攻略!悪魔王編!「対応、対策どうすれば?」
「それで、あの光って何だったの?」
僕はそう魔王に質問した。その答えは。
「あー、知らない方が良いと思うよ?とは言え、まあ、言ってみれば秘密兵器的な?バランスブレイカー的な?」
「何でそんなの存在するの?しかも魔王自体が有り得ない程にバランス崩壊待った無しキャラなのに?そこにぶっ壊れ性能の何かが追加とか、馬鹿なの?プレイヤーはどうすれば良いの?どうしたら良いの?」
僕は辛辣な言葉を魔王にぶつけてしまった。それくらいに第四悪魔の完全討伐はインパクトが強過ぎた。ショックが大きかった。
一応は無事に作戦は決行され「球」も回収できていた。しかし僕からしてみれば問題はそこじゃない。
「なあ魔王?プレイヤーってさ?魔王を討伐するのがそもそも最初にあったストーリーでさ?それで、プレイヤーの魔王さん、どうお考えで?」
「いやはや、面目次第も御座いません。とは言ってもねぇ?こうなっちゃったからには俺の責任じゃねーし?文句があったら運営の上の人に直接言ってください的な?」
今では僕も魔族が一度死亡すると復活しないと知ってしまっている。一応は復活アイテムも存在はするのだが、それも大量生産ができないとなれば慎重になるのは分かる。
それに魔族NPC達の性格がそれぞれ個性的で一度接触してしまえば失いたくないと思える程である。
魔族NPCは只の雑魚モブとして出てきて無限湧きするのではなく、このゲームの世界でしっかりと「生き」そして「死ぬ」のだ。
もうこれを知って、そして身近に感じてしまったらどうしようも無い。
魔王がこうして魔族を誰も死なせない為に強さを上げて、訓練させて、文化文明を発展させた事には何も言えなくなってしまう。
「さて、今後の事についての会議を開こうか。じゃあ意見のある者は挙手で。」
今僕らは魔王の城に戻って来ている。会議室にて今後の事を話し合う事になっていた。
魔王が第四悪魔を討伐した際に出てきた「球」をその手で弄びながら出席者の意見を求める。
「ぶもー、良いだべか魔王様?現状プレイヤーたちはドワーフたちに依頼している武具の事に夢中で数字付き悪魔の方には見向きもしていないべな?なら現状維持で良いと思うんだべが?」
完全に今プレイヤーたちは「悪魔王編」の事など全く考えていないと言える状況だった。
いや、最前線組と呼ばれるプレイヤーたちはドワーフに作って貰う武具で強化をしてから一気に数字付き悪魔の攻略を目指すと言った計画があるのかもしれないが。
「でもそうなるとそれが落ち着いたら一気にプレイヤーが数字付き悪魔攻略に押し寄せてくるのではないでしょうか?その点の対策がやはり必要だと思います。」
マルスの現状維持案にマイウエルが先の事を見越して何かしらの対策や方針は今考えておくべきだと述べる。
僕が考えていた事をマイウエルも同じく懸念していた様だ。
対策や対応とは言え、物作りに関しての部分は今はドワーフが全員出動フル回転でプレイヤーの対応に当たっている現状になっていた。
魔王国にはドワーフが一人も居ない状態である。何か特殊なアイテムや発明品などの製作はちょっと難しい。
ベテランも、ひよっこも、ドワーフの誰も彼もが稼ぎ時だとフンスと鼻息荒くあの都市で働いているのである。
「今回の第一募集枠でのプレイヤーの中には既に注文の受け取りを終了している者も出て来ています。その者たちは試しと称して様々な場所にて魔物との戦闘を行っています。今すぐとはならないでしょうが、しかしそう遠くない未来に再び数字付き悪魔の領域にプレイヤーたちが戻ってくる事が簡単に予想されます。」
ミャウエルが当たり障り無い未来予想図を報告する。コレに魔王が。
「うーん?まだ第九と第十の城の調査とかもしたいんだよねぇ。あそこのマップがやたらと曲者でさー?プレイヤーがそこまで一気に入ってくる、なんて事にはならないと思いたいけど。それでも油断はしていちゃいけないよね。なるべくなら時間稼ぎはしていきたい。数字付き悪魔のダンジョンを封鎖とかできないかね?ポイント稼ぎのできる場所は無くしたくない、確保しておきたいんだけどなぁ。」
ポイント稼ぎに関しては一つ僕にはアイデアがある。けれどもこれは最終手段であり、絶対にやりたくないものなのでここでは発言しない。
これの代わりと言うのは何だが、ここで僕は思い付きを吐き出した。
「要するに、プレイヤーの意識が悪魔王の方に向かない様にすれば良いって事だよね?ならイベントを立ち上げれば良いんじゃないかな?プレイヤーズイベント。次々に小さい物でも、大きいモノでも良いから何かしら話題になるモノを出せればそっちに大多数が興味を持って行かれるんじゃない?」
コレに魔王がちょっとだけ食いついた。
「お!それちょっと良いかも?そうすると、どんなのが良いかな?うーん?」