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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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閑話「作戦開始、計画発動」

 そこには地を埋め尽くさんばかりのプレイヤーが集まっている。そのプレイヤー達に語り掛けるのはドワーフ。


「先ずは各分隊に分かれてこの計画書通りに動いて貰う。最初は先ず何処まで接近すると第四悪魔が出現するかの確認を確実にしておきたい。」


 チーム分けをしてプレイヤーはこのフィールドに広がって少しづつ外周から中心部へと慎重に接近していく。

 包囲の輪を縮小する際には歪みが出ない様にとの注意書きも添えてある。

 各自のチームが一定の距離を進んだらその都度に地面へと目印となる杭を打ち込んでいき、精密に間隔を取っていく。

 かなりの時間と労力を費やす仕事ではあったのだが、これをプレイヤーは嬉々として熟していく。

 彼らプレイヤーはこの件を第四悪魔に関する「イベント」と勘違いをしている。

 そしてついでに付け加えるならドワーフに製作依頼を出せるチケットの事に頭が使われていて全く今回の件の本質が分かっていない。

 この計画の裏に居るのが魔王である事など、誰一人としてこの場に集まったプレイヤーには思い付きもしない事であった。

 誰もが「ドワーフきたぁァぁァ!」と浮かれていたのである。


 このフィールドの中心部に近付くと第四悪魔が出現するのだが、計画が発動されて三日の作業でその出現範囲が特定された。

 ついでにその時、この第四悪魔の出現でまだ一度も戦った事のない、もしくは一度もその目にした事が無かったプレイヤーがこれに驚きと衝撃で棒立ちとなる。

 当然そんな無防備な所を見逃さなかった第四悪魔が攻撃を開始してかなりのプレイヤーがリスポーンを食らうと言うハプニングがあった。

 第四悪魔の攻撃で直接消し飛ばされる者はまだマシな方で。混乱の中で転倒、そのまま逃げ惑う仲間に踏みつぶされて、動揺した仲間の魔法攻撃のとばっちりを食らって、などもあった。

 この時の第四悪魔登場に現場は混迷を極めていた。


 その後に直ぐ討伐経験者が即座に動き出して攻撃隊、補助隊、救助隊、後方支援隊などを組み始め持ちこたえていく。

 そうして各自が自然と自分の役割を作り出して一丸となって第四悪魔を倒す事に成功する。これに犠牲者の数はかなりのモノになったが。

 プレイヤーには逃走の選択肢を取って撤退をしてくれて構わないと言った事も告げられていたのだが。

 やはりボス戦ともなれば討伐したいと考える者が多かったのだろう。多大な犠牲を出してでも成功をした討伐に雄叫びを上げるプレイヤーが多く見受けられた。


 その後はすぐさまその第四悪魔出現範囲に今後誰も入らない様にと囲いが作られる。これはドワーフたちの突貫工事でかなり高い壁を作り出してそこは進入禁止場所と化した。

 このフィールドが今後にドワーフたちの一大拠点となる予定だと言う事はプレイヤーたちはもう知っている。

 第四悪魔を出現させるようなマネを今後するような奴が居たらそいつは全プレイヤーから私刑に処される事だろう。

 何せ第四悪魔の攻撃はかなりの遠距離にまで届く。せっかくこれから作り上げる「ドワーフ都市」をそれで壊される様な事があればどれだけプレイヤーの損失になるか計り知れない。

 そんな真似をする者が居ればそれは「テロ」行為とみなされてプレイヤーたちから指名手配を受けて四六時中その命を狙われる事となるだろう。


 さて、侵入禁止区域ができれば次は地質調査だった。これは完全にボーリング機の動力を魔力で再現した重機で作業される。

 この重機はドワーフと「魔王国特殊研究所」が開発した物である。魔王がゲーム内に持ち込んだ知識や技術や機構を特殊研究所が魔力での再現、代用、開発、するのだが。


「おい、俺たちはゲームの中に居るんだよな?何で遊んでるはずなのに土木工事経験させられてるんだ?」


「黙ってろって。俺たちはドワーフに強力な武具を作って貰う為にこの仕事をしてんだからよ。」


 などと言った会話がプレイヤーたちの間に頻繁に交わされていた。

 さて、このボーリング機で掘った穴は相当に深い。そこにまたしても特殊研究所が作り出した「魔力反響地中調査機」が降ろされる。

 これは文字通りに地中に魔力波を飛ばしてその反響を調査して何かが隠されていないかを見つける為の魔道具である。

 これは「コア」を発見する為に開発された代物なのだが、当然魔力を含んだ鉱石などにも効果がある。

 反響、と言った言葉通りに、特殊な魔力波を飛ばして、コレに魔力を含む「何か」が当たると跳ね返ってくるのである。

 ソレを魔道具が捉えて地中にある「何か」を見つけると言った単純な仕組みだ。

 その反響具合の調整が一番難しかった、と言った言葉が開発陣の感想である。

 これを一定間隔の距離でおこなっていく。プレイヤーが地面に打った杭を目印にしてくまなく調査が行われる。


 この調査が一週間以上続いた。この調査で魔力を含んだ特殊な鉱石や鉱脈が発見される事が無かった事にほんの少しだけドワーフたちは残念がったりもした。

 しかしそれ以上に重要なのはその調査でも「コア」が発見できなかったと言う点である。

 ここまですると、さて、そうなれば進入禁止にした区域にもしかしたら「コア」があるのかもしれない可能性が出て来ていた。

 しかしその調査は行われずに今度は都市開発が実行される。そう、本格的にこの場所に建設ラッシュが始まった。

 第四悪魔のフィールドはそれこそ広い。広過ぎると言っても過言では無い。

 そんな場所を最初から計画性に沿って建物を建てていく、道路を敷いて行く。

 魔法と言うシステムがあるゲーム内だ。そしてプレイヤーの数の多さ、マンパワーであれよあれよと異常な早さで開発は進んでいった。


 もうこの時にはプレイヤーたちは当初の目的を忘れかけて自分たちの手で作り上げられていく近代的な街並みに楽しくなり過ぎて興奮の方が先に立っていた。


「ここに俺たちって住んで良いのかね?プレイヤーの商人とか、生産職とかが店出せたりするのか?そうなるとこの街の名前は何になるんかね?」


「ドワーフたちが主導で計画を立てて出来上がる場所なんだから俺たちが名づけとかできるはず無いんじゃね?」


「もう第一陣のプレイヤーがドワーフに製作を頼んでるって話だぞ?俺たちは第三だからもっと後になっちゃうけどなぁ。」


「いや、まだまだここで働いて金稼ぎしておいた方が良いよな?実入りも良いしさ?どうやら今回の都市計画に投資し始めた商売系のプレイヤーがじゃんじゃん金を注ぎ込んでるって話だぞ?金稼ぐなら今の内がチャンスだって。」


 こうして一ヵ月と言う圧倒的、そして驚異的な短い期間で巨大都市が爆誕するのだった。

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