攻略!悪魔王編!「奇妙な壁」
犬とか、子供とか、遊び始めるとずっと止まらないよね、限界まで疲れ果てないと。
今まさにポチがそれだった。俺はボール投げ遊びの如くに雑魚悪魔を掴んで遠くに投げては、ポチがソレを空中キャッチして俺の方に戻ってくる。
そのポチの速さは残像を作っており、どれ程の瞬発力なんだとツッコミを入れたい所である。
さて、ポチがボールを咥えて戻って来たその際には「もっと遊んで!」と言った気持ちを込めたつぶらな瞳をこちらに向けてくるので俺はついついまた雑魚悪魔を受け取って投げてしまう。
これが俺たちの周りに雑魚悪魔が居なくなるまで続いた。
「流石に今日はもう終わりだポチ。充分に遊んだな。さて、一番奥に第三悪魔は居るのかな?取り敢えずこのまま一度バトルしてみたいんだけど、ミャウちゃん疲れてない?」
俺はポチの頭を撫でつつそう問いかける。ミャウちゃんはコレにいつも通りに「魔王様の御心のままに」と返してくる。
「じゃあもう少しだけ。今回の所は第三悪魔と一度戦ってみようか。手応えがある相手だと良いんだけど。雑魚悪魔のこの頑丈さだと期待が持てるけどね。」
遊んでいたポチの興奮も大分冷めて来た所でダンジョンを進む。
そもそも今日ここに来た本来の目的は俺が多少は手応えがある敵と戦ってみたいと考えたからだ。
そこで掲示板の情報からここの悪魔がいけるんじゃ無いか?と判断してのケンジへの同行だった。
「だけど最初からケンジたちは第四に向かうつもりだったって事だったしな。無理して俺に付き合わせちゃった感じだなぁ。今度ケンジが何か求めてきたら二つ返事で聞くとしようか。」
そうやって考え事をしながらズカズカとダンジョンを進む俺の前にいきなり水の塊?が現れた。
しかも通路を塞ぐくらいに大きくてこれをどうにかしない限り進め無さそうだった。
「ここのダンジョン特融の破壊不能オブジェとかか?そうで無かったらギミックでの開閉になる特殊な壁?・・・それともプレイヤーの攻撃で破壊可能なお邪魔トラップ?」
このまま考えているだけでは埒が明かない。検証をしないと駄目だろう。
「ミャウちゃん、ちょっと糸を刺してみてくれない?いきなり指で突くとかはイカンだろうし?」
一応はこの「魔王」に傷をつけられるとは思えないのだが。それでも多少は危機管理、危険回避は必要だろう。
そう言った意識の無さが元で後悔や手遅れなどと言うのは御免だ。
俺の求めで動いたミャウちゃんは糸を真っすぐに伸ばしてその水の塊、薄っすら青っぽいその中に糸をプスリと刺しこんだ。
しかしどうにもこれ、ミャウちゃんが言うにはどうにもおかしいと。
「魔力反応感知。どうやらこれは魔力を込められたモノである様です。しかし別段触れても問題は無いかと。」
ミャウちゃんのこの判断に俺は塊に近付く。そして指を水の中に刺しこんでみた。
「おおー?確かに何とも無いね~?じゃあこれは何の為に此処にあるのかって事になるか。ここの通路を選んだけど、本当は奥に行くルートは別だとか?」
取り敢えず他のルートを今更探すとなると俺のログインしていられる時間的な面で切り上げをせねばならなくなる。
さて、そうなるとこのままこの水の塊に突っ込んで行って貫通できるのだろうか?と言った流れになる。
「ずぶ濡れは嫌だから何とかこれを破壊できる方法をちょっとだけ探ってみるか。」