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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「それでもやらねばならない」

 此処は作戦会議所。ドワーフたちとプレイヤーが作り上げたあの巨大都市にあるビルの一室。そこで僕、魔王、ミャウエルで話し合いをしていた。


 調査は一時停止している。何せこの地の上空調査にどの様な方法を用いれば良いか?それが思い浮かばなかったからだ。

 これ以外にも小さいながらも捨て置けない理由がある。それは。


「何かしらの条件が起たないと「コア」が出てこない、って言う理由が一番厄介なんだよなぁ。」


 僕はぼやく。只単に隠蔽で隠れて上空に浮かんでいるだけなら「コア」を探し出すのは簡単ではあった。

 しかしそれを大々的にやってしまうとプレイヤーたちの間にこの件が盛大にバレてしまう可能性があるのだ。

 今回のドワーフの都市計画はプレイヤーたちの間で第四悪魔を討伐した事によって発生したイベントだと言った風潮が出ている。

 あくまでもそう言った結論が掲示板で出たと言うだけの話ではあるのだが。ソレを壊したくないと言う意見を僕と魔王は口にしている。

 今回の計画をプレイヤーたちにバレたくないと言った何となくな気持ち、僕と魔王はその点で一致していた。


「マイちゃんが魔力波を強めに出してあらゆる隠蔽効果を除去すれば炙り出しも簡単にできるって事だけどさー?絶対にプレイヤーにバレるじゃん?ソレはちょっとねー。」


 魔王はマイウエルのトラウマに気を配っている。どんな方法で「コア」が隠れているのかは分かっていないが、マイウエルの持つ膨大な魔力の量で一気に位置を特定する力技での方法が一発で、そして確実に見つける事が出来ると言う形ではあるのだが。

 これをするとどうしても周囲にマイウエルの魔力波が広がってしまうらしい。

 そうするとプレイヤーたちに感知されるのも確実だと言う事であった。マイウエルがこれでは晒し者にされてしまう可能性が大きく、その点に魔王は憂慮を示していた。

 しかもこれはもし「コア」が何かしらの隠蔽を使用していたら、と言った前提があってのモノである。

 特殊な条件が無いと一切何をしても「コア」が見つからない「このゲーム内のシステム的何か」であった場合は無駄足となるのである。


「地道に行く?それとも一気にカタを付ける?・・・うーん?どっちも良さげな案が浮かばないねぇ?」


 魔王はそんな言葉と共に腕組をして首を捻って見せる。可愛らしい仕草を魔王がやると威圧感と共に不気味さが半端無いのだが。それをうっとりした表情で見ている魔王の側近のミャウエル。意味が分からない。


 さて、僕はこんな現状に至るとは最初思ってもみなかった。いや、これは全部ハメを外し過ぎたドワーフが悪いと思うのだが。

 そのドワーフ、建築された建物をプレイヤーへと貸し出して家賃を取っているのである。これらは魔王国の運営資金として魔族が裏で管理していると言う。

 コレを魔王は全く最近まで分からなかった。と言うか、ミャウエルがいつの間にか勝手にこの件を纏め上げていて魔王の所には事後承諾と言った形で知らされたらしい。

 魔王はこれに「ミャウちゃん、オソロシイ子!」と言って恐れ戦いたと言う事である。

 ミャウエルはこの時に魔王へと「絞り取ってご覧に入れます」と言ったそうだ。

 これを聞いて慌てて魔王はこの時にミャウエルが出した家賃設定金額をかなり下げさせたと言う。


(まあ魔王も幾ら事後承諾とは言え、それを即座に否定、中止、凍結しなかったんだから文句は今更付けられない訳で)


 そのせいでこの都市の建物に入っている七割がプレイヤーだ。これだけの大規模な事になっているのだ。噂が噂を呼んでと言うやつである。

 何処からともなくどんどんとプレイヤーがこの都市に流れ込んできて、あれよあれよと入居者が増加していって止められない流れとなっていっていた。

 だからだ。ここで問題がまだある。コレもまた大きな問題で。


「これで僕たちが「コア」を見つけた場合だよね。第四悪魔の分体が「モビル◯ーツ」であるからして。本体を守る為に出現してそこで周囲を見境なく攻撃し始めたら?その時になったらプレイヤーは別にどうでもイイとして、せっかく作ったこの都市が灰にされちゃうのはちょっとねぇ?それに、ドワーフたちも危険にさらされちゃうからさ。」


 僕はプレイヤーの心配はしない。リスポーンしてデスペナルティを食らうだけだ。所詮プレイヤーにとってこの世界はゲーム、遊びである。

 ならば一度消えたらもう二度と蘇らない、と言っても過言じゃ無い状況に置かれているNPC達の心配をする方が優先だ。

 このせっかく作り上げられた都市が崩壊してもまた作り直せはする。しかしNPCの「命」は今の所一度きり、それに対して復活アイテムの数は少ないにも程がある。

 復活アイテムが無限に作れると言うのも厄介ではあるのだが、作れ無さ過ぎると言うのも問題だ。


「なあケンジ?第四悪魔が出て来た時には俺が相手をしても良いか?一応は「コア」の破壊はウチの今集められる最大戦力と出せる最大攻撃で一瞬で消し飛ばすからさ。」


「ん?別に僕の事は気にしないで良いよ魔王。今回の事は僕の手には余る、って言うか、初見でアレは僕には最初から無理だと思ったし?そっちで片付けてくれちゃって良いんじゃない?任せるよ。僕にはできる事が無さそうだから今回は。」


「いやいや、最初にドワーフの武具を広めてくれたのってケンジじゃん?そこは今回の計画での貢献度としてはかなり上の方だよ?あー、でもその後の責任は全て俺にあるからなぁ。ドワーフの本性を掴み切れてなかった結果がこの巨大都市だからなぁ。予想以上だよ。斜め上とか言ってる場合じゃ無い位。でも集まってくる金額がもの凄い事になってるのは良い事なんだけどさー?」


 良い意味も、悪い意味も、その両方が魔王のこの言葉の中に含まれていた。


「何にせよ、何もかもが一発勝負になっちゃいそうだね。まあ僕は遠くで見学させて貰うけどさ今回ばかりは。」


 こうして作戦決行の日時が決められる事となった。それは一週間後。決行日時にはドワーフたちに一時避難する様に連絡が徹底された。

 一瞬で全てを終わらせる、そんな覚悟がこの時の魔王からは察せられた。

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