攻略!悪魔王編!「どこまで変わる?」
俺もケンジも呆気にとられた。何せ研究者たちの言葉でどうにも混乱してしまったからだ。
悪魔を倒したら「神力」?なるモノが封じられている「球」が、などと言う事実に「はい?」としか口から出せないくらいに驚いている。
「なぁ?どう言う事だ?これって裏設定?それとも、本来の辿るべき手順?ケンジ、どう思う?」
「分かる訳無いよ。ただ・・・」
「只?」
その口籠ってちょっと間が空いたケンジの口からは。
「ただ、僕らの進んでいる道は大分、いや、かなり?いや、そうだなぁ・・・運営が絶対に想定していない流れと進み具合って事くらいじゃない?いわゆる「普通じゃない」って事。」
俺はこの言葉に深く納得した。ああ、なるほどな、と。
「じゃあこのまま突き進んでオッケーだな。俺の所にも、ケンジの所にも運営から何も「お知らせ」みたいな物は来てないしな!」
開き直りだ。そもそも俺たちの事が問題になっていたら運営からの直接のメールが一通や二通、いや、もっとそれ以上の数が来ていてもおかしくないと思うのだ。
それらが無い以上はこのまま何も分かっていないままに俺たちのやりたい事をやり続けても良いと言う事だろう。
「いや、流石に魔王のやった事には文句を付けても良いと思うんだよ、運営サン・・・」
ケンジが何か呟いているが、それを俺は無視する。意図的に無視する。全部聞こえちゃってるけど、断じて無視する。
「さて、じゃあもう一個行って見ようか!ホレ、ポチ。」
最後の一個をポチに与える。そしてまたしてもポチは光り輝いて今度はその毛が黄金に変わる。そう、金色の狼に変身した。
「魔王様・・・今度は「金狼フェンリル」と名前が変わりました・・・」
鑑定持ちの魔族が報告をする。それを聞いて俺は何処までポチが変わるのか非常に興味が湧いて来た。
「今度から得られた「球」はポチに与えて何処まで変わるか試してみたいんだけど、ケンジ、良いだろうか?」
「魔王ってどこまでも突き詰めるタイプだよね。いや、僕は魔王がソレで良いなら別に良いけどさ。」
ケンジから呆れられながらも許可を得られた。ならばポチのパワーアップ計画を発動だ。
「えー、皆、ちょっと聞いて?今回のポチの件は俺のポイント稼ぎよりも重要視します。残っている第三悪魔、第五から第十までを一気に攻略していきます。その準備をするので装備の充実と消費アイテムの拡充、補充を徹底的にやってください。ドワーフたちは引き続きプレイヤーの気を引く為の方に動員したままで残った者たちだけでこの計画は進めて行きます。三日後から動くから、はい、作戦開始だよ。ミャウちゃんこの知らせを皆に伝えといて。」
「はっ!畏まりました!」
俺のこの一声で一斉に機材が片づけられていく。手早く。そして研究者たちがあっと言う間に部屋から出て行った。
「なぁ魔王?大事にし過ぎじゃないのか?プレイヤーがこれじゃあ置いてけ堀じゃない?」
「え?俺もプレイヤーだけど?」
「いや、そこは突っ込ませて?魔王はフツーじゃないからね?」
ケンジにそう言われてしまったが、俺が「魔王」で同時に「プレイヤー」であるのは確かなのだ。これが何かしらの問題を孕んでいるのだとしても。
これが駄目だと言うのならば、これまでに他の件でもうとっくに運営が俺のアカウントを一時停止して遊べ無くしている事だろう。
運営から今も俺に対策が何らされていないのならば、それはソレ、このまま突き進む。俺はこのゲームを楽しむ為に遊んでいるのだから。
ならばとことんまで俺のやりたい事を追及していく。それの何が悪いのか?悪かったら運営が止めに入るだろう。
ならな安心してやりたい放題、思い付きを試していくのである。