攻略!悪魔王編!「そうとはいかない」
僕はポチの存在を知ってはいたのだが、今回こうして会うのは初めてである。
「すげえ・・・マジでこんなのどうすんの?」
「ケンジ、余り近寄らないでくれ。ポチはプレイヤーが嫌いでな。ちょっとでも攻撃意志をポチに向けただけで瞬殺されるから。」
僕の目の前のポチはちょっと不機嫌そうである。魔王が、飼い主がプレイヤーを、僕を許容しているからこそ攻撃をしない、と言った感じなのだ。
「ポチは無理矢理捕まって、檻に入れられてたからさ。プレイヤーって存在が許せないんだよ。まあ、ちゃんと俺が言い聞かせると受け入れてくれるんだけどさ。でも・・・」
言い聞かせてちゃんとソレを理解できると言うのがそもそも驚きだ。自立型での思考AIをポチが積んでいると言う事である。
それだけの容量をポチに積んでいると言うのはこの「ケルベロス」という存在がかなりこのゲーム内に置いて重要ポジションだと言う事の証なのではないだろうか?
「この間も待ち伏せプレイヤーがいてさー。きゃあきゃあ騒いでポチに近付いてきてスクショ撮りまくったのよ。俺は一応事前にポチにそう言った相手は無視しておくように言ってあったんだけど・・・」
どうやらポチに余計なちょっかいを出そうとしたプレイヤーがその時出たのだと魔王は言う。
「そこで一瞬でポチが限界突破しちゃってねー。不快感と警戒、怒りと侮蔑を全部ぶちまけちゃったんだ・・・」
僕らは第三悪魔のダンジョンへと向かっている最中だ。僕、魔王、ポチ、マルスにマイウエル、ミャウエルの六人?パーティである。
「瞬時にプレイヤー五名が炎上。いや、コレ普通に焼死したって意味でね?ポチがブレスを吐いたと思ったら燃え上がっていたんだよね・・・ああ・・・ソレと同時に十名が首と胴をオサラバしちゃってた。やったのはもちろんポチでノーモーションだぜ?それでそこで残った五名が居たんだけどね?コレも即座に全身氷漬けでさー?コレもポチの仕業で。ホント、ポチって「ケルベロス」じゃ無くない?ケンジ、どう思うコレ?全部ポチがやったんだよ?」
「どう考えても別の「何か」でしょ、それは。でも、それでも魔王のペットって所は変わらないし、気にしないで良くない?・・・とは言え無いか。ちゃんとそこら辺は調べておきたいってのは分かる。」
僕は魔王へと自分の考えを述べた。この件は非常に重要と言える案件である。
もしかしたらこのポチが後々で何かしらの重要な「鍵」になる可能性も考えての事だ。
さて、僕らはこうして散歩気分で目的地に向かっているのだが、心配していたプレイヤーとの遭遇は今の所一度も無い。
マルスが周囲の警戒をしていてくれているし、マイウエルも気を張り巡らせている。
どうやら魔王と一緒に悪魔討伐をする事に大きな緊張感を感じている様だった。
ミャウエルは魔王と一緒に行動をしていてもう慣れているのか自然体だ。
「どうやら目的の場所が見えて来たな。良し、一気に行こう。」
魔王は此処までにプレイヤーと一人も遭遇しなかった事を喜んでいる様子だった。
目の前には大穴、地下迷宮。出てくる雑魚悪魔もどうやら第三悪魔の性質と似ていて防御力、耐久力と言った部分が高いと言う情報である。
そんな雑魚をここのボスである第三悪魔に辿り着くまでずっと倒し続けて進まねばならないこのダンジョンは確かに苦痛だ。苦行と呼べる。
「しかもコアの問題もあるし・・・シンドイにも程があるんじゃないのこれは?」
僕の予想で言えばコアもガッチガチに硬い、堅い、固いと、どこまでも倒しにくい仕様なのではと考えている。
実際にやって見なければ分からないが、それでもこれまでの傾向から想像するにそこまで外れた予想だとも思えない。
(どうなる事やら・・・魔王がどれ位のモノなのか?一つ見させてもらうとしよう)
僕、高みの見物。とまでは言わないが、魔王が今回は積極的に前に出て雑魚を狩ると言う事で僕は後方に下がている。
こうして僕は普段魔王がどの様にして戦っているのかを間近で見る事となった。