい経緯があるのだろう。
それでも一言くらいは言ってやりたい。やり過ぎにも程がある、と。
それでも魔王の快進撃は続く。ここ第三悪魔のダンジョンに出る雑魚悪魔は防御力が高過ぎて僕の最大の力を入れて放った一撃ですら微動だにしないのに。
ステータスは一応その他のプレイヤーに負けない位の数値は今はあると考えている。
しかしその僕の一撃は全く持ってこの雑魚悪魔に効いていると言った様子は見られない。
ソレを魔王は一撃で砕くのだ。どうかしているとしか言いようが無い。
「そう言えばここの「コア」、俺のヤヴァい武器で切っても大丈夫なのかな?」
魔王がそんな事を言い始めた。それは第四悪魔を消滅させたあの光の事なんだろう。
「どうにもさ?これ、特殊な判定にされるっぽくって。調査班に調べさせたらどうにも第三悪魔の分体の方、復活がどうやら遅かったみたいなんだよねぇ。それでも今は大分日数経ったし復活してるって事なんだけど。」
どうやらいつの間にか魔王が諜報、情報部にそう言った調査を行わせていたらしい。
「一応は第四悪魔で「球」は出たから大丈夫だと思うんだよね。それでも小さな可能性が残ってるし、それを見て見ぬふりして放っておくってのはしたくないし。」
やらなきゃわからない、やってみないと分からない。だけども一つもこの「球」を逃したく無いので悩む所だ。
何せ後で僕が話しを聞いた所によると、この魔王のチートな攻撃力でもそう簡単に第三悪魔は倒せなかったと言う事だったらしいから。
最終的に魔王が途中で満足してその「ヤヴァい」武器を使って最後は倒したそうである。
ならば「コア」もきっと硬いのだ。倒すまでに幾ら魔王でも時間が掛かり過ぎると見込んでのこの発言だろう。
僕らはきっと役に立てない。何せマルスの一撃でも雑魚悪魔はぴんぴんしていた位だ。
僕らの攻撃などこの第三悪魔に対しては焼け石に水にすらならない。「コア」にだってきっと同じだろう。
「僕らは離れて見守ってるから魔王は「コア」をサンドバックだと思ってやりたい放題すれば良いんじゃない?」
「ケンジ、それは余りにも投げやり過ぎる!全部俺に丸投げしようとせずに何か案を出してくれよ!」
「いや、これが他の数字付き悪魔だったら何かしら考え様とするけど。もうここの第三悪魔の特性は分かっちゃってるじゃん?」
最初に一番時間が掛かりそうな所を先に攻略してしまおうと言う事で此処に来ている。最後の最後に怠い所は残さない様にしようと言う事である。
ソレともう一つ、此処にはプレイヤーが来ない。全く持ってして不人気な所だ。
なのでここで何かしらの事態が起きてもプレイヤーにその情報が回り難いと言った事情もある。
一応は僕らがやっている事をプレイヤー達には秘密である。何せ僕らが数字付き悪魔を全て刈り取ってしまえばプレイヤーが進めるべきストーリーを横取りしている様なものだから。
「取り敢えず今日は一日これに時間を掛けるって言ったのは魔王でしょ。明日からは電光石火で第八まで全部搔っ攫うって言ってたよね?」
これは第九と第十がまだ調査を完了していないからだ。その調査が済み次第にこの二つも纏めて処理する予定なのである。
「はぁ~。それじゃあ俺が頑張るしかないよなぁ。でも、攻撃に参加したいって人居たら遠慮無く言ってね?一応は別に俺はそこら辺は歓迎するから。」
此処にはボッズも居る。マルスも居る。マイウエルも、ミャウエルも。キリアスは御留守番だけど。
取り敢えずは魔王が疲れたら交代、皆で総攻撃を仕掛けて何とか「コア」に地道にダメージを蓄積させて倒そうと言う話になった。