攻略!悪魔王編!「当たり前の事」
僕の発言は物議を醸し出す。もし工作部隊を編成しても、確証が余りにも無さ過ぎる地面からの「コア」の掘り出しである。
第四悪魔「モビル◯ーツ」があの場から動かなかったのはその地面の下に「コア」が隠してあるからなんじゃないのか?と言った推測はあまり褒められたモノでは無いのである。妄想に近いとも言えるモノだコレは。
それでも工作部隊を組んで「さあ掘りました」などとなってこれで「出てこない」となれば大問題。出てこないとなっても「コア」があると確信が得られる何かが見つけられたら、ソレはそれ、上々と言える成果とも言えるが。
何処を掘っても出てこない、なんて事もあるかもしれない。その時には「無い」と言った確証が得られなかったらソレはソレ「何処まで掘れば良いか?」と言った問題が付き纏ってくるだろう。
そこで「掘る場所がズレているだけ」となっていた場合にはまだマシで、しかしそれでもその時には作戦の一時中断か、或いは続行かも判断しなければならなくなる。
そうなったらそうなったで撤退の事も視野に入れて作戦を立てなきゃいけないし、逃げるにしたってすんなりと逃がして貰える訳が無い。
そもそもだ。さてここで「コア」を掘り出す事ができた場合、その「コア」と「分体」の二方面作戦で戦わねばならなくなるのでは?と言った問題が今度は浮上する。
これまで第一、第二との戦いでは「コア」は非常に強力な攻撃手段を持っていた。
とは言えそれ以上の強さを持つマイウエルとマルスに第一は倒されているし、第二もボッズとキリアスが居てくれたからこそ倒せているのだが。
それでもこの第四悪魔の「コア」がどの様なモノであるのかは全く判っていない。
もしかしたら対処が難しい特殊な攻撃方法を持っているかもしれないし、分体との連携を取って来る可能性も否定できない。
そうなったら第四悪魔の完全討伐はもっと難しくなる事だろう。問題は山積みになっていく。
「あー、本日の会議はここまで。結論としては情報収集をもっとしないと話が進まない、って事で。第四悪魔のフィールドは調査を実施。ケンジたちが遭遇した時の話を元にして第四悪魔がギリギリ出現しない距離までのフィールドを先ずは完全に丸裸にして行こう。人海戦術だ。こればっかりはしょうがない。そこら辺の部隊編成をこれからしよう。あ、ケンジは何ならもう退席して良いよ?ここからは俺がやっておくし。お疲れさん。」
魔王に気を遣われてそう言われてしまった僕は会議を退席する。
しかしコレと言って直近でやらねばならない事は何も無い。
「僕はログアウトでもして例の攻略映像を繰り返し見直して何か発見できないか探してみるか。僕には時間がたっぷりあるんだし。あ、なんか自分でソレを口にすると何だか涙が・・・」
自分の「現実」をこんなタイミングで振り返ってしまい非常に落ち込んだ。
しかし直ぐに気を取り直してログアウトをする。その後は例の動画の中に何か少しでも攻略に役立つ追加情報を見つけられないかと穴が開くほど何度も見返した。
そうして気が付けば余裕で二時間は経過してしまっている事にちょっとだけビビる。必死になって画面に食らい付いていたので時が経つのも忘れていたのだ。
「それでもヒントになる様なモノも見つけられなかったし、違和感も何も感じなかったんだよなぁ。本当にどうすれば?うーん、僕がもし戦闘で役立つとすれば、どんな立ち回りが一番効果的かを次は考えながら見よう。」
再び僕はまた動画を最初からスタートする。何度も何度も再生を繰り返し、一時停止し、巻き戻し、スロー再生しと、あぁじゃない、こうじゃ無いと悩んでそれからまたしても二時間があっと言う間に過ぎている。
「げ!?もうこんな時間かぁ・・・寝よ。」
ずっと動画を見続けていたせいか目がシパシパする。長時間動画を見続けていても僕の観察眼では残念ながら有力な情報は見つけられないまま。
しょうがないので今日の所は諦めて僕はそのまま就寝する事にした。