攻略!悪魔王編!「目標は無いよりもあった方が良い」
いきなり魔王が僕へと相談だと言って持ち掛けて来たソレは何と。
「ここのダンジョンを最後の最後まで残しておいて欲しいんだよ。まあ、見て分かる通りにポチにも良い環境だし?俺もコレちょっと楽しくなってきたし、気に入ったんだ。プレイヤーもどうやらここには来ないみたいだ。ここを気分転換の場としてとっておきたいんだよねー?どう?良いかな?」
「あ、うん。どうせここって魔王が居なければきっと攻略は無理だろうし?良いんじゃないかな?僕は最初からここを飛ばして第四に行こうとしていたから。良いと思うよ?」
この僕の返事に「よっしゃ!」と言って魔王は余計に激しくポチと遊び始めた。雑魚悪魔をまるでボールに見立てる様にして掴み、そして思いきり遠投している。
ソレをポチがダッシュしてキャッチし、また魔王の所に戻ってくるのだから、これはもうどう見ても攻略とは言えない。
「あー、と?じゃあ僕らは第四の方に行ってくるね?どうぞごゆっくり・・・?」
「ああ!すまないなケンジ!いってらっしゃい!」
魔王が凶悪な顔で爽やかな笑顔をこちらに向けてそう言ってきた。いや、コレ、誰得?・・・ミャウエル得でした。それ見てうっとりしてるよ、何で?
と言った場面はあったのだが、こうしてマルス、マイウエル、僕は第三悪魔のダンジョンを出て行った。
「ねえ?まだ第四に行く気力ある?僕は・・・正直言って、無い。」
「ぶも・・・オラもちょっと疲れた感じがするべ。今日は止めて置くべな。」
「そうね。魔王様の凄まじさを改めてこの目にしてちょっと・・・」
僕らの意見は一致した。今日は第四悪魔の討伐を中止する事に。だけどそうなると結構余る時間がどうしようかと言う事になる。
「一度戻ってちょっと休もう。そうだな、明日に仕切り直しにしようか。それで、頼みたい事があるんだけど、良い?」
僕の仕切り直しの意見に二人が賛成の意を見せる。その次の頼みたい事に対しては首を傾げられた。でも直ぐにその内容を伝えると。
「模擬戦してくれない?僕がどれだけ今できるかってのをちょっと二人に受け止めて欲しいんだよね。それで何処か直した方が良いって所があれば指摘して欲しんだ。」
これからの事も考えてもっと僕は戦術面や攻撃面で強くなっておきたいと思ったのだ。魔王を見て。
僕は一応はプレイヤーだ。魔王の国でこうして客人として大いに世話になっているけど。
だからこそ、あんなムリゲの魔王に一撃入れられるくらいの強さって言うモノに憧れる。
そう、倒せるとは思えない、アレを。だからせめて一撃、そう思ってしまった。
ソレを目指して強さを求めるのは良いモチベーションになると思ったのだ。
焦って強くなる気は無いが、それでも目標があった方がレベル上げ、経験値稼ぎの為の気持ちにも張りが出る。
「良いだべな。ケンジが強くなる事に賛成だべ。協力するべな。」
「魔法の事ならいくらでも教えるわ。ケンジは基礎がもうかなり出来上がってるし、次の段階に進んでも良いと思う。魔法の事で聞きたい事があれば何でもすぐに聞いてくれて構わないよ。知ってる範囲の事なら何でも答えるから。」
嬉しい言葉が返って来てくれた。二人は既に僕を仲間と呼んでくれている。ならば僕もこの二人の強さに見合った強さを持たねばならないと強く思い直す。
こうしてこの二人の隣に立てるだけの、それくらいの資格が、強さが欲しい。何時までも守られる様な存在ではいけない。一応二人は僕を「魔王の客人」としての扱いも忘れてはいないので気を使ってくれている部分と言うのもあったりする。
なので最初はそこら辺の所を取っ払えるくらいの強さを目指すべきだ。そう思うと俄然ヤル気が高まる。
そこでふと思い出した事がある。それを二人に帰り道の途中で聞いてみる事にした。
「ねえ?金のハエって、見た事とか聞いた事、ある?」
僕はその時の事を詳しく思い出しながら二人へと説明をしてみるのだった。