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何で俺だけ  作者: コンソン
嵐が始まる
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攻略!悪魔王編!「綺麗な花には」

 城でボス、と言ったら玉座の間で、しかも一番奥、と言った事が定番だと思っていた。だけどもそこには何も無かった。


「隠し扉があったりしない?・・・何かフラグでも起てないと出てこないとかか?」


 条件設定があるとすると、ソレを満たしていないとボスが出てこない、なんて事もアルアルだろう。

 なので俺とミャウちゃんは一応この玉座の間をザっと調べてみたのだが何も見つけられずにいた。


「ポチ、何か気付いた事とかあるか?変な臭いがするとか、或いは奇妙な音がするとか?」


 ポチに俺はそう聞いてみた。聞いてみたのだが、これに横に首を振られた。どうやらポチすら何も感じないらしい。

 というか、普通に俺はポチを犬扱いだ。嗅覚とか聴覚が優れているだろうと決めつけて何かポチがそれで気付いた事が無いかと期待していたが。


「うーん?まだ城の中で何か発動していないギミックがあったりするのかな?そうだったらソレを見つけないといけないよな?ちょっとワクワクしてきたかな?」


 俺は一旦このダンジョンから出る事にした。雑魚を狩るだけ、ポイント稼ぎに来ただけ、と言った感じでこのダンジョンに来ていたので外側から全体を観察すると言った事もしてきていない。

 なので何か気付く事が無いか、ヒントを見つけられ無いかなどと思って一度城の中から出てみる事にしたのだ。


「ミャウちゃん、あっちのは行った事があったっけ?」


「ありません。位置が城の入り口から中途半端に遠い、それと広さも戦闘向きでは無いと言った点で先ずは中へと入って雑魚悪魔狩りを中心に動くと言う事でまだ向かった事は御座いません。」


 俺はそのミャウちゃんの回答に「あぁ、そうだった」と思い出した。その時の俺はポイントをゲットする事しか頭に無かったのでそんな事を言っていた。


「じゃあちょと行って見るか。別に何も無いなら無いでソレも確かめるのも大事だしな。」


 俺たちはその城から大分離れた場所に存在する「庭」だろう場所に向かう。

 そう、恐らくはこの城ダンジョンの付属するフィールドなのだろうと思われる場所なのだが、随分と離れた位置にあってしかも中途半端な広さなのだ。

 だがそこは凄く丁寧に整えられていて見ごたえのソコソコある庭園だった。そこには雑魚悪魔は一切湧かない様で。


「はぁ~。癒やされるなコレ。色とりどりで楽しいねー。花の香も鼻に付かないくらいには仄かに漂ってて何だか落ち着くなぁ。」


「・・・魔王様お気を付けください!ここから直ぐに離れましょう!」


「は?ミャウちゃん?何で?」


 ミャウちゃんは口鼻を手で覆って呼吸を、というか、花の香りを吸い込まない様にして直ぐに防御態勢に入った。

 そしてポチだが、そもそもがここの庭園には居ない。というか、入り口から結構遠く離れた位置にまで下がっていて近くにすら寄って来ていなかった。


「後で説明お願いね?じゃあちょっと離れようか。」


 この異常に俺はすぐさまこの庭園を出る事を決める。入って早々だが、ここまでミャウちゃんが真剣になるのだから何かがあるし、ポチのこの離れ様は流石におかしい。

 俺とミャウちゃんは一旦庭園から出る。そしてポチの居る場所まで一先ず下がった。

 コレにポチはホッとした様子で俺にすり寄って来た。どうやら俺を心配していた様子だ。

 ポチが申し訳なさそうに「くーん」と小さく鳴いている。どうやらこれはポチが俺を止める事ができなかった事に後悔しているらしい。


「ミャウちゃん、大丈夫?気分が悪い?」


「この程度ならばある程度は時間が経てば回復します。それよりも魔王様のご気分は悪くなってはおりませんか?」


「いや、めっちゃ元気だよ?・・・あ、そう言う感じ?あそこの庭園で咲き誇ってる花はもしかして毒な感じ?」


 ここで俺はミャウちゃんの説明を受ける前にその点に気付く。

 この言葉に「流石魔王様」とミャウちゃんは呟いてから解説をしてくれる。


「あそこにある花は全部・・・毒花です。その香りには興奮作用、幻覚作用、酩酊作用など、その他にももっと様々な効果があります。あのまま滞在していれば恐らくはそれらの効果によって前後不覚になるどころか、耐性の無い者であれば同士討ちすらもし始めるかもしれません。」


「うっわ・・・えげつない・・・そんな罠アリか?」


 だからポチはここまで離れていたのだ。きっとこの距離がその毒とやらの完全な効果範囲外と言う事なんだろう。

 ポチはそんな毒だと言うのは知りはしなかっただろうが、けれども野生の勘といったモノが働いて、そしてその鼻で危険だと感じる臭いを嗅いだから止まったのだと今なら分かる。

 そんな場所に俺が呑気に入ろうとするのだからきっとこれにポチは驚いて俺を止めるタイミングを逃してしまったのかもしれない。

 俺が再び庭園の方に行こうと言った気を見せると咄嗟にポチは俺の腕に絡まって行かせまいとしてくる。


「あー、恐らくはそこにヒントでも隠してあるんじゃないだろうか?あそこを捜索・・・するにしてもポチは入れないだろうし?ミャウちゃんも耐性は、完全じゃないって感じかな?」


 ここで俺はどうしようかと一息ついてから今後の事を考える事にした。

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