攻略!悪魔王編!「青いお空を見上げてみても」
「いや、魔王、やり過ぎ。」
俺は今ケンジにそうツッコみを入れられていた。
「あ、はい、正直に言って俺もここまでになるとは思ってもミナカッタデス・・・」
以前にプレイヤーたちが作り上げた町があったが、そんなモノとは比べ物にならない程になってしまっていた。
集まったプレイヤーの数、そしてドワーフのこだわりがこれを成してしまっていた。
目の前に広がるのはドワーフが途中で都市計画の方に修正を入れ、それに嬉々として付き合う悪乗りしたプレイヤーたちの汗と努力の結晶である。
「広過ぎ、とか言った言葉じゃ言い表せないんだけど?ナニコレ?何処の巨大国家だよ?魔王がこれを治めるつもり?」
「当初の目的を途中で完全に忘れ去ってるよね、ドワーフこれ・・・いや、それは無理ってもんでしょ?」
只のサラリーマンがこの見渡す限りに建物が何処までも続く土地の行政をするって有り得ない事だ。完全に俺の裁量を遥かに超えている。
税を取ったらそれこそ莫大な金額になる事だろう。俺のこれまでの人生で一度だって見た事も無い金額に膨れ上がるのは確実と言えた。
さて、そんな巨大都市には中央に何も無い空間がポツリとある。そこには第四悪魔が出現する範囲を誰にも入らせない様にする為に設けられた壁が聳え立つ。
もしこの場所にプレイヤーが入り込んだとしたら?ここは忽ちの内に「モビル◯ーツ」と市街戦に突入!ってなものだ。
プレイヤーがこの場所を廃墟にするメリットは何処にも無いから。警備する流れが自然とできて今では警邏隊が組織されて鼠一匹たりとも入れない様に厳戒態勢を敷かれていたりするのだが。
「いやー「コア」が見つかったら第四悪魔と戦う事になるんだけどさー?もうここには大勢のプレイヤーが居ついちゃってるし、どうしよう、コレ?」
「魔王の壮大なマッチポンプ・・・」
「そんな言い方!止めて欲しいな!?」
ケンジからのそんなイジリに耐えて俺は上空を見る。そしてぼやく。
「地上も地中も駄目だったなら、上しか無いんだよなぁ。どう思う?ケンジは?」
「そうだね。僕が最初に提唱した「地中にコア」はコレで八割方?九割方?否定されたって感じだよね。そうなるとやっぱり上空かなぁ。その場合にはその「コア」が何処まで高い位置にあるんだよ?って話になるかもね。」
「でもさ?もしかして「コア」が隠蔽の魔法で姿を見せない様にしてるって事もあるかもしれないじゃん?そうなるとじゃあ何処に隠れてるんだ?って話に繋がっちゃうけど。」
そう、後でまた詳しく地中調査を行ったのだ。これは立ち入り禁止区域に向かって集中的に行われた。
その結果は「無い」であった。立ち入り禁止区域を全方向から魔力波を飛ばしての調査である。かなり精密な情報を取得したと言う報告が俺の所に上がって来たのだが。
その結果は「コア」が地中に存在している可能性は非常に低いとの結論だった。
「人海戦術で地上はプレイヤーが外周からじわじわ狭める様にして調査はしたから「コア」が地上には無いって事なんだけど。それでもそう言ったモノを躱す何かをその「コア」が持って居たらお手上げなんだけどね。」
ケンジが俺のこの言葉に意見を述べる。
「でもさ?そうなるとこんなに建物が密集している場所で「コア」ってどうなってるの?にならない?魔王は今目の前の状況で地上に「コア」がそこら辺でフラフラしてると思う?」
「いやー、それを考えると確かに有り得ないって感じするわ。やっぱ上空かね?」
俺とケンジは今この地に建てられた一番高いビルの屋上で会話をしている。もちろん絶景を見ながらである。
360度ぐるりとその場で回れば目に入る景色は壮観だ。どこもかしこも「ここ、ファンタジーじゃ無くね?」と言いたくなる光景が広がっている。
そんな場所で俺たちは二人で同時に空を見上げた。